ー特別編ーストリートキャッチャー
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次の日適当に準備をしてから、俺は家を出た。
ミッドナイトブルーのスーツはオーダーメイドのゼニアだ。
タンスの肥やしになっている俺の一張羅(いっちょうら)。
真桜は目を丸くして、盛装したおれを見つめた。
「悠、そんな恰好でどこ行くなの…。見合いでもしに行くのかなの」
俺は胸に入れた白いチーフの形を整えた。シルクでも一枚二千円だ。このくらいなら、俺の寒い財布でも手が届く。
「目白のフォーシーズンズ」
敵はあやしげな眼で俺を見る。
「へぇ、お前がホテル…なの」
いつものことながら、俺の身近にいる人間はみな俺に正当な評価をくだすことができないのだ。
嫉妬しているのだろうか。
「うるへー。優雅にパスタをご馳走になりながら、仕事の依頼だ。」
「へえ、今度は少しはましな仕事みたいだななの」
スーツを着ているだけで、そんなふうに勘違いするんだから、真桜だってまだまだ子供だ。口には絶対出さないけど…
俺はタカシにされた質問を、真桜に投げてみた。
「なあ、ブラッド宮本って知ってるか?」
マオウはエアコンの送風口のしたに立って、うなずいた。
「ああ、けっこう苦労したやつみたいだななの。母ひとり子ひとりで、母親に楽をさせるために高校を中退して、ロスアンゼルスにわたって、むこうで最新のエステ技術を身に付けた…っと、このまえテレビの番組で泣いてたなの。まあ…あの性癖だと孫の顔が見れなくて、母親はかわいそう…なの」
ブラッド宮本は人気のお姉キャラ。日焼けした二丁目面に、そんな過去があったのか。
背景情報としては有効。
「じゃあいってくる」
「おー…いってこいなの。」
俺は真桜の声を背に駅へと向かった。
フォーシーズンズのイタリアンの名は、「イル・テアトロ」。
このホテルは椿山荘の緑の中にあって、窓の向こうは三重塔が見えたりする。
店内は完全にヨーロピアンだから、そのミスマッチが逆にひどく高級なのだ。
江戸時代の豪商の別宅というのは、こんな感じだったのかな。
ウエイターに先導されて俺が向かったのは、奥の壁際のソファ席だった。
毛足の長い絨毯なんてなれてないから、なんだか雲のうえを歩いているみたい。
店のなかのあちこちに子供の背丈ほどの花瓶があって、花がどっさり活けてある。
半円形のソファ席には三人の女が座っていた。
みな二十代後半から三十代前半というところだろうか。
みなりはそれぞによかった。
きれいにメイクして、高価そうな服を着て、上品な表情をしている。
だが、その場にいた三人を現すとしたら、俺なら一言で足りる。
(惜しい!)
実にそんな感じなのだ。
ほんとうの意味での美しさにも、上品さにも、センスのよさにもあと一歩届いていない。
すごく頑張ってるのはわかるんだけどな。
なあ、神様って残酷だろ。
ミッドナイトブルーのスーツはオーダーメイドのゼニアだ。
タンスの肥やしになっている俺の一張羅(いっちょうら)。
真桜は目を丸くして、盛装したおれを見つめた。
「悠、そんな恰好でどこ行くなの…。見合いでもしに行くのかなの」
俺は胸に入れた白いチーフの形を整えた。シルクでも一枚二千円だ。このくらいなら、俺の寒い財布でも手が届く。
「目白のフォーシーズンズ」
敵はあやしげな眼で俺を見る。
「へぇ、お前がホテル…なの」
いつものことながら、俺の身近にいる人間はみな俺に正当な評価をくだすことができないのだ。
嫉妬しているのだろうか。
「うるへー。優雅にパスタをご馳走になりながら、仕事の依頼だ。」
「へえ、今度は少しはましな仕事みたいだななの」
スーツを着ているだけで、そんなふうに勘違いするんだから、真桜だってまだまだ子供だ。口には絶対出さないけど…
俺はタカシにされた質問を、真桜に投げてみた。
「なあ、ブラッド宮本って知ってるか?」
マオウはエアコンの送風口のしたに立って、うなずいた。
「ああ、けっこう苦労したやつみたいだななの。母ひとり子ひとりで、母親に楽をさせるために高校を中退して、ロスアンゼルスにわたって、むこうで最新のエステ技術を身に付けた…っと、このまえテレビの番組で泣いてたなの。まあ…あの性癖だと孫の顔が見れなくて、母親はかわいそう…なの」
ブラッド宮本は人気のお姉キャラ。日焼けした二丁目面に、そんな過去があったのか。
背景情報としては有効。
「じゃあいってくる」
「おー…いってこいなの。」
俺は真桜の声を背に駅へと向かった。
フォーシーズンズのイタリアンの名は、「イル・テアトロ」。
このホテルは椿山荘の緑の中にあって、窓の向こうは三重塔が見えたりする。
店内は完全にヨーロピアンだから、そのミスマッチが逆にひどく高級なのだ。
江戸時代の豪商の別宅というのは、こんな感じだったのかな。
ウエイターに先導されて俺が向かったのは、奥の壁際のソファ席だった。
毛足の長い絨毯なんてなれてないから、なんだか雲のうえを歩いているみたい。
店のなかのあちこちに子供の背丈ほどの花瓶があって、花がどっさり活けてある。
半円形のソファ席には三人の女が座っていた。
みな二十代後半から三十代前半というところだろうか。
みなりはそれぞによかった。
きれいにメイクして、高価そうな服を着て、上品な表情をしている。
だが、その場にいた三人を現すとしたら、俺なら一言で足りる。
(惜しい!)
実にそんな感じなのだ。
ほんとうの意味での美しさにも、上品さにも、センスのよさにもあと一歩届いていない。
すごく頑張ってるのはわかるんだけどな。
なあ、神様って残酷だろ。