ー特別編ー哀愁ブルドック
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俺はいきなりのののしりから始まるメールを見せてから、ハルナにきいた。
「このころ、なにがあったんだ」
最低のくず女!から始まるメールを読んでも、ハルナはまったく顔色を変えない。
「束縛がひどくて、うんざりしてきたんだ。それで、許可なく合コンにいったら、そのあとはずっと切れまくり。カズマって、自分のいうとおりに動く人形みたいな女が好きなんだよ。」
年がいくつでも関係なかった。
その手の未成熟な男はどこにでもいる。メールを読んでいくと、態度が急変してから二週間後にふたりは別れ、さらに翌週には恐喝が始まっている。
すばらしかった恋愛のうんざりするような幕切れを読まされて、俺も将也もげんなりしてしまった。
こんなことなら、秋の池袋で独り身も悪くない。
「さて。ちょっといってみるか」
将也は新規メール作成の画面を呼び出して、肩をまわした。
俺は遠くのベンチの大垣に目をやった。
あきれた顔で初老のクマが見つめ返してきた。
将也が打ち込んだ偽者メールはこんな感じ。
>久しぶり、カズマ
>あれから、色々考えたけど
>私が悪いところも
>少しあった気がするんだ。
>約束のお金、全部はみりだけど、
>ちょっと用意できたから、
>今日会えないかな?
>カズマの顔もみたいし
>四時に西口公園で
>待ってるね、きっとだよ
ハートマークを三回続けたところで、将也が身震いしたようにみえたが俺はなんとか笑いをこらえた。
ハルナは横からディスプレイをのぞき込んで、非難の声をあげた。
「いっとくけど、わたしはあんなやつの顔なんて全然みたくもないし、私が悪かったなんてこれっぽっちも思ってないから」
それはそうだろ。
ベッドでの写真で別れた女を脅すようなクズである。
俺はいった。
「わかってる。もちろん金だって一円もやるつもりもない。だが、自分勝手な男には、これくらいのエサを撒いておいた方がいいんだ。やつらはみんな自分が世界の中心だと思っているからな
「それはそうかもしんないけど」
ハルナは納得のいかない顔でそういった。
カズマとの待ち合わせの二十分前に再集合することにして解散した。
ハルナはパルコで秋冬ものの服でも見て時間を潰すそうだ。
俺はふらふらと東武口に遠ざかっていくホットパンツのうしろ姿を見送って、別のベンチに移動した。
「悠、将也、ほんとうにメール1本で池本がつりあがるのか。どうも、君たちは危なっかしくていけない」
サングラスをはずすと目が小さくて、なかなか愛嬌のある顔だった。
俺は肩をすくめた。
「わかんないよ。」
将也がいった。
「でも、メールでは金をわたすと書いたし、まだ池本に未練がある振りもしておいた。たぶんおおよろこびでついてくるんじゃないか」
俺がベンチのとなりに座ると、大垣がスポーツ新聞を畳んだ。
「このころ、なにがあったんだ」
最低のくず女!から始まるメールを読んでも、ハルナはまったく顔色を変えない。
「束縛がひどくて、うんざりしてきたんだ。それで、許可なく合コンにいったら、そのあとはずっと切れまくり。カズマって、自分のいうとおりに動く人形みたいな女が好きなんだよ。」
年がいくつでも関係なかった。
その手の未成熟な男はどこにでもいる。メールを読んでいくと、態度が急変してから二週間後にふたりは別れ、さらに翌週には恐喝が始まっている。
すばらしかった恋愛のうんざりするような幕切れを読まされて、俺も将也もげんなりしてしまった。
こんなことなら、秋の池袋で独り身も悪くない。
「さて。ちょっといってみるか」
将也は新規メール作成の画面を呼び出して、肩をまわした。
俺は遠くのベンチの大垣に目をやった。
あきれた顔で初老のクマが見つめ返してきた。
将也が打ち込んだ偽者メールはこんな感じ。
>久しぶり、カズマ
>あれから、色々考えたけど
>私が悪いところも
>少しあった気がするんだ。
>約束のお金、全部はみりだけど、
>ちょっと用意できたから、
>今日会えないかな?
>カズマの顔もみたいし
>四時に西口公園で
>待ってるね、きっとだよ
ハートマークを三回続けたところで、将也が身震いしたようにみえたが俺はなんとか笑いをこらえた。
ハルナは横からディスプレイをのぞき込んで、非難の声をあげた。
「いっとくけど、わたしはあんなやつの顔なんて全然みたくもないし、私が悪かったなんてこれっぽっちも思ってないから」
それはそうだろ。
ベッドでの写真で別れた女を脅すようなクズである。
俺はいった。
「わかってる。もちろん金だって一円もやるつもりもない。だが、自分勝手な男には、これくらいのエサを撒いておいた方がいいんだ。やつらはみんな自分が世界の中心だと思っているからな
「それはそうかもしんないけど」
ハルナは納得のいかない顔でそういった。
カズマとの待ち合わせの二十分前に再集合することにして解散した。
ハルナはパルコで秋冬ものの服でも見て時間を潰すそうだ。
俺はふらふらと東武口に遠ざかっていくホットパンツのうしろ姿を見送って、別のベンチに移動した。
「悠、将也、ほんとうにメール1本で池本がつりあがるのか。どうも、君たちは危なっかしくていけない」
サングラスをはずすと目が小さくて、なかなか愛嬌のある顔だった。
俺は肩をすくめた。
「わかんないよ。」
将也がいった。
「でも、メールでは金をわたすと書いたし、まだ池本に未練がある振りもしておいた。たぶんおおよろこびでついてくるんじゃないか」
俺がベンチのとなりに座ると、大垣がスポーツ新聞を畳んだ。