ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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ヌードルスのオーダーストップは夜十時半、閉店は一時間後だ。
俺は十一時に店の前の歩道にたった。
たえず悠に電話をかけたり、メールの返信をまったが…結局つながらない。
あきらめて、白い御影石の壁面にもたれていた。
真夜中の十五分まえ、まだ昼間のような人通りの歩道に店長がおりてきた。
手にはナイロンの3ウエイバック。昼間と同じ紺のスーツだ。たぶんグッチ。
俺はやつが目の前をとおりすぎると、ゆっくりとあとをおった。
ここから駅まではどこでも人目があり、おまけに歩いて三、四分の余裕しかない。
さて、どこでお話をしようかな。
ヌードルスの店長はりそな銀行の先で地下街におりる階段にはいった。
俺はあわてて同じ階段をかけおりる。
そろそろシャッターが閉まる時間で、踊り場の隅には段ボールを敷いたホームレスが寝床を用意していた。心なごむ都市の風景。
階段を降りると店長は地下通路を有楽町線のえきのほうへ歩いていく。
遠くで酔っぱらいがなにか叫んでいた。わんわんとしたエコーがほこりくさい通路に響いている。
駅につくまえが勝負だろう。俺は早足で追い付くと、店長の肩を軽く叩いた。
「三田村さん、ちょっといいかな。」
アルバイトかなにかだとおもったのだろうか、振り向いたやつの顔は落ち着いたものだった。
立ち止まった店長はいう。
「君は誰だ。なにか用でもあるのか」
俺はにっこりと歯を見せてやった。
目はぜんぜん笑っていない。
「見てもらいたいものがある。アンタの大好きなネットへの書き込みだ。確か…今日のアンタの名は麺キングだったよな。」
ハンドルネームをあげたとたんに店長のエリート面から血の気が引いた。
俺は封筒を渡してやった。店長は震える手でプリントアウトをとりだし、凄い勢いでめくっていく。
俺はいってやった。
「そのキャバ嬢との写真なんかよく撮れているだろう。彼女の分も焼き増ししてやろうか。会社の同僚に女の自慢をしたいなら、百枚くらいサービスでプリントしてやるよ。確か○○商事の外食オペレーション部だったよな、三田村さんて…」
俺の悪の演技も中々のものだろ?
三田村は常識人だった。
青白い顔をして最初に口にしたのは次の言葉だ。
「金か。いくらほしいんだ。」
困ってしまう。
確かに俺は金持ちじゃないが、好きな本とCDを買い。
好きな人や好きなダチと好きなときにラーメンを食うくらいの金ならもっている。
それで十分じゃないか。
「アンタこそ金に困ってるようにも見えないのに、なぜこんなことをやった。ヌードルスだって順調に客がはいってるじゃないか。」
店長はムッとしたようだった。
「君になにがわかる。あんな店はあたるのがあたりまえだ。いくら成功してもせいぜい月間売り上げは三、四千万。私はあんな店早く卒業して、買付の仕事に戻りたいんだ。ラーメン屋なんてな、ほかに何にもできないやつのする仕事だ。」
成功の尺度は人それぞれなのだろう。
だが実際に和龍軒で働いて、俺はあの仕事のやりがいを肌で感じていた。
俺は十一時に店の前の歩道にたった。
たえず悠に電話をかけたり、メールの返信をまったが…結局つながらない。
あきらめて、白い御影石の壁面にもたれていた。
真夜中の十五分まえ、まだ昼間のような人通りの歩道に店長がおりてきた。
手にはナイロンの3ウエイバック。昼間と同じ紺のスーツだ。たぶんグッチ。
俺はやつが目の前をとおりすぎると、ゆっくりとあとをおった。
ここから駅まではどこでも人目があり、おまけに歩いて三、四分の余裕しかない。
さて、どこでお話をしようかな。
ヌードルスの店長はりそな銀行の先で地下街におりる階段にはいった。
俺はあわてて同じ階段をかけおりる。
そろそろシャッターが閉まる時間で、踊り場の隅には段ボールを敷いたホームレスが寝床を用意していた。心なごむ都市の風景。
階段を降りると店長は地下通路を有楽町線のえきのほうへ歩いていく。
遠くで酔っぱらいがなにか叫んでいた。わんわんとしたエコーがほこりくさい通路に響いている。
駅につくまえが勝負だろう。俺は早足で追い付くと、店長の肩を軽く叩いた。
「三田村さん、ちょっといいかな。」
アルバイトかなにかだとおもったのだろうか、振り向いたやつの顔は落ち着いたものだった。
立ち止まった店長はいう。
「君は誰だ。なにか用でもあるのか」
俺はにっこりと歯を見せてやった。
目はぜんぜん笑っていない。
「見てもらいたいものがある。アンタの大好きなネットへの書き込みだ。確か…今日のアンタの名は麺キングだったよな。」
ハンドルネームをあげたとたんに店長のエリート面から血の気が引いた。
俺は封筒を渡してやった。店長は震える手でプリントアウトをとりだし、凄い勢いでめくっていく。
俺はいってやった。
「そのキャバ嬢との写真なんかよく撮れているだろう。彼女の分も焼き増ししてやろうか。会社の同僚に女の自慢をしたいなら、百枚くらいサービスでプリントしてやるよ。確か○○商事の外食オペレーション部だったよな、三田村さんて…」
俺の悪の演技も中々のものだろ?
三田村は常識人だった。
青白い顔をして最初に口にしたのは次の言葉だ。
「金か。いくらほしいんだ。」
困ってしまう。
確かに俺は金持ちじゃないが、好きな本とCDを買い。
好きな人や好きなダチと好きなときにラーメンを食うくらいの金ならもっている。
それで十分じゃないか。
「アンタこそ金に困ってるようにも見えないのに、なぜこんなことをやった。ヌードルスだって順調に客がはいってるじゃないか。」
店長はムッとしたようだった。
「君になにがわかる。あんな店はあたるのがあたりまえだ。いくら成功してもせいぜい月間売り上げは三、四千万。私はあんな店早く卒業して、買付の仕事に戻りたいんだ。ラーメン屋なんてな、ほかに何にもできないやつのする仕事だ。」
成功の尺度は人それぞれなのだろう。
だが実際に和龍軒で働いて、俺はあの仕事のやりがいを肌で感じていた。