ー特別編ーブラフ・テレフォン
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「これからはちゃんと上納金を納めますから、今日のところは助けてください。一生懸命働きますから、つかってやってください」
ヨウジのように自分より弱いものは徹底的に潰しにかかり、力の強いものには尻尾を振る。
それが世の習いだとはいっても、目の前でみると吐き気のでる場面だった。
岩瀬がいった。
『そこにいる人間で、浅川を自由にしてかまわん。この件にはうちは一切ふれていない。落とし前はきっちりとつけさせろ』
携帯はきれた。
静かになったウィークリーマンションで、最初に口を開いたのは専務の古田だった。
「社長、上納金を納めていないって、どういうことなんですか」
俺は肩をすくめていった。
「お前たちの社長は欲が深くてな、ヤクザへの上納金だといって、売り上げの三割を自分の懐にいれてたのさ」
爽やかなヴィジュアル系の顔がゆがんで、古田が吠えた。
「ざけんなよ、浅川」
「静かにしろよ。他の住人の迷惑になる。上納金のからくりに気づいたヨウジを病院送りにしたのも浅川だ。」
俺は部屋の隅に移動した。三人のガキのまえでしゃがみこむ。
やつらは街のナンパなチンピラ風で、とても武闘派には見えなかった。
それでも自分の報酬には敏感なのだろう。
ギラギラした目で浅川をにらんでいる。
「お前たち、浅川をどうする。俺たちが代わりに焼きをいれてもいいし、お前たちに任せてもいい。ただな、岩瀬さんの手前、中途半端はできないんだ。」
ヴィジュアル系の専務が長髪を乱していった。
「俺たちに任せてくれませんか、浅川にはこれまで散々こきつかわれてきたから。それで、いいよな」
残るふたりに問いかける。泣き屋も被害者役も、即座にうなずいた。
俺は立ち上がり、タカシにいった。
「こんなところでいいだろう」
王様がうなずくと、Sウルフのひとりが浅川に猿ぐつわをかませた。
タカシは子どもにおもちゃでもやるようにいう。
「得物をおいていってやれ」
床のうえに三本のステンレス製特殊警棒がおかれた。先端には直径二センチの鋼球がついている。
柄は衝撃を吸収するラバーフォームグリップだ。
あとは薄型テレビのリモコンくらいの大きさの改造スタンガン。
バッテリーを容量の大きなものに替えてあるので、にぎりの部分が黒いガムテープで不格好に膨らんでいる。
タカシは涼しい声でいった。
「頭と腹はやめておけ。殺人犯にはなりたくないだろ。腕と足なら、好きにしていい。」
キングが指をはじくと、Sウルフは波にさらわれる砂のように、玄関から吸いだされていった。
部屋をでる直前、最後におれが見たのは、床のうえで鈍く輝く特殊警棒の銀色だった。
専務の細い指先が、ゆっくりとグリップをつかもうとしている。
ヨウジのように自分より弱いものは徹底的に潰しにかかり、力の強いものには尻尾を振る。
それが世の習いだとはいっても、目の前でみると吐き気のでる場面だった。
岩瀬がいった。
『そこにいる人間で、浅川を自由にしてかまわん。この件にはうちは一切ふれていない。落とし前はきっちりとつけさせろ』
携帯はきれた。
静かになったウィークリーマンションで、最初に口を開いたのは専務の古田だった。
「社長、上納金を納めていないって、どういうことなんですか」
俺は肩をすくめていった。
「お前たちの社長は欲が深くてな、ヤクザへの上納金だといって、売り上げの三割を自分の懐にいれてたのさ」
爽やかなヴィジュアル系の顔がゆがんで、古田が吠えた。
「ざけんなよ、浅川」
「静かにしろよ。他の住人の迷惑になる。上納金のからくりに気づいたヨウジを病院送りにしたのも浅川だ。」
俺は部屋の隅に移動した。三人のガキのまえでしゃがみこむ。
やつらは街のナンパなチンピラ風で、とても武闘派には見えなかった。
それでも自分の報酬には敏感なのだろう。
ギラギラした目で浅川をにらんでいる。
「お前たち、浅川をどうする。俺たちが代わりに焼きをいれてもいいし、お前たちに任せてもいい。ただな、岩瀬さんの手前、中途半端はできないんだ。」
ヴィジュアル系の専務が長髪を乱していった。
「俺たちに任せてくれませんか、浅川にはこれまで散々こきつかわれてきたから。それで、いいよな」
残るふたりに問いかける。泣き屋も被害者役も、即座にうなずいた。
俺は立ち上がり、タカシにいった。
「こんなところでいいだろう」
王様がうなずくと、Sウルフのひとりが浅川に猿ぐつわをかませた。
タカシは子どもにおもちゃでもやるようにいう。
「得物をおいていってやれ」
床のうえに三本のステンレス製特殊警棒がおかれた。先端には直径二センチの鋼球がついている。
柄は衝撃を吸収するラバーフォームグリップだ。
あとは薄型テレビのリモコンくらいの大きさの改造スタンガン。
バッテリーを容量の大きなものに替えてあるので、にぎりの部分が黒いガムテープで不格好に膨らんでいる。
タカシは涼しい声でいった。
「頭と腹はやめておけ。殺人犯にはなりたくないだろ。腕と足なら、好きにしていい。」
キングが指をはじくと、Sウルフは波にさらわれる砂のように、玄関から吸いだされていった。
部屋をでる直前、最後におれが見たのは、床のうえで鈍く輝く特殊警棒の銀色だった。
専務の細い指先が、ゆっくりとグリップをつかもうとしている。