ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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路線のしたのガードから階段をのぼっていくと、そこはもう池袋東口。
まず最初に目にはいったのは、地面近くのかげろうに揺れている行列だ。
地元では知らぬ者がないラーメンライン。
時間は3時ちょっと。
こんな中途半端な時間でさえ南池袋一丁目の交差点の角を巻いて二十メートルほどの列ができている。
俺は列を眺めてきいた。
「無敵家だったけ?」
「ああ。背脂タップリのトンコツ系本丸めんが人気の店だな。」
「凄い流行りっぷりだな。」
流行りも当然だった。
なにせ池袋東口は今日本で一番熱いラーメン戦争が勃発している街なのである。
ラーメン通の常識だ。
俺はネットに無数にあるラーメン屋ランキングサイトで確かめたから、よくしっている。
この街ではスープでスープを洗う激烈な戦闘が日々繰り広げられ、無数の豚と鶏の遺骨が店の奥に積み上げられている。
救いを求める飢えた難民の数はとどまるところを知らず、どの店の外にも列をなして群がっているんだ。
全国のみなさん、池袋のラーメン戦争はすごいことになってるあるよ。なんてな。
南池袋の交差点を中心に半径百メートルの円を描く。
そのなかにこの夏まで五軒、ラーメンの有名店があたた。最古参といっても七年ばかり前にオープンした光麺。
リブロの出入口の正面にあるばんかららーめん。
交差点をガード方向に折れて十メートルほどの麺家玄武。
そして角の無敵家。
どの店にもそれぞれ特徴はあるが、四軒ともトンコツあるいは家系と呼ばれるトンコツ醤油のこってり味で共通していた。
隆盛を極めるラーメン界の現在の主流である。
それだけでも激戦区だったのだが、この夏さらに二軒の店が加わって東口の生き残り競争は激化した。
東通りの奥に魚介類の和風だしで鮮烈なデビューを飾った二天。
明治通りのインテリアショップ・イルムスのむかいにできたヌードルス。
この戦争で新旧の対立ははっきりしていた。
先輩格の四軒はトンコツの濃厚なスープと太麺が売りで、新規の二軒はあっさりしたスープと細めんがトレードマークだ。
ちなみに俺たちが向かっているラーメン屋はさっきは言わなかった。
古参組の「和龍軒」悠の友人の和辰千夜君の店でだすラーメンは次のブームと噂される鶏ガラ醤油味の東京ラーメンだった。
昔なつかしのシナソバだ。
この激戦はまだ始まったばかりで、勝敗の行方は見えていないはずだった。
すくなくともこのひと月ほど前までは、どの店にも数十人のラーメンラインがいつだってできていた。
若い店員が行列の最後尾をお客に教えていたものだ。
一番ちいさな和龍軒にだって、長さは短いが立派なラーメンラインが育っていた。
「なぁ、悠。」
「ん~?」
「そろそろ。話したらどうだ。ただラーメン食べに誘ったんじゃないだろ。」
「相変わらず勘がいいな。けど、俺もわからん。呼ばれただけだし。」
悠はズボンのポケットに手を突っ込んで、不良歩きで交差点を口笛を吹いて渡っていく。
「ったく。」
俺は悠の口笛を聞きながらついていく。
吹いてるのは現代音楽のピアノ作品。ジョン・ケージだ。
まず最初に目にはいったのは、地面近くのかげろうに揺れている行列だ。
地元では知らぬ者がないラーメンライン。
時間は3時ちょっと。
こんな中途半端な時間でさえ南池袋一丁目の交差点の角を巻いて二十メートルほどの列ができている。
俺は列を眺めてきいた。
「無敵家だったけ?」
「ああ。背脂タップリのトンコツ系本丸めんが人気の店だな。」
「凄い流行りっぷりだな。」
流行りも当然だった。
なにせ池袋東口は今日本で一番熱いラーメン戦争が勃発している街なのである。
ラーメン通の常識だ。
俺はネットに無数にあるラーメン屋ランキングサイトで確かめたから、よくしっている。
この街ではスープでスープを洗う激烈な戦闘が日々繰り広げられ、無数の豚と鶏の遺骨が店の奥に積み上げられている。
救いを求める飢えた難民の数はとどまるところを知らず、どの店の外にも列をなして群がっているんだ。
全国のみなさん、池袋のラーメン戦争はすごいことになってるあるよ。なんてな。
南池袋の交差点を中心に半径百メートルの円を描く。
そのなかにこの夏まで五軒、ラーメンの有名店があたた。最古参といっても七年ばかり前にオープンした光麺。
リブロの出入口の正面にあるばんかららーめん。
交差点をガード方向に折れて十メートルほどの麺家玄武。
そして角の無敵家。
どの店にもそれぞれ特徴はあるが、四軒ともトンコツあるいは家系と呼ばれるトンコツ醤油のこってり味で共通していた。
隆盛を極めるラーメン界の現在の主流である。
それだけでも激戦区だったのだが、この夏さらに二軒の店が加わって東口の生き残り競争は激化した。
東通りの奥に魚介類の和風だしで鮮烈なデビューを飾った二天。
明治通りのインテリアショップ・イルムスのむかいにできたヌードルス。
この戦争で新旧の対立ははっきりしていた。
先輩格の四軒はトンコツの濃厚なスープと太麺が売りで、新規の二軒はあっさりしたスープと細めんがトレードマークだ。
ちなみに俺たちが向かっているラーメン屋はさっきは言わなかった。
古参組の「和龍軒」悠の友人の和辰千夜君の店でだすラーメンは次のブームと噂される鶏ガラ醤油味の東京ラーメンだった。
昔なつかしのシナソバだ。
この激戦はまだ始まったばかりで、勝敗の行方は見えていないはずだった。
すくなくともこのひと月ほど前までは、どの店にも数十人のラーメンラインがいつだってできていた。
若い店員が行列の最後尾をお客に教えていたものだ。
一番ちいさな和龍軒にだって、長さは短いが立派なラーメンラインが育っていた。
「なぁ、悠。」
「ん~?」
「そろそろ。話したらどうだ。ただラーメン食べに誘ったんじゃないだろ。」
「相変わらず勘がいいな。けど、俺もわからん。呼ばれただけだし。」
悠はズボンのポケットに手を突っ込んで、不良歩きで交差点を口笛を吹いて渡っていく。
「ったく。」
俺は悠の口笛を聞きながらついていく。
吹いてるのは現代音楽のピアノ作品。ジョン・ケージだ。