ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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ヴァージン・メガストアは何年か前まではマルイの地下にあったが、場所を移転していた。
といってもすぐ近くで、劇場通りを一本はいった交差点の角だ。
向かい側にはいつも空いているインテリアの専門店インザルームがある。
おれはCDショップが見えるところにつくまで久々に全力疾走した。
ガラス張りの正面が見えてくると、息を整えて足早の歩行に切り替える。
俺がその店にいくのは数ヶ月ぶりだった。
移転に際して商品構成がすっかり変わってしまったのだ。
若いやつには売れ行きが望めないクラシックやジャズは大幅に切り詰められ、日本やアメリカのポップスとハリウッド映画のDVDが主力に様変わりしている。
それは全国的な傾向だった。時代は変わる。
今ではクラシック音楽などJポップの消費税分ほどしか売り上げに貢献しない。自然に俺の足も遠ざかると言うものだ。
信号のない交差点をななめにわたり、ガラスの自動ドアを抜けた。
俺はDVDの棚を突っ切り白いパンチングメタルの階段にむかった。
二階は縮小されたクラシックコーナーとAV機器売り場、そして交差点を見下ろす角には名物の無料インターネットサービスがある。
俺はCDラックを抜けて奥のブースに移動した。
手のなかにはデジタルカメラ。
いくら使っても無料ということもあり、ここのサービスはインターネットカフェなどよりも断然混雑していた。
いつもバックパックを背負った外国人の旅行者なんかがコンピューターを占拠して、なかなか順番が回ってこないのだ。
実際にはカフェのような白いカウンターが伸びて、その上に四台のデスクトップが並んでいた。
スツールはすべて埋まり、パソコンは使用中。
混雑緩和のために増設されたのだろうか、さらに三台のノートブック型もあった。
こちらも満員。
順番を待つ人間はカウンターのうしろにあるソファに行儀よくならんで座っている。
染みのついたスエットシャツを着た金髪の外国人のとなりに見覚えのある男がいた。
ヌードルスの店長は唇にかすかに笑みを浮かべながらキーボードをたたいていた。
また同じ紺のスーツ姿。
白いシャツにスーツと同系のタイ。
もしかするとおしゃれなのかもしれない。
もっともおれはVゾーンの色あわせなど生まれてから二、三度しかしたことはないのだが。
列の最後につく振りをしながら、ディスプレイの中身を確認した。
BBSのウインドウの背後には、真上からドンブリを映したラーメンサイトのトップページがのぞいている。
湯気が出そうなくらい鮮明だった。
俺はシャッター音のでない改造デジカメの撮影ボタンを押した。
和龍の悪口は稲葉がUSBにでも保存してくれてるだろう。
キーボードにかがみこむ店長の横顔とディスプレイも撮影した。
そのコーナーではネットの先にあるなにか以外、誰も目の前にいる人間に関心はないようだった。
俺がなにをしようが一人も気にするやつはいない。
みんなデジタル離人症にかかっているのだ。
コンピューターに夢中になっているときは誰でも意外なほど無防備なものだ。
外でネットをやるときはみんなも気を付けたほうがいいよ。
といってもすぐ近くで、劇場通りを一本はいった交差点の角だ。
向かい側にはいつも空いているインテリアの専門店インザルームがある。
おれはCDショップが見えるところにつくまで久々に全力疾走した。
ガラス張りの正面が見えてくると、息を整えて足早の歩行に切り替える。
俺がその店にいくのは数ヶ月ぶりだった。
移転に際して商品構成がすっかり変わってしまったのだ。
若いやつには売れ行きが望めないクラシックやジャズは大幅に切り詰められ、日本やアメリカのポップスとハリウッド映画のDVDが主力に様変わりしている。
それは全国的な傾向だった。時代は変わる。
今ではクラシック音楽などJポップの消費税分ほどしか売り上げに貢献しない。自然に俺の足も遠ざかると言うものだ。
信号のない交差点をななめにわたり、ガラスの自動ドアを抜けた。
俺はDVDの棚を突っ切り白いパンチングメタルの階段にむかった。
二階は縮小されたクラシックコーナーとAV機器売り場、そして交差点を見下ろす角には名物の無料インターネットサービスがある。
俺はCDラックを抜けて奥のブースに移動した。
手のなかにはデジタルカメラ。
いくら使っても無料ということもあり、ここのサービスはインターネットカフェなどよりも断然混雑していた。
いつもバックパックを背負った外国人の旅行者なんかがコンピューターを占拠して、なかなか順番が回ってこないのだ。
実際にはカフェのような白いカウンターが伸びて、その上に四台のデスクトップが並んでいた。
スツールはすべて埋まり、パソコンは使用中。
混雑緩和のために増設されたのだろうか、さらに三台のノートブック型もあった。
こちらも満員。
順番を待つ人間はカウンターのうしろにあるソファに行儀よくならんで座っている。
染みのついたスエットシャツを着た金髪の外国人のとなりに見覚えのある男がいた。
ヌードルスの店長は唇にかすかに笑みを浮かべながらキーボードをたたいていた。
また同じ紺のスーツ姿。
白いシャツにスーツと同系のタイ。
もしかするとおしゃれなのかもしれない。
もっともおれはVゾーンの色あわせなど生まれてから二、三度しかしたことはないのだが。
列の最後につく振りをしながら、ディスプレイの中身を確認した。
BBSのウインドウの背後には、真上からドンブリを映したラーメンサイトのトップページがのぞいている。
湯気が出そうなくらい鮮明だった。
俺はシャッター音のでない改造デジカメの撮影ボタンを押した。
和龍の悪口は稲葉がUSBにでも保存してくれてるだろう。
キーボードにかがみこむ店長の横顔とディスプレイも撮影した。
そのコーナーではネットの先にあるなにか以外、誰も目の前にいる人間に関心はないようだった。
俺がなにをしようが一人も気にするやつはいない。
みんなデジタル離人症にかかっているのだ。
コンピューターに夢中になっているときは誰でも意外なほど無防備なものだ。
外でネットをやるときはみんなも気を付けたほうがいいよ。