ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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「中山、あずみ、先にまかないにしろ。」
和辰君の声がした。
おれはハーイとオーナーに返事をしてドンブリに飯をよそった。
トイレにでもいくのだろうか、あずみは姿を消してしまった。
この仕事ではこの時間が一番たのしみだ。
最近はどのラーメン屋でもうえにのせる具がこっている。
和龍軒の具は七種類。
・とろとろの豚の角煮
・一味をきかせたぴりからメンマ
・なかは半熟の煮玉子
・ニンニクいりキャベツ炒め
・ゴマ油風味の小松菜のおひたし
・最後は東京ラーメン定番の特製ナルトと浅草海苔だ。
これだけでも豪華メンバーなのに、好きな客にはこがしネギとガーリックフレークがサービスされる。
具の一番人気は角煮だが、二番人気はなんとキャベツ炒め。
半分生のキャベツの甘味が、和龍の香ばしい醤油味のスープによくあうのだ。
おかげであずみと俺は手が空くとキャベツをざくざく刻まされることになる。
俺は白飯のうえに七種類の具を全部のせ、ラーメンのスープだけつくった。
口には割り箸、両手に飯とスープをもって、裏の通用口から東通りにでる。
店の前に出した古いパイプ椅子に座り、夕方の街を悠然と眺める。
そんなふうにしてかきこむまかない飯は答えられない美味さだった。
道端でしあわせそうに飯をくう俺を、このあたりに多い予備校生はどんな風に見ているのだろうか。
厳しさを増す競争社会の敗残者、あるいは若くして一生をかける仕事を見つけた幸運な小数。
だけど、誰がどんなふうに考えようとその飯のうまさは、俺のなかでは動かない。
大切なダチがいて、本当に好きな人がいて、飯が美味くて、ちょっと忙しい毎日。
俺ははっきり言える……ちいさいけど確かなしあわせだってな…。
おれが飯を終えて店のなかに戻ろうとしたとき、となりのコンビニと和龍軒の薄暗い境の奥で人影が動く気配がした。
人ひとりが身体をななめにしてやっと通れるくらいのすきまだ。
俺はドンブリを手に店の影に身を隠し、こっそり奥をのぞき込んだ。
そいつは周囲はキョロキョロと警戒しながら背を丸め、手にした袋菓子の中身を口に押し込んでいた。
あごの動きはリスのような素早さだ。
あずみだった。
なにかを恐れるように自分で買った菓子をものかげに隠れて食っている。
「……(どういうことだ)?」
飛び切りのまかない飯には手もつけないくせに、あずみは和龍軒の事が大好きだという。
主食は禅君みたいにお菓子のみなのだろうか……
「ともき君も気になりますか。」
「うわぁっ?!」
いきなり真後ろから声をかけられて俺はドンブリを投げてしまった。
「おっと。驚きましたか。」
パシッとドンブリをつかんで氷室さんが笑う。
「ちょ、ひ、氷室さん。やめてくださいよ…。」
「あはは、すいません。つい。」
氷室さんは反省無しに笑いながらドンブリを俺に返す。
この人は下手すれば悠以上にイタズラ好きだ。
和辰君の声がした。
おれはハーイとオーナーに返事をしてドンブリに飯をよそった。
トイレにでもいくのだろうか、あずみは姿を消してしまった。
この仕事ではこの時間が一番たのしみだ。
最近はどのラーメン屋でもうえにのせる具がこっている。
和龍軒の具は七種類。
・とろとろの豚の角煮
・一味をきかせたぴりからメンマ
・なかは半熟の煮玉子
・ニンニクいりキャベツ炒め
・ゴマ油風味の小松菜のおひたし
・最後は東京ラーメン定番の特製ナルトと浅草海苔だ。
これだけでも豪華メンバーなのに、好きな客にはこがしネギとガーリックフレークがサービスされる。
具の一番人気は角煮だが、二番人気はなんとキャベツ炒め。
半分生のキャベツの甘味が、和龍の香ばしい醤油味のスープによくあうのだ。
おかげであずみと俺は手が空くとキャベツをざくざく刻まされることになる。
俺は白飯のうえに七種類の具を全部のせ、ラーメンのスープだけつくった。
口には割り箸、両手に飯とスープをもって、裏の通用口から東通りにでる。
店の前に出した古いパイプ椅子に座り、夕方の街を悠然と眺める。
そんなふうにしてかきこむまかない飯は答えられない美味さだった。
道端でしあわせそうに飯をくう俺を、このあたりに多い予備校生はどんな風に見ているのだろうか。
厳しさを増す競争社会の敗残者、あるいは若くして一生をかける仕事を見つけた幸運な小数。
だけど、誰がどんなふうに考えようとその飯のうまさは、俺のなかでは動かない。
大切なダチがいて、本当に好きな人がいて、飯が美味くて、ちょっと忙しい毎日。
俺ははっきり言える……ちいさいけど確かなしあわせだってな…。
おれが飯を終えて店のなかに戻ろうとしたとき、となりのコンビニと和龍軒の薄暗い境の奥で人影が動く気配がした。
人ひとりが身体をななめにしてやっと通れるくらいのすきまだ。
俺はドンブリを手に店の影に身を隠し、こっそり奥をのぞき込んだ。
そいつは周囲はキョロキョロと警戒しながら背を丸め、手にした袋菓子の中身を口に押し込んでいた。
あごの動きはリスのような素早さだ。
あずみだった。
なにかを恐れるように自分で買った菓子をものかげに隠れて食っている。
「……(どういうことだ)?」
飛び切りのまかない飯には手もつけないくせに、あずみは和龍軒の事が大好きだという。
主食は禅君みたいにお菓子のみなのだろうか……
「ともき君も気になりますか。」
「うわぁっ?!」
いきなり真後ろから声をかけられて俺はドンブリを投げてしまった。
「おっと。驚きましたか。」
パシッとドンブリをつかんで氷室さんが笑う。
「ちょ、ひ、氷室さん。やめてくださいよ…。」
「あはは、すいません。つい。」
氷室さんは反省無しに笑いながらドンブリを俺に返す。
この人は下手すれば悠以上にイタズラ好きだ。