ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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ひとしきりの仕事を終えて帰ろうと店をでる。
東京夏は夜でも暑いくらいだったが厨房の中の熱気に比べればたいしたことなかった。
むしろ心地よいくらいと思ってると誰かに呼ばれた。
「ともきくん。」
「つかさ?!」
だいぶ前に帰ったはずのつかさがいた。
どうしたと聞いてみると、俺を待っていたという。
「はい。お疲れ様。」
缶ジュースを受け取り一緒に帰ることにした。
「お店いそがしいんだね。」
「そうだな。千夜は厨房から離れられないし。あずみが片付けてる間は俺が食器を洗ったりしてる。もう1人くらいいたらちょうどいいんだけど。」
俺は缶ジュースを一口飲んだ。
メロンソーダ味の炭酸飲料の甘さがちょうどよく疲れた身体にあっていた。
つかさの方を見ると何か考えていてふいに口を開いた。
「えーと、私じゃ手伝えないか」
「つかさがか?」
「う、うん。厨房の方なら力になれると思うんだけど…」
「うーん…俺からはなんともいえないから…明日一緒に店にいって千夜にきいてみよう。」
次の日、千夜にいってみるとすんなりOKだった。
やはり人材のほうも足りてないのが現実だったようだ。
つかさはすぐにあずみとも打ち解けたやはり似ているのかもしれない。
それから三日間俺とつかさは毎日和龍にかよった。
店のなかのことをすこし手伝い、行列ができる時間になると店の周辺できき耳をたてる。
調べはまったくしすまなかったが、キャベツを刻むのはうまくなった。
千夜はあずみと同じバイト代を俺とつかさに払ってくれるし、まかないは食い放題だ。
俺が中央の盛り上がったまな板でキャベツのざく切りをしていると、背中を向けていた千夜がいった。
「ともき、腕をあげたな。」
俺のざく切りはリズムを刻めるようになったところ。音だけきいてもわかるのだろう。
手を休めずにいった。
「この包丁のおかげだと思う。こいつすごく切りやすいからな」
それは使い古して先が鋭くとがった中ぶりの牛刀だった。
毎日研いでいるせいで青黒い刃は半分ほどやせてしまっていて、日本刀のようになっている。
白木の柄は人の手の形に削られたようだった。
あずみがドンブリをさげて俺の後ろをとおった。
「ほんとう。その包丁だとふれただけで切れるから、ほかのはもうつかえないですね。」
「…オヤジの形見だ。オヤジはもと洋食屋のコックだったから。もう二十年は使い込んでるだろうな。俺の年季じゃ、なかなかそこまではいかねぇ…」
「えーと…お父さんのお店は?」
つかさがポツリと聞いた。
千夜はゆっくりとスープの煮える寸銅からアクをすくいながらいった。
「俺が産まれる前の話だ。オヤジは腕はよかったが、ギャンブルが好きでな。…よくあることだ、人間自分の苦手なものほどのめりこんじまう。店は人手にわたって、俺が物心つく頃には借金取りをうまく誤魔化す方法ばかりうまくなった。そんな生活を続けてグレて、気がついたら闘路で喧嘩に明け暮れたって訳だ…」
初めて聞く話ばかりだった。千夜が一部の人間以外をなかなか信用しないのにはそんな理由があったのか。
東京夏は夜でも暑いくらいだったが厨房の中の熱気に比べればたいしたことなかった。
むしろ心地よいくらいと思ってると誰かに呼ばれた。
「ともきくん。」
「つかさ?!」
だいぶ前に帰ったはずのつかさがいた。
どうしたと聞いてみると、俺を待っていたという。
「はい。お疲れ様。」
缶ジュースを受け取り一緒に帰ることにした。
「お店いそがしいんだね。」
「そうだな。千夜は厨房から離れられないし。あずみが片付けてる間は俺が食器を洗ったりしてる。もう1人くらいいたらちょうどいいんだけど。」
俺は缶ジュースを一口飲んだ。
メロンソーダ味の炭酸飲料の甘さがちょうどよく疲れた身体にあっていた。
つかさの方を見ると何か考えていてふいに口を開いた。
「えーと、私じゃ手伝えないか」
「つかさがか?」
「う、うん。厨房の方なら力になれると思うんだけど…」
「うーん…俺からはなんともいえないから…明日一緒に店にいって千夜にきいてみよう。」
次の日、千夜にいってみるとすんなりOKだった。
やはり人材のほうも足りてないのが現実だったようだ。
つかさはすぐにあずみとも打ち解けたやはり似ているのかもしれない。
それから三日間俺とつかさは毎日和龍にかよった。
店のなかのことをすこし手伝い、行列ができる時間になると店の周辺できき耳をたてる。
調べはまったくしすまなかったが、キャベツを刻むのはうまくなった。
千夜はあずみと同じバイト代を俺とつかさに払ってくれるし、まかないは食い放題だ。
俺が中央の盛り上がったまな板でキャベツのざく切りをしていると、背中を向けていた千夜がいった。
「ともき、腕をあげたな。」
俺のざく切りはリズムを刻めるようになったところ。音だけきいてもわかるのだろう。
手を休めずにいった。
「この包丁のおかげだと思う。こいつすごく切りやすいからな」
それは使い古して先が鋭くとがった中ぶりの牛刀だった。
毎日研いでいるせいで青黒い刃は半分ほどやせてしまっていて、日本刀のようになっている。
白木の柄は人の手の形に削られたようだった。
あずみがドンブリをさげて俺の後ろをとおった。
「ほんとう。その包丁だとふれただけで切れるから、ほかのはもうつかえないですね。」
「…オヤジの形見だ。オヤジはもと洋食屋のコックだったから。もう二十年は使い込んでるだろうな。俺の年季じゃ、なかなかそこまではいかねぇ…」
「えーと…お父さんのお店は?」
つかさがポツリと聞いた。
千夜はゆっくりとスープの煮える寸銅からアクをすくいながらいった。
「俺が産まれる前の話だ。オヤジは腕はよかったが、ギャンブルが好きでな。…よくあることだ、人間自分の苦手なものほどのめりこんじまう。店は人手にわたって、俺が物心つく頃には借金取りをうまく誤魔化す方法ばかりうまくなった。そんな生活を続けてグレて、気がついたら闘路で喧嘩に明け暮れたって訳だ…」
初めて聞く話ばかりだった。千夜が一部の人間以外をなかなか信用しないのにはそんな理由があったのか。