ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「っち…。はぁ…琉翔なにかないのか。」
千夜は深くため息をついて肩を落とした。
「…ともき、どうしたらいいと思う。」
俺は別にどちらでもよかった。
見捨てる訳じゃなく、ああいうやつは曲がった根性がまっすぐになるまで、千夜のサンドバッグになるのもいい経験だ。
けど、千夜を犯罪者にするわけには絶対にいかなかった。
「やつの弱いところをつくのがいいと思う。とりあえずもうちょっと証拠を集めてからじかに話をしよう。それでダメなら、あいつの会社に乗り込んで、やつのやってることを洗いざらいぶちまけたビラでも撒いてやろう。あの手の人間は自分の身内に弱いもんさ」
だから外の、しかもちいさな組織の人間にはいくらでも冷酷なことができる。
俺はそのとき背中でなにかが動いた気がして、厨房の奥からカウンター席を振り返った。
ちょうでからからと引き戸がひらく音がする。
あずみの声は不自然なほど明るかった。
「それじゃ、お先に失礼しまーす」
琉翔も帰るといって腰をうかせたが、俺はそのまま腕を組んで考えていた。
あの娘はいったいどこの誰なんだろう…
まさか…ヌードルスの店長が雇った女諜報部員とは思えないが、妙にきになる女だった。
池袋ではあまり見かけることのない無類の明るさと素直さ。
次の日の日曜日もまた和龍軒にかよった。
なんだかラーメン屋の店員というのは、おれにぴったりの仕事みたいだった。
西一番階の通りに出るとおれの携帯がなった。
なぜか非通知。
『もしもし。私よ。』
稲葉だ。
「何で非通知なんだ。」
『あら、ごめんなさい。この携帯は自動で非通知になるのよ。それより、今すぐ動けるかしら』
「あぁ。」
『ネットに火をつけ始めたわ。今回のハンドルネームは麺キング。ネットに接続してる場所は池袋のヴァージンよ』
俺は東口に向かってた足をとめて歩道をUターンした。
携帯に向かって叫ぶ。
「西口のマルイの裏にある店か」
稲葉はしばらく黙って、返事をよこした。
『住所が西池袋三丁目だから、きっとそうね。』
俺はわかったといって携帯を切ろうとした。
稲葉は言う。
『この前の約束忘れないでね。』
約束?俺はなにか約束しただろうか。
『今回の件が片付いたら和龍軒のラーメンの出前をするやつよ。』
彼女はそんなことを覚えていたのだ。
「覚えてたのか…」
『あら…なんなら、お代はラーメンじゃなくてお金でもいいのよ?1日五千円として……』
俺は西一番街を劇場通りのほうに走りながら叫んだ。
「わかった!ラーメンだな。なにラーメンがいいんだ」
珍しく天才ハッカーは迷っているようだった。
『七種類の具が全部はいってるのはなんていうの?』
俺は歩道の敷石をうしろにとばしながらいった。
『和龍すぺしゃる。そいつを一丁でいいんだな。』
『二丁で大盛ね。』
「二丁?」
『私と将也君の分よ。』
俺はようやく通話を切って、ちぎれ雲をほんのすこしトッピングした池袋の空のした蹴り足に思いっきり力をこめた。
千夜は深くため息をついて肩を落とした。
「…ともき、どうしたらいいと思う。」
俺は別にどちらでもよかった。
見捨てる訳じゃなく、ああいうやつは曲がった根性がまっすぐになるまで、千夜のサンドバッグになるのもいい経験だ。
けど、千夜を犯罪者にするわけには絶対にいかなかった。
「やつの弱いところをつくのがいいと思う。とりあえずもうちょっと証拠を集めてからじかに話をしよう。それでダメなら、あいつの会社に乗り込んで、やつのやってることを洗いざらいぶちまけたビラでも撒いてやろう。あの手の人間は自分の身内に弱いもんさ」
だから外の、しかもちいさな組織の人間にはいくらでも冷酷なことができる。
俺はそのとき背中でなにかが動いた気がして、厨房の奥からカウンター席を振り返った。
ちょうでからからと引き戸がひらく音がする。
あずみの声は不自然なほど明るかった。
「それじゃ、お先に失礼しまーす」
琉翔も帰るといって腰をうかせたが、俺はそのまま腕を組んで考えていた。
あの娘はいったいどこの誰なんだろう…
まさか…ヌードルスの店長が雇った女諜報部員とは思えないが、妙にきになる女だった。
池袋ではあまり見かけることのない無類の明るさと素直さ。
次の日の日曜日もまた和龍軒にかよった。
なんだかラーメン屋の店員というのは、おれにぴったりの仕事みたいだった。
西一番階の通りに出るとおれの携帯がなった。
なぜか非通知。
『もしもし。私よ。』
稲葉だ。
「何で非通知なんだ。」
『あら、ごめんなさい。この携帯は自動で非通知になるのよ。それより、今すぐ動けるかしら』
「あぁ。」
『ネットに火をつけ始めたわ。今回のハンドルネームは麺キング。ネットに接続してる場所は池袋のヴァージンよ』
俺は東口に向かってた足をとめて歩道をUターンした。
携帯に向かって叫ぶ。
「西口のマルイの裏にある店か」
稲葉はしばらく黙って、返事をよこした。
『住所が西池袋三丁目だから、きっとそうね。』
俺はわかったといって携帯を切ろうとした。
稲葉は言う。
『この前の約束忘れないでね。』
約束?俺はなにか約束しただろうか。
『今回の件が片付いたら和龍軒のラーメンの出前をするやつよ。』
彼女はそんなことを覚えていたのだ。
「覚えてたのか…」
『あら…なんなら、お代はラーメンじゃなくてお金でもいいのよ?1日五千円として……』
俺は西一番街を劇場通りのほうに走りながら叫んだ。
「わかった!ラーメンだな。なにラーメンがいいんだ」
珍しく天才ハッカーは迷っているようだった。
『七種類の具が全部はいってるのはなんていうの?』
俺は歩道の敷石をうしろにとばしながらいった。
『和龍すぺしゃる。そいつを一丁でいいんだな。』
『二丁で大盛ね。』
「二丁?」
『私と将也君の分よ。』
俺はようやく通話を切って、ちぎれ雲をほんのすこしトッピングした池袋の空のした蹴り足に思いっきり力をこめた。