ー特別編ーストリートキャッチャー
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「待ってください、小鳥遊さん。」
すがるような目で俺を見て、ナナエがテーブルに頭をさげた。
それを見て、ミチコも頭を下げる。
残るミス平凡は口のなかでぶつぶついうだけで、まっすぐ俺をにらんでいた。
「このままでは、今日にもわたしたちと同じような被害者が生まれることになる。ブラッド宮元はテレビのなかで冗談をいい続けるだろうし、被害者のなかで絶望した人が自ら命を絶つかもれない」
悪が軽やかに栄え、正義は重苦しく沈んでいく。
そいつは二十一世紀的には、ありふれた話。
ナナエの目が光っていた。ひとの顔は表情によって変わる。
イマイチだと思っていた女が、必死になると美人に見えてきたりするんだから不思議だ。
「お願い、小鳥遊さん。あの男のほんとうの顔を、みんなに知らせてほしいの。宮元が裏でどんな犯罪をやっているか、暴いてください」
お姉キャラの極悪人の化けの皮をはがす。
なんだか、とても池袋的な展開になってきた。
それならなにかできることが、俺にもあるかもしれない。
ナナエが上目づかいで心配そうにいった。
「報酬はどのくらいになるんでしょうか」
俺はタカシとの冗談を思い出した。
ぼったくり。
だが、なぜか俺には金の事になると潔癖症になる癖があるのだ。
俺はホテルのレストランの白い漆喰(しっくい)壁と毛足の長い絨毯に目をやった。
窓のむこうには、三重塔と初夏の緑。
「今日ごちそうになったから、ギャラはいいや。あとでかかった経費だけ、請求するよ。まあ、俺の場合、全然金はかからないと思うけど」
ナナエとミチコが手を叩いてよろこんでいると、ミス平凡がポツリといった。
「ブラッド宮元を潰したい」
俺はエスプレッソの最後の一口をのんで返事をした。
「はいはい」
携帯電話の番号とメールアドレスを交換して、俺たちはホテルのロビーで別れた。
そのまま目白通りをぶらぶらと駅にむかう。
仕事を引き受けたはいいが、俺にはなにもアイディアなんかなかった。
やけに強い日差しのなか、気の早いセミがイチョウ並木で鳴いているだけ。
いつも仕事を受けるときは、こんなものだった。
あとで好きなCDでもかけながら、じっくりと考えればいい。
俺は低学歴無年収、格差の底のほうで生きてるが、自分の頭で考える時間だけはたっぷりとあった。
だが、その前にミチコがキャッチされたという、目白駅まえの広場を見ておくことにした。
帰り道の途中だから、別に遠いわけでもないし。
そこで、俺はハンドレッドビューティのやり口をじかに目撃することになったのだ。
まぁ、被害者もつらいけど、キャッチする側だって下っ端はつらいってこと。
すがるような目で俺を見て、ナナエがテーブルに頭をさげた。
それを見て、ミチコも頭を下げる。
残るミス平凡は口のなかでぶつぶついうだけで、まっすぐ俺をにらんでいた。
「このままでは、今日にもわたしたちと同じような被害者が生まれることになる。ブラッド宮元はテレビのなかで冗談をいい続けるだろうし、被害者のなかで絶望した人が自ら命を絶つかもれない」
悪が軽やかに栄え、正義は重苦しく沈んでいく。
そいつは二十一世紀的には、ありふれた話。
ナナエの目が光っていた。ひとの顔は表情によって変わる。
イマイチだと思っていた女が、必死になると美人に見えてきたりするんだから不思議だ。
「お願い、小鳥遊さん。あの男のほんとうの顔を、みんなに知らせてほしいの。宮元が裏でどんな犯罪をやっているか、暴いてください」
お姉キャラの極悪人の化けの皮をはがす。
なんだか、とても池袋的な展開になってきた。
それならなにかできることが、俺にもあるかもしれない。
ナナエが上目づかいで心配そうにいった。
「報酬はどのくらいになるんでしょうか」
俺はタカシとの冗談を思い出した。
ぼったくり。
だが、なぜか俺には金の事になると潔癖症になる癖があるのだ。
俺はホテルのレストランの白い漆喰(しっくい)壁と毛足の長い絨毯に目をやった。
窓のむこうには、三重塔と初夏の緑。
「今日ごちそうになったから、ギャラはいいや。あとでかかった経費だけ、請求するよ。まあ、俺の場合、全然金はかからないと思うけど」
ナナエとミチコが手を叩いてよろこんでいると、ミス平凡がポツリといった。
「ブラッド宮元を潰したい」
俺はエスプレッソの最後の一口をのんで返事をした。
「はいはい」
携帯電話の番号とメールアドレスを交換して、俺たちはホテルのロビーで別れた。
そのまま目白通りをぶらぶらと駅にむかう。
仕事を引き受けたはいいが、俺にはなにもアイディアなんかなかった。
やけに強い日差しのなか、気の早いセミがイチョウ並木で鳴いているだけ。
いつも仕事を受けるときは、こんなものだった。
あとで好きなCDでもかけながら、じっくりと考えればいい。
俺は低学歴無年収、格差の底のほうで生きてるが、自分の頭で考える時間だけはたっぷりとあった。
だが、その前にミチコがキャッチされたという、目白駅まえの広場を見ておくことにした。
帰り道の途中だから、別に遠いわけでもないし。
そこで、俺はハンドレッドビューティのやり口をじかに目撃することになったのだ。
まぁ、被害者もつらいけど、キャッチする側だって下っ端はつらいってこと。