ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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放課後になって俺は東通りのラーメン屋に顔をだす。
「来たか…。」
汗だくの和辰君が鋭い目付きで一度だけ俺をみてすぐにスープを作る。
「ともきさん。これに着替えてください。」
あずみが紺のTシャツとタオルを渡してくる。
「あずみちゃん、ラーメンとビールね。」
「はーい。」
すでに客が何人かはいっている。俺は奥で制服に着替えてすぐに働き始めた。
ー和龍軒ー
「いらっしゃいませ。こちらにどうぞ!」
客商売はバイトでなれてるので、すぐ店に溶け込んだ。
料理の腕も自信はあったがカウンターを拭き、客を誘導して、ドンブリを下げるなどの働きにてっした。
どうしてかって?
そりゃ、ラーメンの味を左右するような重要なところには踏み込まないようにだ。
麺ゆでやスープづくりはラーメン屋の聖域だしな。
それはバイトのあずみも同じだった。
あずみはちょっと痩せすぎだが、明るく腰が低いので常連客からはすでに人気者だ。
夕刻のラッシュアワーの少し前、たりなくなった割り箸やコショウなんかをカウンター席で補給しながら、俺はあずみに話しかけた。
和辰君は奥で明日の仕込みにかかっている。
「あずみは何で、この店で働いてるんだ」
顔だってかわいい。
ちょっと言い方は悪いけどラーメン屋でなくても、池袋には若い女に人気のおしゃれな雑貨屋やブティックが無数にある。
あずみは箸立てにパンパンに割り箸を詰めながらいった。
「私、誰かが美味しいものを食べるところを見るのが好きなんです。ごちそうさま、おいしかったってお客さんに言われると、自分のことをほめられるより嬉しくなっちゃう。」
ちょっとつかさに似ていた。
天然記念物なみの素直さ。もちろん良い意味でな。
「でも、あずみってそういう割にはやせてるよな。」
あずみは笑って、醤油さしに業務用の缶から醤油を注いだ。
「そうなんです。自分ではたべるのが苦手で、いくらたべてもぜんぜん太れないんです。なんだかそういう体質みたい。」
かがみが聞いたら刺殺されそうな返事だった。
あずみは手を拭いて、カウンターの横にまっすぐたった。
澄んだ目でじっと俺を見た。思いつめたようにいう。
「私、このお店がすごく好きなんです。多恵さんも…千夜さんも。だから、なんとか今度の嫌がらせをとめて、前みたいな賑やかな和龍軒にしてください。私からもよろしくお願いします。」
深々と頭を下げる。
今どきの若い女からこれほどていねいに頭を下げられたことはなかった。
困ってしまう。
「あずみ。わかったから、頭をあげてくれ。できるかぎりの事はするから。」
確かに和辰君は怖そうだがいいやつだった。
和龍のラーメンは俺だってうまいと思う。
ただ…それでもあずみの必死さは、俺になんともいえない印象をのこした。
それほどこの店を守りたいという気持ちは、いったいどこから生まれてくるのだろうか。
「来たか…。」
汗だくの和辰君が鋭い目付きで一度だけ俺をみてすぐにスープを作る。
「ともきさん。これに着替えてください。」
あずみが紺のTシャツとタオルを渡してくる。
「あずみちゃん、ラーメンとビールね。」
「はーい。」
すでに客が何人かはいっている。俺は奥で制服に着替えてすぐに働き始めた。
ー和龍軒ー
「いらっしゃいませ。こちらにどうぞ!」
客商売はバイトでなれてるので、すぐ店に溶け込んだ。
料理の腕も自信はあったがカウンターを拭き、客を誘導して、ドンブリを下げるなどの働きにてっした。
どうしてかって?
そりゃ、ラーメンの味を左右するような重要なところには踏み込まないようにだ。
麺ゆでやスープづくりはラーメン屋の聖域だしな。
それはバイトのあずみも同じだった。
あずみはちょっと痩せすぎだが、明るく腰が低いので常連客からはすでに人気者だ。
夕刻のラッシュアワーの少し前、たりなくなった割り箸やコショウなんかをカウンター席で補給しながら、俺はあずみに話しかけた。
和辰君は奥で明日の仕込みにかかっている。
「あずみは何で、この店で働いてるんだ」
顔だってかわいい。
ちょっと言い方は悪いけどラーメン屋でなくても、池袋には若い女に人気のおしゃれな雑貨屋やブティックが無数にある。
あずみは箸立てにパンパンに割り箸を詰めながらいった。
「私、誰かが美味しいものを食べるところを見るのが好きなんです。ごちそうさま、おいしかったってお客さんに言われると、自分のことをほめられるより嬉しくなっちゃう。」
ちょっとつかさに似ていた。
天然記念物なみの素直さ。もちろん良い意味でな。
「でも、あずみってそういう割にはやせてるよな。」
あずみは笑って、醤油さしに業務用の缶から醤油を注いだ。
「そうなんです。自分ではたべるのが苦手で、いくらたべてもぜんぜん太れないんです。なんだかそういう体質みたい。」
かがみが聞いたら刺殺されそうな返事だった。
あずみは手を拭いて、カウンターの横にまっすぐたった。
澄んだ目でじっと俺を見た。思いつめたようにいう。
「私、このお店がすごく好きなんです。多恵さんも…千夜さんも。だから、なんとか今度の嫌がらせをとめて、前みたいな賑やかな和龍軒にしてください。私からもよろしくお願いします。」
深々と頭を下げる。
今どきの若い女からこれほどていねいに頭を下げられたことはなかった。
困ってしまう。
「あずみ。わかったから、頭をあげてくれ。できるかぎりの事はするから。」
確かに和辰君は怖そうだがいいやつだった。
和龍のラーメンは俺だってうまいと思う。
ただ…それでもあずみの必死さは、俺になんともいえない印象をのこした。
それほどこの店を守りたいという気持ちは、いったいどこから生まれてくるのだろうか。