ー特別編ークリーンタウン
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窓のほうを向いていた男が、こちらを振り向いていった。
「よくきてくれました。桂啓太郎です。」
俺はまたも展開についていけなくなった。
「カズフミさんの件で、協力するのはいいんですが……なぜ急におれがよばれたんですか?」
啓太郎は中肉中背だが、ひどく迫力のある男だった。
『ゴッドファーザーⅡ』のアル・パチーノ。
ファミリーを守るためならなんでもやらかす男。
髪は半分白い。
角田がいった。
「金の受け渡しが失敗してから、また連絡がはいった。先方は今度は交渉人を指定してきたのだ。」
五十畳はある社長室にいる全員の視線が俺に集中した。
「えーと……もしかして、おれ?」
まったく意味がわからない。
ミッドシティの王がいう。
「そのようだ。お手数だが、ぜひ協力してください。和文は桂リライアンスの人間ではないが、桂家にとっては大切な跡継ぎだ。失うわけにはいかない」
警備会社の男たちからの視線が痛かった。
プロのゲームに紛れ込んだアマチュアか。
啓太郎がいった。
「失礼だが、きみと和文はどういう関係なのかな」
俺たちに関係と呼べるものがあったのだろうかな。
「昨日、いっしょに西口公園のゴミを拾っただけだけど。おれはカズフミのことをほとんどしらないんだ。」
角田が横から口をはさんだ。
「この小鳥遊さんは無料で池袋の街のトラブルを解決する交渉人のようなことをしています。この街の若い人の間では、かなりの信頼があるようです」
啓太郎の表情はまったく変わらない。
自分のではなく、となりの家の子供が誘拐されたような表情だ。
「すると一円にもならないのに、ひとりでゴミ拾いを始めた和文と、どこかつうじるところがあるのかもしれないな。君には今回の件で、それ相応の礼はするつもりだ」
俺は何か言おうとしたが、テーブルを囲む男の一人が顔をあげていった。
「もうすぐ、つぎの通信がはいる時間です。」
男たちの視線は俺から、センターテーブルにおいてあるパソコンに向かった。
俺は小声で、角田にいった。
「なあ、パソコンっていうことは、メールで連絡がはいるのか」
角田は俺と話しているところを見られるのが嫌なようだった。傷つくぜ。
「そうだ」
「身代金受け渡しまでは、どんな連絡方法だった」
「携帯電話だ。契約者を特定できなかった。飛ばしの携帯だろうな。」
「……」
おかしな話だ。
飛ばしの携帯が生きているなら、面倒なメールを打つ必要もないだろう。
「ハッキングの準備はしてるよな」
「ああ、任せておけ。こちらはプロだ。パソコンからなら、地域の特定はできるだろう。あんたはなるべく長くメールを続けてくれれば、それでいい」
その部屋では絶対君主の啓太郎の声が、低く響いた。
「小鳥遊くん、こちらにきてください」
おれは失礼のないように、静かにソファに腰をおろした。
「よくきてくれました。桂啓太郎です。」
俺はまたも展開についていけなくなった。
「カズフミさんの件で、協力するのはいいんですが……なぜ急におれがよばれたんですか?」
啓太郎は中肉中背だが、ひどく迫力のある男だった。
『ゴッドファーザーⅡ』のアル・パチーノ。
ファミリーを守るためならなんでもやらかす男。
髪は半分白い。
角田がいった。
「金の受け渡しが失敗してから、また連絡がはいった。先方は今度は交渉人を指定してきたのだ。」
五十畳はある社長室にいる全員の視線が俺に集中した。
「えーと……もしかして、おれ?」
まったく意味がわからない。
ミッドシティの王がいう。
「そのようだ。お手数だが、ぜひ協力してください。和文は桂リライアンスの人間ではないが、桂家にとっては大切な跡継ぎだ。失うわけにはいかない」
警備会社の男たちからの視線が痛かった。
プロのゲームに紛れ込んだアマチュアか。
啓太郎がいった。
「失礼だが、きみと和文はどういう関係なのかな」
俺たちに関係と呼べるものがあったのだろうかな。
「昨日、いっしょに西口公園のゴミを拾っただけだけど。おれはカズフミのことをほとんどしらないんだ。」
角田が横から口をはさんだ。
「この小鳥遊さんは無料で池袋の街のトラブルを解決する交渉人のようなことをしています。この街の若い人の間では、かなりの信頼があるようです」
啓太郎の表情はまったく変わらない。
自分のではなく、となりの家の子供が誘拐されたような表情だ。
「すると一円にもならないのに、ひとりでゴミ拾いを始めた和文と、どこかつうじるところがあるのかもしれないな。君には今回の件で、それ相応の礼はするつもりだ」
俺は何か言おうとしたが、テーブルを囲む男の一人が顔をあげていった。
「もうすぐ、つぎの通信がはいる時間です。」
男たちの視線は俺から、センターテーブルにおいてあるパソコンに向かった。
俺は小声で、角田にいった。
「なあ、パソコンっていうことは、メールで連絡がはいるのか」
角田は俺と話しているところを見られるのが嫌なようだった。傷つくぜ。
「そうだ」
「身代金受け渡しまでは、どんな連絡方法だった」
「携帯電話だ。契約者を特定できなかった。飛ばしの携帯だろうな。」
「……」
おかしな話だ。
飛ばしの携帯が生きているなら、面倒なメールを打つ必要もないだろう。
「ハッキングの準備はしてるよな」
「ああ、任せておけ。こちらはプロだ。パソコンからなら、地域の特定はできるだろう。あんたはなるべく長くメールを続けてくれれば、それでいい」
その部屋では絶対君主の啓太郎の声が、低く響いた。
「小鳥遊くん、こちらにきてください」
おれは失礼のないように、静かにソファに腰をおろした。