ー特別編ーブラフ・テレフォン
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『そいつは悪くないな』
「タカシ、おまえ西巣鴨でひとり暮らしの年寄りが自殺した事件はしってるか」
『しらない。話せ』
おれはニュースにヨウジからきいた情報を混ぜて、話してやった。
振り込め詐欺を働く平均年齢二十二歳の会社とそこから上納金を吸い上げる組織の話しも。
『それで、悠はSウルフになにをさせたいんだ。』
おれはニヤリと笑っていってやった。
「ヤクザの真似事」
タカシも隠すことなく笑っていた。
『おもしろそう』
「だろ。タカシにすごんでもらいたいんだ。その社長に、誰にことわって、池袋で仕事してんだって」
タカシの声が、さらに冷え込んだ。
のってきたようだった。
『それで、会社がどんな反応を示すのか見る。』
「そうだ。揺さぶりをかけて、裏側の筋を引っ張りだす。どちらにしても、その筋がよめなきゃ、つぎの作戦が立てられないんだ。」
『わかった。いつやる』
「明日。」
携帯を切るまえに池袋のキングはいった。
『おれ、悪いやつの演技をするの得意なんだよな。』
「おまえのは演技じゃなくて、ドキュメンタリーだろ。」
タカシはなにかいいかけたが、おれは王様にガチャ切りしてやった。
ちょっと革命的な気分だ。
翌日の午前中には、ヨウジに会社のメンバーの顔写真を添付メールで送ってもらった。
毎月の通話料金は高いけれど、こういうときには携帯はひどく便利だ。
振り込め詐欺の会社員四人がサンシャイン60通りの高級焼き肉店で、特上の骨付きカルビをかこんでる写真である。
浅川は日焼けして、短い髪をワックスでつんつんに立てた、ガタイのいいホストのような男。
片腕だと言う長髪のヴィジュアル系が専務の古田だった。
ふたりはいつもつるんでうごいているという。
うちの家のまえにメルセデスのRVがとまったのは、午後三時半。
スモークフィルムの張られたウインドウがさがって、タカシは真桜に挨拶した。
「こんにちは、ちょっと悠借りてくな。」
けいつはストリートの王様のくせに、妙にガキや年寄りの心をつかむのがうまいやつなのだ。
おれが出歩くと、いつもはぶーぶー文句をいう真桜がなにも言わない。
「悠、皆にみやげでももっていけなの。」
真桜が奥から持ってきたのはリンゴの入ったポリ袋。
オバサンかよとツッコミたかったが、おれがいうとおりに動かないと、敵はすぐに機嫌をそこねるのだ。
おれは黙ってポリ袋をうけとり、メルセデスに向かった。
タカシが妙に爽やかな声をだす。
「ありがとうな、真桜。」
いったいなんなんだ。
このキモいヴァーチャルな兄妹関係。
動き出したRVのなかには、タカシの他に三人のSウルフがのっていた。
みんな大柄で突撃部隊のようなガキ。
おっかないから手の甲にまでタトゥをいれるのはやめてほしい。
やつらはそろいのベレー帽をかぶりジロリと俺を睨んだ。
挨拶のつもりだろう。
おれはこう見えて、意外と気が弱いのだ。
暴力、武力が大嫌いだしな。うん。
「要町にやってくれ。」
運転手の本郷がうなずいて、そろそろと車重ニトンを軽く超えるRVを発進させた。
「タカシ、おまえ西巣鴨でひとり暮らしの年寄りが自殺した事件はしってるか」
『しらない。話せ』
おれはニュースにヨウジからきいた情報を混ぜて、話してやった。
振り込め詐欺を働く平均年齢二十二歳の会社とそこから上納金を吸い上げる組織の話しも。
『それで、悠はSウルフになにをさせたいんだ。』
おれはニヤリと笑っていってやった。
「ヤクザの真似事」
タカシも隠すことなく笑っていた。
『おもしろそう』
「だろ。タカシにすごんでもらいたいんだ。その社長に、誰にことわって、池袋で仕事してんだって」
タカシの声が、さらに冷え込んだ。
のってきたようだった。
『それで、会社がどんな反応を示すのか見る。』
「そうだ。揺さぶりをかけて、裏側の筋を引っ張りだす。どちらにしても、その筋がよめなきゃ、つぎの作戦が立てられないんだ。」
『わかった。いつやる』
「明日。」
携帯を切るまえに池袋のキングはいった。
『おれ、悪いやつの演技をするの得意なんだよな。』
「おまえのは演技じゃなくて、ドキュメンタリーだろ。」
タカシはなにかいいかけたが、おれは王様にガチャ切りしてやった。
ちょっと革命的な気分だ。
翌日の午前中には、ヨウジに会社のメンバーの顔写真を添付メールで送ってもらった。
毎月の通話料金は高いけれど、こういうときには携帯はひどく便利だ。
振り込め詐欺の会社員四人がサンシャイン60通りの高級焼き肉店で、特上の骨付きカルビをかこんでる写真である。
浅川は日焼けして、短い髪をワックスでつんつんに立てた、ガタイのいいホストのような男。
片腕だと言う長髪のヴィジュアル系が専務の古田だった。
ふたりはいつもつるんでうごいているという。
うちの家のまえにメルセデスのRVがとまったのは、午後三時半。
スモークフィルムの張られたウインドウがさがって、タカシは真桜に挨拶した。
「こんにちは、ちょっと悠借りてくな。」
けいつはストリートの王様のくせに、妙にガキや年寄りの心をつかむのがうまいやつなのだ。
おれが出歩くと、いつもはぶーぶー文句をいう真桜がなにも言わない。
「悠、皆にみやげでももっていけなの。」
真桜が奥から持ってきたのはリンゴの入ったポリ袋。
オバサンかよとツッコミたかったが、おれがいうとおりに動かないと、敵はすぐに機嫌をそこねるのだ。
おれは黙ってポリ袋をうけとり、メルセデスに向かった。
タカシが妙に爽やかな声をだす。
「ありがとうな、真桜。」
いったいなんなんだ。
このキモいヴァーチャルな兄妹関係。
動き出したRVのなかには、タカシの他に三人のSウルフがのっていた。
みんな大柄で突撃部隊のようなガキ。
おっかないから手の甲にまでタトゥをいれるのはやめてほしい。
やつらはそろいのベレー帽をかぶりジロリと俺を睨んだ。
挨拶のつもりだろう。
おれはこう見えて、意外と気が弱いのだ。
暴力、武力が大嫌いだしな。うん。
「要町にやってくれ。」
運転手の本郷がうなずいて、そろそろと車重ニトンを軽く超えるRVを発進させた。