ー特別編ー哀愁ブルドック
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残り一人は青い顔をして、公園から逃げていく。大垣が叫んでいた。
「池本ーー!」
大垣はカズマに小走りで向かっていく。
ふたりを起き上れないようにしても、汗ひとつかいていなかった。
カズマは震えていた。前回の西口公園のときと同じだ。
だが、今回はあの時よりはるかに恐ろしかったのだろう。
大慌てでポケットを探っている。
出てきたのは銀の携帯ではなく、同じ銀に光っていても、おもちゃみたいなナイフだった。
向かってくる大垣にでたらめに振り回した。
コイツはナイフの使い方など、まるで知らない奴だ。
元警官は気にせず近づいていく。ナイフを持った手首を取り、身体の横にまわったように見えた。
カズマが悲鳴を上げるのと、ナイフが地面に落ちたのは同時だった。ほんの一瞬で、大垣はカズマのひじ関節を外してしまっていた。
カズマは逆側にくの字に折れた肘をつかんで、地面を転げまわっている。
大垣はカズマに馬乗りになると、頬を張った。
「はるなお嬢さんは、どこだ。正直に吐けば、関節を戻してやる。吐かなければ、左腕もやるぞ。」
グローブのような手が左手首をつかんだ。カズマの目は恐怖で丸く見開いている。
「俺の部屋に縛って転がしてある。」
カズマは俺の方を見て、涙目で懇願した。
「悠、頼むから、このブルドックをおれから離してくれ。なんでもいうことは聞く。頼むよ。」
大垣はもう一発気合いのはいった張り手を喰らわせてから、カズマの右腕をはめ直してやった。
単純にいって、俺は驚いていた。
あごが落ちるというのは、こういうことだろう。
俺の肩に手が置かれた。
「とんでもないおやじと組んでたんだな。」
「実は最初に会った時、悠も投げられたんですよ。」
タカシの冷たい声と将也の声だった。
俺は振り向かずにいった。
「お前だったら、あの定年ブルドックをどう止める」
「困ったな。つかまれたら、一瞬で投げられる。そのまえが勝負だろうが。ピンポイントで急所を突かなきゃ、やられるのはこっちだな」
誰を相手にしても冷静な男だった。
俺は元警官にいった。
「どうした、切られたのか」
右の前腕に長さ十五センチほどの切り傷があった。血が流れて、公園の地面に落ちている。
タカシが指を弾くと、植え込みからSウルフのひとりが走り出てきた。
腰のパウチを開けて、中からガーゼとテープを取りだした。大垣は身構えたので、俺は声をかけた。
「バックアップに俺が頼んだやつらだ。大垣さん、傷の手当てをしてもらった方がいい。」
タカシがわけがわからないという顔をした元警官に声をかけた。王からのじきじきのお褒めの言葉だ。
「バックアップなど、アンタには必要なかったな。悠はこんなやつだが、それでもうちのチームの切り札だ。たすけてくれて、ありがとう。」
俺が助けられた?冗談じゃない。
「そこで伸びてる寺内とかいう奴なら、ちゃんと俺が始末をつけたさ。」
王がドライアイスのような声でいった。
「そうか。悠の足は、そこにいるガキみたいに震えていたぞ。」
「ぷふっ。」
次にSウルフからの依頼がきたら、俺は断固断ってやる。
あと、将也の尻にいっぱつ蹴りをいれてやる。
「池本ーー!」
大垣はカズマに小走りで向かっていく。
ふたりを起き上れないようにしても、汗ひとつかいていなかった。
カズマは震えていた。前回の西口公園のときと同じだ。
だが、今回はあの時よりはるかに恐ろしかったのだろう。
大慌てでポケットを探っている。
出てきたのは銀の携帯ではなく、同じ銀に光っていても、おもちゃみたいなナイフだった。
向かってくる大垣にでたらめに振り回した。
コイツはナイフの使い方など、まるで知らない奴だ。
元警官は気にせず近づいていく。ナイフを持った手首を取り、身体の横にまわったように見えた。
カズマが悲鳴を上げるのと、ナイフが地面に落ちたのは同時だった。ほんの一瞬で、大垣はカズマのひじ関節を外してしまっていた。
カズマは逆側にくの字に折れた肘をつかんで、地面を転げまわっている。
大垣はカズマに馬乗りになると、頬を張った。
「はるなお嬢さんは、どこだ。正直に吐けば、関節を戻してやる。吐かなければ、左腕もやるぞ。」
グローブのような手が左手首をつかんだ。カズマの目は恐怖で丸く見開いている。
「俺の部屋に縛って転がしてある。」
カズマは俺の方を見て、涙目で懇願した。
「悠、頼むから、このブルドックをおれから離してくれ。なんでもいうことは聞く。頼むよ。」
大垣はもう一発気合いのはいった張り手を喰らわせてから、カズマの右腕をはめ直してやった。
単純にいって、俺は驚いていた。
あごが落ちるというのは、こういうことだろう。
俺の肩に手が置かれた。
「とんでもないおやじと組んでたんだな。」
「実は最初に会った時、悠も投げられたんですよ。」
タカシの冷たい声と将也の声だった。
俺は振り向かずにいった。
「お前だったら、あの定年ブルドックをどう止める」
「困ったな。つかまれたら、一瞬で投げられる。そのまえが勝負だろうが。ピンポイントで急所を突かなきゃ、やられるのはこっちだな」
誰を相手にしても冷静な男だった。
俺は元警官にいった。
「どうした、切られたのか」
右の前腕に長さ十五センチほどの切り傷があった。血が流れて、公園の地面に落ちている。
タカシが指を弾くと、植え込みからSウルフのひとりが走り出てきた。
腰のパウチを開けて、中からガーゼとテープを取りだした。大垣は身構えたので、俺は声をかけた。
「バックアップに俺が頼んだやつらだ。大垣さん、傷の手当てをしてもらった方がいい。」
タカシがわけがわからないという顔をした元警官に声をかけた。王からのじきじきのお褒めの言葉だ。
「バックアップなど、アンタには必要なかったな。悠はこんなやつだが、それでもうちのチームの切り札だ。たすけてくれて、ありがとう。」
俺が助けられた?冗談じゃない。
「そこで伸びてる寺内とかいう奴なら、ちゃんと俺が始末をつけたさ。」
王がドライアイスのような声でいった。
「そうか。悠の足は、そこにいるガキみたいに震えていたぞ。」
「ぷふっ。」
次にSウルフからの依頼がきたら、俺は断固断ってやる。
あと、将也の尻にいっぱつ蹴りをいれてやる。