ー特別編ークリーンタウン
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「オッケ。わかった。カズフミさんの側近の人たちといっしょに、クリーン運動の名簿を洗ってみる。なぁ、悠。」
アズサは真剣な顔で、まっすぐに俺を見た。
「カズフミさんを取り戻してくれ。あの人は、この街に絶対に必要な人なんだ。」
「おう。わかったよ。」
そういって、俺はアズサとしっかりと握手した。
年下でも、こいつにはちゃんとガッツのあるやつだ。
俺はカズフミを取り戻す方法を必死に考え始めた。
その夜もまたミッドシティの最上階にいた。
今度はテーブルのうえにはサンドイッチやおにぎりのような軽食がそろっている。
俺は初めて見るローストビーフサンドをかじった。
ものすごくうまい。
俺たちは前日のメールについて内容を再確認して、打ち合わせをすませた。
基本的には相手の要求にこたえる方針だ。
警備会社の人間たちはみな緊張でかりかりとしているようだったが、桂啓太郎だこは前日と表情がかわらなかった。
この王様は家族に不幸があってもこの調子なのだろうか。
定時のメールが誘拐犯からやってくる。東京の灯がまだまぶしい午後十一時。
>連日すまないな、ユウ。
>そんなことはないと思うが、
>一応そっちの正体を確認しておきたい。
>ユウとキング、それにカズフミの三人で
>いっしょにいた月曜の夜
>お前がうけとったものはなんだった?
俺はすぐに返事をいれた。きっと敵は反応時間さえ計っていることだろう。
>新品のゴミ拾い用トング!
返事はすぐにもどってくる。
>正解だ。
>こちらの条件をのむことになったか?
>できることなら、暴力的な手段は
>つかいたくない。金で片がつくなら
>安いものだと思わないか。
俺はパソコンを回転させた。啓太郎に確認する。
社長はうなずいた。
入力を再開する。
>無記名債はOKだ。
>準備に時間をすこしもらいたいが、
>時間稼ぎのつもりはない。
>受け渡し方法はどうする?
メールがもどる速度はファンタスティックに速かった。
俺は街のガキのことを考えた。みんな親指メールなら速いけれど、パソコンのキーボードを自由につかえるのは、Sウルフでも半分以下だ。
>これから指定する私書箱に送れ。
>指定の封筒にいれてな。
意味がわからなかった。
私書箱など送ったら、受け取りに現れたところをすぐに身柄確保されてしまうだろう。
それともなにか、まったく別な作戦でもあるのだろうか。
メールの続きには、私書箱のあて先と池袋の東京ハンズでうっているという対ショック封筒の品番が丁寧に書き込まれていた。
俺はメールに返信した。
>了解した。
>ほんとうにただ送るだけでいいんだな?
誘拐犯の返事は心憎いほどのゆとりがあった。
>回収についても、
>換金についても、
>そちらはまったく
>心配しなくてよろしい。
>カズフミの拘束は、
>債券回収を確認後速やかに解かれる。
その夜のメールはそれで最後だった。
なんというか、手応えのない交渉である。
せっかくの池袋一の交渉人の名が廃る。
こんなことなら、メールさえ打てれば別に俺でなくてもよかったと思うのだが。
アズサは真剣な顔で、まっすぐに俺を見た。
「カズフミさんを取り戻してくれ。あの人は、この街に絶対に必要な人なんだ。」
「おう。わかったよ。」
そういって、俺はアズサとしっかりと握手した。
年下でも、こいつにはちゃんとガッツのあるやつだ。
俺はカズフミを取り戻す方法を必死に考え始めた。
その夜もまたミッドシティの最上階にいた。
今度はテーブルのうえにはサンドイッチやおにぎりのような軽食がそろっている。
俺は初めて見るローストビーフサンドをかじった。
ものすごくうまい。
俺たちは前日のメールについて内容を再確認して、打ち合わせをすませた。
基本的には相手の要求にこたえる方針だ。
警備会社の人間たちはみな緊張でかりかりとしているようだったが、桂啓太郎だこは前日と表情がかわらなかった。
この王様は家族に不幸があってもこの調子なのだろうか。
定時のメールが誘拐犯からやってくる。東京の灯がまだまぶしい午後十一時。
>連日すまないな、ユウ。
>そんなことはないと思うが、
>一応そっちの正体を確認しておきたい。
>ユウとキング、それにカズフミの三人で
>いっしょにいた月曜の夜
>お前がうけとったものはなんだった?
俺はすぐに返事をいれた。きっと敵は反応時間さえ計っていることだろう。
>新品のゴミ拾い用トング!
返事はすぐにもどってくる。
>正解だ。
>こちらの条件をのむことになったか?
>できることなら、暴力的な手段は
>つかいたくない。金で片がつくなら
>安いものだと思わないか。
俺はパソコンを回転させた。啓太郎に確認する。
社長はうなずいた。
入力を再開する。
>無記名債はOKだ。
>準備に時間をすこしもらいたいが、
>時間稼ぎのつもりはない。
>受け渡し方法はどうする?
メールがもどる速度はファンタスティックに速かった。
俺は街のガキのことを考えた。みんな親指メールなら速いけれど、パソコンのキーボードを自由につかえるのは、Sウルフでも半分以下だ。
>これから指定する私書箱に送れ。
>指定の封筒にいれてな。
意味がわからなかった。
私書箱など送ったら、受け取りに現れたところをすぐに身柄確保されてしまうだろう。
それともなにか、まったく別な作戦でもあるのだろうか。
メールの続きには、私書箱のあて先と池袋の東京ハンズでうっているという対ショック封筒の品番が丁寧に書き込まれていた。
俺はメールに返信した。
>了解した。
>ほんとうにただ送るだけでいいんだな?
誘拐犯の返事は心憎いほどのゆとりがあった。
>回収についても、
>換金についても、
>そちらはまったく
>心配しなくてよろしい。
>カズフミの拘束は、
>債券回収を確認後速やかに解かれる。
その夜のメールはそれで最後だった。
なんというか、手応えのない交渉である。
せっかくの池袋一の交渉人の名が廃る。
こんなことなら、メールさえ打てれば別に俺でなくてもよかったと思うのだが。