ー特別編ーブラフ・テレフォン
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夕方になって、おれは携帯を抜いた。
時刻は午後五時半。
振り込め詐欺のコアタイムは、もうとうに終了しているはずだった。
ヨウジの番号を選択する。
「おれ、悠だ。今、話してもいいかな。」
ヨウジの背後には、街のノイズがある。
『いいよ。もう会社はでたから』
俺は気になったので、聞いてみた。
「事務所ってどんなところなんだ。」
『普通のウィークリーマンションだよ。三ヶ月に一回、場所を変えてるから』
会社は会社でも非合法ビジネスはやはり違うのだった。
「そうか。ところでさ、社長、えーっと浅川だったっけ、そいつの裏についてる組織って、どこの系列なのか知らないか」
『よく、わからない。社長はその筋の人間を社員には紹介しないんだ。上納金を納めてるってことしか聞いてない。どうせ社長も、知ってるのはしたっぱの何人かだけじゃないかな。』
さすがにヤクザは本職だった。
仮にヨウジの会社が警察にまるまる逮捕されても、組織の末端だけ切ればそれですむ。
うえのお偉いさんには、サツの手が伸びないようなシステムになっているのだ。
「じゃあ、ヨウジのほうで、裏の筋のやつらを調べる方法はないんだな」
『あったとしても、おれにはとてもそんなおっかない役はできないよ。ヤクザに顔を覚えられたあとで、すぐに足抜けなんかできないだろ』
「わかったよ。じゃあ、事務所の住所を教えてくれ」
ヨウジは要町のウィークリーマンションの番地を教えてくれた。
「それと、会社のメンバー全員の名前と、それぞれの役割も。」
おれは久々に手帳を開いて、鉛筆で会社のメンバーを記録していった。
五人しかいない会社なのだが、ちゃんと全員の役職がある。
浅川社長のつぎのナンバー2は、古田恭介専務(24歳)だという。
おれは残る二人の平取締役の名前を書き留めた。
その日は夜中まで考え続けた。
なによりも調べたいのは、浅川の裏の組織がどの系列かだった。
そうなるとヤクザのケツモチをはっきりさせる方法は、ひとつしかなかった。
なんらかのトラブルを起こして、相手がどう動くか見るのだ。
真夜中に携帯を抜いて電話した。
池袋のガキの王、虎狗琥崇。
おれは年が明けて初めて、氷のような声を聞いた。
『今度はどんなトラブルだ』
いつだって、こいつは季節の挨拶などしない。
おれは余裕でいってやる。
「今年こそ花見にいこう。部下はなし、女もなし、俺とおまえだけで」
池袋のイケメン、ツートップで立教通りのソメイヨシノを眺めるのだ。
キングはまったくのってこなかった。
『三秒で用件をいわないなら、切るぞ。1、2……』
「待った!待ってくれ、今回は振り込め詐欺だ。」
やつの声がすこしやわらかくなる。
興味を引かれたのだろう。
時刻は午後五時半。
振り込め詐欺のコアタイムは、もうとうに終了しているはずだった。
ヨウジの番号を選択する。
「おれ、悠だ。今、話してもいいかな。」
ヨウジの背後には、街のノイズがある。
『いいよ。もう会社はでたから』
俺は気になったので、聞いてみた。
「事務所ってどんなところなんだ。」
『普通のウィークリーマンションだよ。三ヶ月に一回、場所を変えてるから』
会社は会社でも非合法ビジネスはやはり違うのだった。
「そうか。ところでさ、社長、えーっと浅川だったっけ、そいつの裏についてる組織って、どこの系列なのか知らないか」
『よく、わからない。社長はその筋の人間を社員には紹介しないんだ。上納金を納めてるってことしか聞いてない。どうせ社長も、知ってるのはしたっぱの何人かだけじゃないかな。』
さすがにヤクザは本職だった。
仮にヨウジの会社が警察にまるまる逮捕されても、組織の末端だけ切ればそれですむ。
うえのお偉いさんには、サツの手が伸びないようなシステムになっているのだ。
「じゃあ、ヨウジのほうで、裏の筋のやつらを調べる方法はないんだな」
『あったとしても、おれにはとてもそんなおっかない役はできないよ。ヤクザに顔を覚えられたあとで、すぐに足抜けなんかできないだろ』
「わかったよ。じゃあ、事務所の住所を教えてくれ」
ヨウジは要町のウィークリーマンションの番地を教えてくれた。
「それと、会社のメンバー全員の名前と、それぞれの役割も。」
おれは久々に手帳を開いて、鉛筆で会社のメンバーを記録していった。
五人しかいない会社なのだが、ちゃんと全員の役職がある。
浅川社長のつぎのナンバー2は、古田恭介専務(24歳)だという。
おれは残る二人の平取締役の名前を書き留めた。
その日は夜中まで考え続けた。
なによりも調べたいのは、浅川の裏の組織がどの系列かだった。
そうなるとヤクザのケツモチをはっきりさせる方法は、ひとつしかなかった。
なんらかのトラブルを起こして、相手がどう動くか見るのだ。
真夜中に携帯を抜いて電話した。
池袋のガキの王、虎狗琥崇。
おれは年が明けて初めて、氷のような声を聞いた。
『今度はどんなトラブルだ』
いつだって、こいつは季節の挨拶などしない。
おれは余裕でいってやる。
「今年こそ花見にいこう。部下はなし、女もなし、俺とおまえだけで」
池袋のイケメン、ツートップで立教通りのソメイヨシノを眺めるのだ。
キングはまったくのってこなかった。
『三秒で用件をいわないなら、切るぞ。1、2……』
「待った!待ってくれ、今回は振り込め詐欺だ。」
やつの声がすこしやわらかくなる。
興味を引かれたのだろう。