ー特別編ーストリートキャッチャー
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目白の駅舎は三角屋根で、とがった部分にはステンドグラスがはめ込まれている。
池袋とは大違いのメルヘン風だ。
山手線や埼京線をまたぐ陸橋のうえが広場になっていて、いつもたくさんの学生がいきかっている。
俺はぼんやりとビジネスホテルの花壇に腰かけた。
遠く広場の中央にたつ街灯のしたにスーツ姿の男たちが四人ばかり集合していた。
全員ダークスーツだが、やはりどこか堅気のサラリーマンとは違う水っぽい着こなし。
みなよく日焼けしている。それもスポーツでやけたというより、機械で無理して均等に焼いたフラットな感じ。
年長の男が短い挨拶をすると、四人は散らばって、改札からでてくる女たちにつぎつぎと声をかけ始めた。
まったく相手は選んでいないようだった。
ほとんどの場合あっさりと無視されるのだが、なかには立ち止まって話を聞いてくれるカモもいる。
すると男たちはみな両手を胸のまえで組んで、女らしいジェスチャーをまじえて必死に口説き始めるのだ。
一対一にもちこめるようだと、すぐに援軍がやってくる。
ふたりがかりで誉めあげられた女は、駅前広場で頬を赤くして観察していると、なかなか興味深かった。
小一時間ほど眺めていると、動きがあった。
カフェに連行していこうとしていた女がいきなり怒りだして、キャッチの男を置き去りにして改札に駆け込んでしまったのだ。
若い男がなにか女が傷つくようなことをいったのかもしれない。
「おまえ、なにやってんだ」
先程までジェスチャーゲームのようにくるくると指先を動かしていた男の声とは思えなかった。
リーダー格の男が若いキャッチの頬を、いきなり平手で殴り付けたのである。
顔を張られた男は直立不動で叫んだ。
「申し訳ありません。気合い入れてくださって、ありがとうございます」
百点満点の美の館は、どうやらたいへんな体育会系のようだった。
男たちはまたカモを探す声かけ義務にもどった。
俺は日陰の花壇から立ち上がり、先程頬をたたかれた若いガキのほうに近づいていった。
夕方が近づいて、改札から出てくる人の数がだいぶ増えていた。
背後からそっと声をかける。
「たいへんでしたね。」
振り向いた顔に笑いは無かった。
男に用はないのだろう。
睨み付けるように俺の格好を確かめる。
おれは軽く頭をさげた。
「すいません。さっきから見てたんですけど、そっちの仕事はどうですか。ちゃんと歩会はもらえるんでしょうか」
日焼けしたガキは俺がなにをいっているのか、わからないようだった。
池袋とは大違いのメルヘン風だ。
山手線や埼京線をまたぐ陸橋のうえが広場になっていて、いつもたくさんの学生がいきかっている。
俺はぼんやりとビジネスホテルの花壇に腰かけた。
遠く広場の中央にたつ街灯のしたにスーツ姿の男たちが四人ばかり集合していた。
全員ダークスーツだが、やはりどこか堅気のサラリーマンとは違う水っぽい着こなし。
みなよく日焼けしている。それもスポーツでやけたというより、機械で無理して均等に焼いたフラットな感じ。
年長の男が短い挨拶をすると、四人は散らばって、改札からでてくる女たちにつぎつぎと声をかけ始めた。
まったく相手は選んでいないようだった。
ほとんどの場合あっさりと無視されるのだが、なかには立ち止まって話を聞いてくれるカモもいる。
すると男たちはみな両手を胸のまえで組んで、女らしいジェスチャーをまじえて必死に口説き始めるのだ。
一対一にもちこめるようだと、すぐに援軍がやってくる。
ふたりがかりで誉めあげられた女は、駅前広場で頬を赤くして観察していると、なかなか興味深かった。
小一時間ほど眺めていると、動きがあった。
カフェに連行していこうとしていた女がいきなり怒りだして、キャッチの男を置き去りにして改札に駆け込んでしまったのだ。
若い男がなにか女が傷つくようなことをいったのかもしれない。
「おまえ、なにやってんだ」
先程までジェスチャーゲームのようにくるくると指先を動かしていた男の声とは思えなかった。
リーダー格の男が若いキャッチの頬を、いきなり平手で殴り付けたのである。
顔を張られた男は直立不動で叫んだ。
「申し訳ありません。気合い入れてくださって、ありがとうございます」
百点満点の美の館は、どうやらたいへんな体育会系のようだった。
男たちはまたカモを探す声かけ義務にもどった。
俺は日陰の花壇から立ち上がり、先程頬をたたかれた若いガキのほうに近づいていった。
夕方が近づいて、改札から出てくる人の数がだいぶ増えていた。
背後からそっと声をかける。
「たいへんでしたね。」
振り向いた顔に笑いは無かった。
男に用はないのだろう。
睨み付けるように俺の格好を確かめる。
おれは軽く頭をさげた。
「すいません。さっきから見てたんですけど、そっちの仕事はどうですか。ちゃんと歩会はもらえるんでしょうか」
日焼けしたガキは俺がなにをいっているのか、わからないようだった。