ー特別編ーストリートキャッチャー
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くたくたに疲れた帰り道、俺とタカシは池袋アンダーグラウンドバーのラスタ・ラヴに寄った。
冷房がキンキンにきいている店で一杯やりたかったのだ。
VIPルームにあがるとすぐに入り口には貸切りのプレートが下げられる。
タカシもさすがに疲れているようだった。
頬の線が一段とシャープになっている。
カウンターのうえには命の水、生ビールがふたつ。
「女たちからアドレスをきくのはなんでもないが、一日炎天下の立ち仕事はきついな」
王様はビールを一息であけると、俺のほうをむいた。
「そういえば、いいアイディアは浮かんだか」
浮かぶはずがなかった。
女たちに声をかけるだけで、神経をすり減らしていたのだから。
俺にとっては炎天下より、そちらのほうが大問題。
なにせナンパには慣れていないのだ。
俺は澪に、タカシは美喜に二杯目のビールを注いでもらいグラスを受けとる。
「なあ、どうやったら、あんなふうに携帯とかアドレスとかききだせるんだ」
タカシはじっと俺を見ると、笑い声をあげた。
「お前は自分をどう見られれかとか、いい人間に見せようとか余計なことを意識していないか。相手のことより先に自分のことを考えていたら、うまくいくものもうまくいかないさ。俺は自分などどうでもいいし、女の連絡先もどうでもいい。ただ相手の反応に集中してるだけだ」
リバーとコリンのルックス上の問題はおいておくが、やはり目のつけどころが違うのだろう。
俺はぼやいた。
「このままじゃあ、つぎの朝礼でブラッド宮元にやられるのは間違いなく俺だな。」
笑い声が返ってくるかと思ってタカシを見ると、やつはジッと見つめ返してきた。
まじめな顔をしていった。
「そいつがいいかもしれない。お前はブラッドに殴られる。俺は表彰を受けて、ステージの近くから、そいつをシューティングする」
悪くないアイディアはだった。
タカシはニヤリと笑って俺にいった。
「俺たちの知り合いで、一番盗撮が上手いのは誰だ。」
正解ならいうまでもなくわかっていた。
もう何度も危ない橋をいっしょにわたった経験豊富な女がいる。
「古川稲葉。」
キングがうなずいて、またビールを空けた。
「すぐに連絡をとれ。撮影のチャンスは一回しかない。つぎの朝礼だ。俺はそれ以上立ちん坊でキャッチはやらないぞ。オカマ声でリバーなんて呼ばれるのも腹が立つ」
「イエス、サー、リバー」
おれがそういうとタカシは露骨に嫌な顔をした。
考えるのは俺の役だったはずなのに、今回はタカシに完敗である。
この話の主役をやつに譲って、もう引退しようかな。
冷房がキンキンにきいている店で一杯やりたかったのだ。
VIPルームにあがるとすぐに入り口には貸切りのプレートが下げられる。
タカシもさすがに疲れているようだった。
頬の線が一段とシャープになっている。
カウンターのうえには命の水、生ビールがふたつ。
「女たちからアドレスをきくのはなんでもないが、一日炎天下の立ち仕事はきついな」
王様はビールを一息であけると、俺のほうをむいた。
「そういえば、いいアイディアは浮かんだか」
浮かぶはずがなかった。
女たちに声をかけるだけで、神経をすり減らしていたのだから。
俺にとっては炎天下より、そちらのほうが大問題。
なにせナンパには慣れていないのだ。
俺は澪に、タカシは美喜に二杯目のビールを注いでもらいグラスを受けとる。
「なあ、どうやったら、あんなふうに携帯とかアドレスとかききだせるんだ」
タカシはじっと俺を見ると、笑い声をあげた。
「お前は自分をどう見られれかとか、いい人間に見せようとか余計なことを意識していないか。相手のことより先に自分のことを考えていたら、うまくいくものもうまくいかないさ。俺は自分などどうでもいいし、女の連絡先もどうでもいい。ただ相手の反応に集中してるだけだ」
リバーとコリンのルックス上の問題はおいておくが、やはり目のつけどころが違うのだろう。
俺はぼやいた。
「このままじゃあ、つぎの朝礼でブラッド宮元にやられるのは間違いなく俺だな。」
笑い声が返ってくるかと思ってタカシを見ると、やつはジッと見つめ返してきた。
まじめな顔をしていった。
「そいつがいいかもしれない。お前はブラッドに殴られる。俺は表彰を受けて、ステージの近くから、そいつをシューティングする」
悪くないアイディアはだった。
タカシはニヤリと笑って俺にいった。
「俺たちの知り合いで、一番盗撮が上手いのは誰だ。」
正解ならいうまでもなくわかっていた。
もう何度も危ない橋をいっしょにわたった経験豊富な女がいる。
「古川稲葉。」
キングがうなずいて、またビールを空けた。
「すぐに連絡をとれ。撮影のチャンスは一回しかない。つぎの朝礼だ。俺はそれ以上立ちん坊でキャッチはやらないぞ。オカマ声でリバーなんて呼ばれるのも腹が立つ」
「イエス、サー、リバー」
おれがそういうとタカシは露骨に嫌な顔をした。
考えるのは俺の役だったはずなのに、今回はタカシに完敗である。
この話の主役をやつに譲って、もう引退しようかな。