ー特別編ー哀愁ブルドック
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午後四時ぴたりにカズマが東武口から西口公園に侵入してきた。
意外と小柄だ。
百七十センチないくらい。ぴちぴちに細いブラックジーンズに革のライダース。
髪は例のパンクスで、アイシャドウも写メと同じ。
『シザーハンズ』か、こいつ。いや、ジョニーデップ様に失礼だな。
やつはハルナの座るベンチのまえに立つと、おれさま声でいった。
「よう、久しぶりだな。ちょっとは反省したか」
ハルナは吐き気を我慢するような顔をしていた。
確かにこのガキは気持ちが悪い。
俺の方を見て、打ち合わせどうりのきっかけをいった。
「悠、こいつがイケモトカズマだよ」
俺はカズマの顔を見ながら、ゆっくりと立ちあがった。
「カズマって、お前か。おれがハルナの新しい男だ。」
Vシネマのような台詞だった。寒すぎる。
だが、このくらい分かりやすくないと、インパクトがないからな。
俺がやつに近づいていくと、やつは半歩さがった。
「昔の写真で、ハルナを揺すってるんだってな。最低の男だな、お前」
俺はシャツの胸ポケットの携帯を確かめた。
きちんと通話中になっているだろうか。
カズマの背後のベンチでは、元警官が聞き耳をたてていた。
ここはしっかりと恐喝犯を脅さなければいけない。
「おまえ、そんな写真が金になるとでも思ってるのか。金を揺するのも犯罪だし、写真をばら蒔いても犯罪だ」
「それがどうした」
池本和麻。二十七歳。AB型。臆病な乙女座。
おまけに職を転々とするフリーターの声は意外にかん高い。
「ハルナから、警察官のおえらいさんのクソオヤジの話はさんざん聞かされた。その女がバリバリのMになったのも、えらそうなオヤジのせいだろうが」
口喧嘩と意地の張り合いなら、俺が負けるわけがなかった。
さらにまえにすすみ、やつにプレッシャーをかけていった。
「間抜け。俺がハルナのおやじの心配をすると思うか。そんなやつがどうなろうが、関係ないんだよ。」
ベンチにいた元警官があわてて、腰を浮かせた。
俺はおかしくてしかたなかったが、なんとかこわもての顔を維持した。
「だがな、つきあってる女のヌードをばら蒔かれるのは気に入らない。俺はお前の携帯の番号もアドレスもしってる。お前が住んでるアパートもしってる。カズマ」
最後に名前を呼んだときの声は、平和な公園にいる周囲の人間が振り返るほどの激しさだった。
俺だって、芝居のひとつくらいできるのだ。
「……な、なんだよ」
「お前もこの街に住んでるんだから、Sウルフの話はきいたことがあるだろ。俺はそこの終身名誉会員みたいなもんだ。俺に逆らうのは、この街のガキ全員に逆らうのと同じだ。わかるか」
確かにキングの役も実際にやってみると気持ちがいいものだった。
完全にびびったようだ。
やつの足が震えているのがわかった。
意外と小柄だ。
百七十センチないくらい。ぴちぴちに細いブラックジーンズに革のライダース。
髪は例のパンクスで、アイシャドウも写メと同じ。
『シザーハンズ』か、こいつ。いや、ジョニーデップ様に失礼だな。
やつはハルナの座るベンチのまえに立つと、おれさま声でいった。
「よう、久しぶりだな。ちょっとは反省したか」
ハルナは吐き気を我慢するような顔をしていた。
確かにこのガキは気持ちが悪い。
俺の方を見て、打ち合わせどうりのきっかけをいった。
「悠、こいつがイケモトカズマだよ」
俺はカズマの顔を見ながら、ゆっくりと立ちあがった。
「カズマって、お前か。おれがハルナの新しい男だ。」
Vシネマのような台詞だった。寒すぎる。
だが、このくらい分かりやすくないと、インパクトがないからな。
俺がやつに近づいていくと、やつは半歩さがった。
「昔の写真で、ハルナを揺すってるんだってな。最低の男だな、お前」
俺はシャツの胸ポケットの携帯を確かめた。
きちんと通話中になっているだろうか。
カズマの背後のベンチでは、元警官が聞き耳をたてていた。
ここはしっかりと恐喝犯を脅さなければいけない。
「おまえ、そんな写真が金になるとでも思ってるのか。金を揺するのも犯罪だし、写真をばら蒔いても犯罪だ」
「それがどうした」
池本和麻。二十七歳。AB型。臆病な乙女座。
おまけに職を転々とするフリーターの声は意外にかん高い。
「ハルナから、警察官のおえらいさんのクソオヤジの話はさんざん聞かされた。その女がバリバリのMになったのも、えらそうなオヤジのせいだろうが」
口喧嘩と意地の張り合いなら、俺が負けるわけがなかった。
さらにまえにすすみ、やつにプレッシャーをかけていった。
「間抜け。俺がハルナのおやじの心配をすると思うか。そんなやつがどうなろうが、関係ないんだよ。」
ベンチにいた元警官があわてて、腰を浮かせた。
俺はおかしくてしかたなかったが、なんとかこわもての顔を維持した。
「だがな、つきあってる女のヌードをばら蒔かれるのは気に入らない。俺はお前の携帯の番号もアドレスもしってる。お前が住んでるアパートもしってる。カズマ」
最後に名前を呼んだときの声は、平和な公園にいる周囲の人間が振り返るほどの激しさだった。
俺だって、芝居のひとつくらいできるのだ。
「……な、なんだよ」
「お前もこの街に住んでるんだから、Sウルフの話はきいたことがあるだろ。俺はそこの終身名誉会員みたいなもんだ。俺に逆らうのは、この街のガキ全員に逆らうのと同じだ。わかるか」
確かにキングの役も実際にやってみると気持ちがいいものだった。
完全にびびったようだ。
やつの足が震えているのがわかった。