ー特別編ーブラフ・テレフォン
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「あのまま殺されるかと思ったよ。やつらは角材や特殊警棒で、おれをめった打ちにした。おれは身体を丸めて耐えるだけだった。でも、一番ショックだったのは、携帯をとられてふたつに折られたときだったな。もう助けを呼ぶこともできない。誰にも繋がらない。絶望的だ」
よかった。
確かに振り込め詐欺グループの多くは、鉄の掟で結ばれている。
そのままどこかの山中に埋められる可能性もあったのだ。
非合法な仕事をしているやつは、まず警察に密告したりしないからな。
ヨウジはかすれた声でいう。
「でも、さすがにやつらも、人を殺すのはためらいがあったみたいだ。浅川がおれの髪をつかんで、顔を自分にむけさせた。今度のことは誰にも言うんじゃない。サツに届ければ、つぎは殺すぞ。ケツモチの話を会社のやつらにバラしても同じだ。おまえはうちの会社から放り出すが、生きていたけりゃ口を閉じていろ。それで……」
「それで」
「やつはおれの顔につばを吐いた。おまえは電話以外取り柄のないクズだといってな」
「そうか」
俺とヨウジはしばらく黙りこんだ。
病院の外の通りを、廃品回収のトラックが流しているようだった。
ご不要になったパソコン、テレビ、ステレオ、無料でお引き取りいたします。
さて、浅川のやつをどうするか。そのまえに確かめなきゃならないことがある。
「黒いワゴンに乗っていた男たちは、どんなやつらだった」
ヨウジは不思議そうな顔をした。
「どんなやつらって、おれや悠みたいな、普通の若いやつだったけど」
「やっぱり本職じゃないんだよな」
俺はまだ暴力団の筋も残っているかもしれないと思っていた。
「四人のうち、ひとりの顔をみたことがある。会社の打ち上げの二次会だった。浅川が昔いっしょに遊んでいたワルの仲間だったらしい。本職なんかじゃないさ。迫力が違うから。」
俺は前髪をかきあげてヨウジの目をジッと見つめて聞いた。
「お前は浅川をどうしたい?」
やつはゆっくりとため息をついていった。
「この病院のベッドで、何度もそいつを考えた。頭のなかでは、もうなん十回も殺してる。でも、実際にはそんなことはしたくないな。おれと同じ痛い目にあわせて、会社さえ潰せればそれで十分だ」
俺はやつにニヤリと笑いかけた。
「まあ、そんなところだろうな。ヨウジはいつ退院するんだ」
「明日にでも出られる。肋骨は三本いってるけど、病院ではなにもできないんだ。自然に治るのを待つしかない。」
「わかった。今度は俺たちが攻撃する番だな。」
ヨウジはベッドで上半身を起こした。すがるような目で俺を見る。
「それなら、急いでくれ。来週には事務所の引っ越しがある。もう今のところで三ヶ月近くになるんだ。会社の居場所を変えられたら、浅川の行方を探すのは難しくなる」
よかった。
確かに振り込め詐欺グループの多くは、鉄の掟で結ばれている。
そのままどこかの山中に埋められる可能性もあったのだ。
非合法な仕事をしているやつは、まず警察に密告したりしないからな。
ヨウジはかすれた声でいう。
「でも、さすがにやつらも、人を殺すのはためらいがあったみたいだ。浅川がおれの髪をつかんで、顔を自分にむけさせた。今度のことは誰にも言うんじゃない。サツに届ければ、つぎは殺すぞ。ケツモチの話を会社のやつらにバラしても同じだ。おまえはうちの会社から放り出すが、生きていたけりゃ口を閉じていろ。それで……」
「それで」
「やつはおれの顔につばを吐いた。おまえは電話以外取り柄のないクズだといってな」
「そうか」
俺とヨウジはしばらく黙りこんだ。
病院の外の通りを、廃品回収のトラックが流しているようだった。
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さて、浅川のやつをどうするか。そのまえに確かめなきゃならないことがある。
「黒いワゴンに乗っていた男たちは、どんなやつらだった」
ヨウジは不思議そうな顔をした。
「どんなやつらって、おれや悠みたいな、普通の若いやつだったけど」
「やっぱり本職じゃないんだよな」
俺はまだ暴力団の筋も残っているかもしれないと思っていた。
「四人のうち、ひとりの顔をみたことがある。会社の打ち上げの二次会だった。浅川が昔いっしょに遊んでいたワルの仲間だったらしい。本職なんかじゃないさ。迫力が違うから。」
俺は前髪をかきあげてヨウジの目をジッと見つめて聞いた。
「お前は浅川をどうしたい?」
やつはゆっくりとため息をついていった。
「この病院のベッドで、何度もそいつを考えた。頭のなかでは、もうなん十回も殺してる。でも、実際にはそんなことはしたくないな。おれと同じ痛い目にあわせて、会社さえ潰せればそれで十分だ」
俺はやつにニヤリと笑いかけた。
「まあ、そんなところだろうな。ヨウジはいつ退院するんだ」
「明日にでも出られる。肋骨は三本いってるけど、病院ではなにもできないんだ。自然に治るのを待つしかない。」
「わかった。今度は俺たちが攻撃する番だな。」
ヨウジはベッドで上半身を起こした。すがるような目で俺を見る。
「それなら、急いでくれ。来週には事務所の引っ越しがある。もう今のところで三ヶ月近くになるんだ。会社の居場所を変えられたら、浅川の行方を探すのは難しくなる」