ー特別編ーストリートキャッチャー
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昼のコースでも食事はけっこうなボリュームだった。アスパラガスのリゾットに、焼き目のついた牛フィレのグリル。
俺たちは、しばらく食事に専念した。
それ以上、ブラッド宮元とハンドレッドビューティの話をしたら、せっかくの豪華イタリアンがまずくなるからな。
話が再開したのは、ドルチェのマンゴーのソルベになってからだ。
うなずくだけでずっと黙っていた最後のミス平凡が、かちりとスプーンをガラスの容器にもどすといった。
「ブラッド宮元を殺してやりたい」
おとなしそうな顔をしている女は、まず例外なく凶暴である。
これは俺が発見した定理だから、アンタも好きなところで使っていいよ。
俺は三人目をスルーして、ナナエに聞いた。
「だけど、アンタたちも被害者の会をつくってるくらいだから、法的な手段に訴えるつもりなんだろ」
とがったあごの先を沈めて、被害者の会代表は浮かない顔をした。
「そうなんだけどね、今日は午前中に弁護士の先生と話をしてきたの」
それなら俺のでる幕はなくなるだろう。
ラッキーと思っていると、意外な返事が戻ってきた。
「訴訟を起こすことはできるけど、エステ関係ではもうたくさんの判例があって、全額返金させることはむずかしいんですって。こちらも一応サービスを受けているし、自分から誓約書にサインをしているので」
俺はなけなしの消費者問題の知識を探った。
「クーリングオフはどうなんだ。あれはサインしてから八日間だったら、契約解除できるだろ。」
するとミチコが口を開いた。
「わたしもおしまいのほうは不安に思って、クーリングオフの期間にジョーさんに電話してみたんです。そうしたら、海外に出張にいっていないっていわれて。会社のほうでは個々の客の情報がわからない。どうしょうもありません。それでうやむやにされてしまったんです。」
キャッチセールスによくある不誠実な対応というやつだ。
「弁護士の先生がいうには、訴訟を起こしても長い時間がかかるし、返ってくる金額はとても満足のいくものにはならない。弁護士費用もバカにならないという話だったの。マスコミ関係にも接触して、アピールはしてるんだけど」
ミス平凡がまたポツリと漏らした。
「ブラッド宮元を刺してやりたい」
俺はまたも凶暴な女を無視した。
「だったら、俺に何をさせたいんだ。俺には警察みたいな捜査力もないし、弁護士みたいに金をむしることもできない。悪いけど、アンタたちのトラブルにはなにもできないよ」
これで交渉決裂だろうか。俺はエスプレッソを飲みながら、今日のランチの代金は自分で払わなくちゃいけないと考えていた。
俺の一週間分の昼食代がむなしく消えていく。
俺たちは、しばらく食事に専念した。
それ以上、ブラッド宮元とハンドレッドビューティの話をしたら、せっかくの豪華イタリアンがまずくなるからな。
話が再開したのは、ドルチェのマンゴーのソルベになってからだ。
うなずくだけでずっと黙っていた最後のミス平凡が、かちりとスプーンをガラスの容器にもどすといった。
「ブラッド宮元を殺してやりたい」
おとなしそうな顔をしている女は、まず例外なく凶暴である。
これは俺が発見した定理だから、アンタも好きなところで使っていいよ。
俺は三人目をスルーして、ナナエに聞いた。
「だけど、アンタたちも被害者の会をつくってるくらいだから、法的な手段に訴えるつもりなんだろ」
とがったあごの先を沈めて、被害者の会代表は浮かない顔をした。
「そうなんだけどね、今日は午前中に弁護士の先生と話をしてきたの」
それなら俺のでる幕はなくなるだろう。
ラッキーと思っていると、意外な返事が戻ってきた。
「訴訟を起こすことはできるけど、エステ関係ではもうたくさんの判例があって、全額返金させることはむずかしいんですって。こちらも一応サービスを受けているし、自分から誓約書にサインをしているので」
俺はなけなしの消費者問題の知識を探った。
「クーリングオフはどうなんだ。あれはサインしてから八日間だったら、契約解除できるだろ。」
するとミチコが口を開いた。
「わたしもおしまいのほうは不安に思って、クーリングオフの期間にジョーさんに電話してみたんです。そうしたら、海外に出張にいっていないっていわれて。会社のほうでは個々の客の情報がわからない。どうしょうもありません。それでうやむやにされてしまったんです。」
キャッチセールスによくある不誠実な対応というやつだ。
「弁護士の先生がいうには、訴訟を起こしても長い時間がかかるし、返ってくる金額はとても満足のいくものにはならない。弁護士費用もバカにならないという話だったの。マスコミ関係にも接触して、アピールはしてるんだけど」
ミス平凡がまたポツリと漏らした。
「ブラッド宮元を刺してやりたい」
俺はまたも凶暴な女を無視した。
「だったら、俺に何をさせたいんだ。俺には警察みたいな捜査力もないし、弁護士みたいに金をむしることもできない。悪いけど、アンタたちのトラブルにはなにもできないよ」
これで交渉決裂だろうか。俺はエスプレッソを飲みながら、今日のランチの代金は自分で払わなくちゃいけないと考えていた。
俺の一週間分の昼食代がむなしく消えていく。