ー特別編ーブラフ・テレフォン
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「さあ、どうかな。そんなことしたような気もするけど。」
相手は落ち着いていた。
ひるまずにいう。
『微妙な問題もありますから、お答えしにくいのは承知しております。ですが、街の噂では小鳥遊さんは東京の北半分では一番のトラブルシューターだとか』
なぜ、いい噂はおれのところまで流れてこないのだろうか。
不思議だ。
『そこで、わたしどもでお願いがひとつあるのです。ある青年を窮地から救いだしてほしいのですが』
キューチ!
読むことは出来ても、おれにはとても書けない漢字だった。
「そいつはどんなトラブルなんだ」
ようやく話の筋が見えてきた。なんらかの依頼なら、早くそういえばいいのに。
『その青年は非合法な活動をおこなうサークルに加入しています。小鳥遊さんはご存知でしょうか。西巣鴨で老人が自殺した事件なんですが。』
暗い木造のアパートが目に浮かんだ。
人相がわからない白黒の顔写真も。
「そのサークル活動ってのが、振り込め詐欺なのか」
『はい、わたしどもではただの会社と呼んでいます。依頼人はその会社を抜けたがってるのですが社長がむずかしい筋とからんでおりまして、簡単にはいかない状況なのです。』
振り込め詐欺の会社が関係するむずかしい筋なら、暴力団にきまっている。
どうやら今回は、俺の苦手な分野の仕事のようだ。
だが、久しぶりに寒さでなまった身体を動かすチャンスでもある。
俺はベッドから立ち上がっていった。
「まだ、請けるとも請けないともいえないな。最初に依頼人とちゃんと話してからじゃないと決められないんだ。早い方がいい。その男は今日の午後時間はあるのか」
相手は回転が速かった。
即座に言う。
『会社のコアタイムは午後二時から四時までだそうです。それ以前なら、依頼人は時間がとれると聞いています。こちらから連絡をいれて、直接小鳥遊さんにお電話するように伝えておきます。』
一番忙しいかきいれどきが、昼のワイドショーと重なるのだ。
振り込め詐欺とは不思議な仕事である。
「わかった。」
俺はずっと気になっていたことを聞いた。
「ところで、おたくは誰だ?」
男はこれ以上ないほど慇懃にいった。
『フリーター、NEETの自立を支援するNPO法人、ワイドワールドともうします。それではよろしくおねがいします』
ふー、なんだかおかしな男。
つぎの電話は軍パンに足をとおしている五分後に鳴った。
「はい」
『小鳥遊さんですか。おれ、ここに電話するようにいわれたんですけど』
さっそく依頼人からのようだった。
「振り込め詐欺のグループから、足抜けしたいんだって」
男は自信のなさそうな声でいう。
『……はい。でも、社長が』
もう片方の足をはき古した軍パンに通した。
片手では社会の窓のボタンて、ひどく止めにくいよな。
相手は落ち着いていた。
ひるまずにいう。
『微妙な問題もありますから、お答えしにくいのは承知しております。ですが、街の噂では小鳥遊さんは東京の北半分では一番のトラブルシューターだとか』
なぜ、いい噂はおれのところまで流れてこないのだろうか。
不思議だ。
『そこで、わたしどもでお願いがひとつあるのです。ある青年を窮地から救いだしてほしいのですが』
キューチ!
読むことは出来ても、おれにはとても書けない漢字だった。
「そいつはどんなトラブルなんだ」
ようやく話の筋が見えてきた。なんらかの依頼なら、早くそういえばいいのに。
『その青年は非合法な活動をおこなうサークルに加入しています。小鳥遊さんはご存知でしょうか。西巣鴨で老人が自殺した事件なんですが。』
暗い木造のアパートが目に浮かんだ。
人相がわからない白黒の顔写真も。
「そのサークル活動ってのが、振り込め詐欺なのか」
『はい、わたしどもではただの会社と呼んでいます。依頼人はその会社を抜けたがってるのですが社長がむずかしい筋とからんでおりまして、簡単にはいかない状況なのです。』
振り込め詐欺の会社が関係するむずかしい筋なら、暴力団にきまっている。
どうやら今回は、俺の苦手な分野の仕事のようだ。
だが、久しぶりに寒さでなまった身体を動かすチャンスでもある。
俺はベッドから立ち上がっていった。
「まだ、請けるとも請けないともいえないな。最初に依頼人とちゃんと話してからじゃないと決められないんだ。早い方がいい。その男は今日の午後時間はあるのか」
相手は回転が速かった。
即座に言う。
『会社のコアタイムは午後二時から四時までだそうです。それ以前なら、依頼人は時間がとれると聞いています。こちらから連絡をいれて、直接小鳥遊さんにお電話するように伝えておきます。』
一番忙しいかきいれどきが、昼のワイドショーと重なるのだ。
振り込め詐欺とは不思議な仕事である。
「わかった。」
俺はずっと気になっていたことを聞いた。
「ところで、おたくは誰だ?」
男はこれ以上ないほど慇懃にいった。
『フリーター、NEETの自立を支援するNPO法人、ワイドワールドともうします。それではよろしくおねがいします』
ふー、なんだかおかしな男。
つぎの電話は軍パンに足をとおしている五分後に鳴った。
「はい」
『小鳥遊さんですか。おれ、ここに電話するようにいわれたんですけど』
さっそく依頼人からのようだった。
「振り込め詐欺のグループから、足抜けしたいんだって」
男は自信のなさそうな声でいう。
『……はい。でも、社長が』
もう片方の足をはき古した軍パンに通した。
片手では社会の窓のボタンて、ひどく止めにくいよな。