ー特別編ーブラフ・テレフォン
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その日は火曜日だった。
今週の残りはあと三日しかない。
振り込め詐欺は銀行の営業時間の都合もあって、きっちりと週休二日なのだ。
俺はいくつか作戦のプランを考えたが、一番シンプルな方法がいいと翌日には結論をだした。
こんなネタを考えるときはカミソリみたいにシャープなグルダのモーツァルトはドンピシャのBGM。
崇に電話をいれたのは水曜日だった。
王の威厳をもって、やつは電話に出る。
『なんだ』
「明日、精鋭を六人貸してほしい」
『毎度』
俺は浅川と会社の話をした。
ケツモチの暴力団は虚勢だったこと。
社長の浅川が上納金三十パーセントを懐にいれていたこと。
ヨウジが襲撃されたこと。
タカシはふんふんと鼻でうなずいていう。
『わかった。それでどうする』
俺は今回の簡単極まりない計画を話してやった。
『なんだ。おれの出番はほとんどないじゃないか』
しかたない。なにせ、相手は携帯電話をつかった詐欺グループなのだ。
まったく武闘派ではない。俺はタカシの電話を切ると、つぎに拳二の番号を選択した。
翌日は快晴の春の日。
こんなあたたかな陽気ばかり続けば、サクラの開花はもうすぐだろう。
俺達が要町に集合したのは、とろりと陽射しも眠たげな午後三時。
振り込め詐欺の稼ぎどきだった。
メルセデスのRVとMPVの二台には、Sウルフきっての武闘派、紅をリーダーに六人。加えて、俺とタカシがのりこんでいた。
ヨウジのいない会社のメンバーは四人。
二対一なら十二分な戦闘力だった。
俺達は午前中にヨウジに書いてもらったウィークリーマンションの内部の地図と402号室の間取りを、何度も確認している。
部屋の合鍵はすでにヨウジから預かっていた。
だからいったろ。今回はでたらめにチョロい仕事だって。
「さて、いくか。」
タカシが冷たい声でそういって、メルセデスの後部座席をおりた。
無言のまま、黒いトラックスーツのSウルフが続く。武器はほとんど使うことはないだろう。
もってるのは改造スタンガンと特殊警棒くらいのものだ。
紅を筆頭に黒ずくめのガキが、ウィークリーマンションの狭いエントランスに密集する。
「んじゃ、参謀長よろしく。」
紅はニコリと笑って肩を叩く。
おれはパーカーのポケットから合鍵を抜いて、オートロックの操作盤にさしこんだ。
ガラスの自動ドアが開く。Sウルフは黒い奔流となって、非常階段を音もなく駆けあがっていった。
402号室のまえに全員が集合した。
タカシが俺にうなずき、紅もうなずく。
俺も二人にうなずき返した。
俺達三人以外のメンバーは、外から見えないように外廊下にしゃがみこんでいる。
Sウルフはみな銀のバンダナで顔のした半分を隠していた。
今週の残りはあと三日しかない。
振り込め詐欺は銀行の営業時間の都合もあって、きっちりと週休二日なのだ。
俺はいくつか作戦のプランを考えたが、一番シンプルな方法がいいと翌日には結論をだした。
こんなネタを考えるときはカミソリみたいにシャープなグルダのモーツァルトはドンピシャのBGM。
崇に電話をいれたのは水曜日だった。
王の威厳をもって、やつは電話に出る。
『なんだ』
「明日、精鋭を六人貸してほしい」
『毎度』
俺は浅川と会社の話をした。
ケツモチの暴力団は虚勢だったこと。
社長の浅川が上納金三十パーセントを懐にいれていたこと。
ヨウジが襲撃されたこと。
タカシはふんふんと鼻でうなずいていう。
『わかった。それでどうする』
俺は今回の簡単極まりない計画を話してやった。
『なんだ。おれの出番はほとんどないじゃないか』
しかたない。なにせ、相手は携帯電話をつかった詐欺グループなのだ。
まったく武闘派ではない。俺はタカシの電話を切ると、つぎに拳二の番号を選択した。
翌日は快晴の春の日。
こんなあたたかな陽気ばかり続けば、サクラの開花はもうすぐだろう。
俺達が要町に集合したのは、とろりと陽射しも眠たげな午後三時。
振り込め詐欺の稼ぎどきだった。
メルセデスのRVとMPVの二台には、Sウルフきっての武闘派、紅をリーダーに六人。加えて、俺とタカシがのりこんでいた。
ヨウジのいない会社のメンバーは四人。
二対一なら十二分な戦闘力だった。
俺達は午前中にヨウジに書いてもらったウィークリーマンションの内部の地図と402号室の間取りを、何度も確認している。
部屋の合鍵はすでにヨウジから預かっていた。
だからいったろ。今回はでたらめにチョロい仕事だって。
「さて、いくか。」
タカシが冷たい声でそういって、メルセデスの後部座席をおりた。
無言のまま、黒いトラックスーツのSウルフが続く。武器はほとんど使うことはないだろう。
もってるのは改造スタンガンと特殊警棒くらいのものだ。
紅を筆頭に黒ずくめのガキが、ウィークリーマンションの狭いエントランスに密集する。
「んじゃ、参謀長よろしく。」
紅はニコリと笑って肩を叩く。
おれはパーカーのポケットから合鍵を抜いて、オートロックの操作盤にさしこんだ。
ガラスの自動ドアが開く。Sウルフは黒い奔流となって、非常階段を音もなく駆けあがっていった。
402号室のまえに全員が集合した。
タカシが俺にうなずき、紅もうなずく。
俺も二人にうなずき返した。
俺達三人以外のメンバーは、外から見えないように外廊下にしゃがみこんでいる。
Sウルフはみな銀のバンダナで顔のした半分を隠していた。