ー特別編ークリーンタウン
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センターテーブルには何枚かの地図とノートパソコンが三台開かれていた。
そのうち中央の一台が、俺の担当のようだった。
いつも使ってる家のより最新型はちよっと面倒だ。
男たちがスイス製の機械式腕時計を確認した。
午後十一時。
ぴたりにメールの着信音がする。
角田がとなりの男にうなずいた。
スーツを着て、髪を七三に分けているが、こいつがハッカーなのだろう。
俺は禅しかしらないので、意外な気がした。
ハッカーはみな長髪キタローヘアだと思っていたのだ。
「なるべく長くメールのやりとりをしてくれ」
俺は角田にうなずいて、メールを開いた。
>ユウ、そこにいるか?
>今日の午後は残念だったな。
>だが、そっちのミスによってかけ金はつりあがった。
>十倍の三億円だ。ミッドシティの主なら、
>さして財布が痛む金額ではないだろう(笑)
俺のパソコンのまわりに、たくさんの中年男の顔が集まっていた。
ヘアクリームとタバコと汗のにおい。
若くてかわいい女だったらよかったのに。
「三億円だと……。」
誰かがそうつぶやいて、啓太郎はソファで腕を組んだ。
おれは入力を開始した。
>交渉人にしていされたのには
>驚いたよ、悠だ。
>三億円といえば、現金では
>かなりの重さになる。
>どうやって受け渡しを
>したらいいんだ?
>もちろん、カズフミは無事だよな。
社長室はざわついていた。俺は送信を押すまえに、液晶画面を桂リライアンスの社長にむけてやった。
啓太郎がうなずいたので、おれは送信をクリックした。
返事はしばらく返ってこなかった。
角田がいった。
「送信元の位置は順調にしぼられています。もうすこし時間をください。」
男たちの間でどよめきがあがる。
携帯電話が開かれて、何本かの通話がとんだ。
やつらを追い詰める実働部隊がどこかに待機してしているのだろう。
つぎのメールが着信した。
>心配は無用。
>三億円分の無記名を用意しろ。
>税務署から足をたどられないものをな。
>そいつは桂リライアンスの財務部なら、
>よくわかっているだろう。
>カズフミは当然、無事だ。
>あんたちにはミッドシティを
>建てるときに、だいぶ悪さをしたな。
>今回の三億は当然の報いだし、
>おれたちが池袋の街のために
>有意義につかってやるよ。
「よしっ」
スーツ姿のハッカーがいった。
発信元を特定できたようだった。
周囲が色めき立ったが、ハッカーがすぐに顔色を変えた。
あせりの表情だ。
汗で前髪が額に張り付いている。
「くそっ!」
角田が質問した。
「どうしたんだ。発信元がわかったんだろう。」
ハッカーが首を横に振り、舌打ちをした。
「わかってはいるが、広すぎるんだ。池袋駅西口にあるホットスポットだ。中継アンテナがあって、半径百メートル以上あるエリア内なら、いくらでもネットにつながる。あそこにあるすべての店や駐車中のクルマを調べ尽くすのは不可能だ。」
どうりでのんびりと優雅なメール交換が進行中のはずだった。
そのうち中央の一台が、俺の担当のようだった。
いつも使ってる家のより最新型はちよっと面倒だ。
男たちがスイス製の機械式腕時計を確認した。
午後十一時。
ぴたりにメールの着信音がする。
角田がとなりの男にうなずいた。
スーツを着て、髪を七三に分けているが、こいつがハッカーなのだろう。
俺は禅しかしらないので、意外な気がした。
ハッカーはみな長髪キタローヘアだと思っていたのだ。
「なるべく長くメールのやりとりをしてくれ」
俺は角田にうなずいて、メールを開いた。
>ユウ、そこにいるか?
>今日の午後は残念だったな。
>だが、そっちのミスによってかけ金はつりあがった。
>十倍の三億円だ。ミッドシティの主なら、
>さして財布が痛む金額ではないだろう(笑)
俺のパソコンのまわりに、たくさんの中年男の顔が集まっていた。
ヘアクリームとタバコと汗のにおい。
若くてかわいい女だったらよかったのに。
「三億円だと……。」
誰かがそうつぶやいて、啓太郎はソファで腕を組んだ。
おれは入力を開始した。
>交渉人にしていされたのには
>驚いたよ、悠だ。
>三億円といえば、現金では
>かなりの重さになる。
>どうやって受け渡しを
>したらいいんだ?
>もちろん、カズフミは無事だよな。
社長室はざわついていた。俺は送信を押すまえに、液晶画面を桂リライアンスの社長にむけてやった。
啓太郎がうなずいたので、おれは送信をクリックした。
返事はしばらく返ってこなかった。
角田がいった。
「送信元の位置は順調にしぼられています。もうすこし時間をください。」
男たちの間でどよめきがあがる。
携帯電話が開かれて、何本かの通話がとんだ。
やつらを追い詰める実働部隊がどこかに待機してしているのだろう。
つぎのメールが着信した。
>心配は無用。
>三億円分の無記名を用意しろ。
>税務署から足をたどられないものをな。
>そいつは桂リライアンスの財務部なら、
>よくわかっているだろう。
>カズフミは当然、無事だ。
>あんたちにはミッドシティを
>建てるときに、だいぶ悪さをしたな。
>今回の三億は当然の報いだし、
>おれたちが池袋の街のために
>有意義につかってやるよ。
「よしっ」
スーツ姿のハッカーがいった。
発信元を特定できたようだった。
周囲が色めき立ったが、ハッカーがすぐに顔色を変えた。
あせりの表情だ。
汗で前髪が額に張り付いている。
「くそっ!」
角田が質問した。
「どうしたんだ。発信元がわかったんだろう。」
ハッカーが首を横に振り、舌打ちをした。
「わかってはいるが、広すぎるんだ。池袋駅西口にあるホットスポットだ。中継アンテナがあって、半径百メートル以上あるエリア内なら、いくらでもネットにつながる。あそこにあるすべての店や駐車中のクルマを調べ尽くすのは不可能だ。」
どうりでのんびりと優雅なメール交換が進行中のはずだった。