ー特別編ークリーンタウン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ふーん、それで息子は西口公園でゴミ拾いか。なんか、おもしろい親子だな」
『ああ、だがああいう有力者の息子というのも、かこい込んでおけばいいカモになるかもしれないしな。そこで、お前を紹介しておいた。』
王様がかすかに笑っているのが、不愉快だった。
「なんでだ?」
『ああいう男は俺のことを腹の底からは信用しない。だが、お前みたいなお人好しとはウマがあうだろ』
そんなものだろうか。
池袋ミッドシティをもってる天空の城の王子と、地べたに張りついたタダの学生の俺。
まだ、そのときには俺とカズフミの共通点がまったく見えていなかったのだ。
俺も甘いものだ。
礼をいって、電話を切った。
それから嬉遊曲(ディヴェルティメント)を全部聞き終わるまで、俺は西口公園で夜風にあたった。
つぎの月曜日、俺は西口公園にいった。
時刻は夏の夜が生まれたばかりの午後七時。
祭りのような人出で、広場の半分が埋まっていた。
顔を知ってるSウルフに東口の連中がたくさんいて、挨拶するだけでぐったりするくらい。
カズフミが公園の隅にあるステージにあがった。
小型のメガホンを口にあてていう。
「こんばんは、今夜もみんなよく参加してくれました。池袋クリーン運動には規則も上下もありません。これから二時間気持ちよくこの街を清掃して、そのあとは各自勝手に盛り上がってください」
静かな返事が数百人のメンバーから漏れた。
何組かすでに出来上がっている酔っぱらいが奇声をあげていたが、誰も気にする様子はない。
さすがにこれだけの人数だから、池袋署から警官が何人かパトロールに来ているが、手をうしろで組んで見ているだけだった。
自由意思で集まった黄色いバンダナの集団は、また自由意思で散っていった。
誰もが白いポリ袋を取り出すので、いっせいにハトが飛び立つような音がする。
俺がいつも世話になってる円形広場のゴミを拾おうとしたら、声をかけられた。
振り向くと、ミッドシティの王子とギャングの王様が立っていた。
どちらの手にも、王族にはまったく似合わないポリ袋がある。
うーん、ゴミ拾いなんて、俺みたいな下賤な生まれに任せてもらいたいものだ。
「タカシでもゴミなんて、拾うんだな。」
やつはニコリともせずに新品のトングをつかった。
秒速で拾われる缶ジュースのプルトップ。
金属の光沢のある半袖のシャツは今年の流行なのだろう。
俺は庶民の出だから値段が気になって仕方なかった。あんなペラペラでも五万くらいはするのだろうか。
『ああ、だがああいう有力者の息子というのも、かこい込んでおけばいいカモになるかもしれないしな。そこで、お前を紹介しておいた。』
王様がかすかに笑っているのが、不愉快だった。
「なんでだ?」
『ああいう男は俺のことを腹の底からは信用しない。だが、お前みたいなお人好しとはウマがあうだろ』
そんなものだろうか。
池袋ミッドシティをもってる天空の城の王子と、地べたに張りついたタダの学生の俺。
まだ、そのときには俺とカズフミの共通点がまったく見えていなかったのだ。
俺も甘いものだ。
礼をいって、電話を切った。
それから嬉遊曲(ディヴェルティメント)を全部聞き終わるまで、俺は西口公園で夜風にあたった。
つぎの月曜日、俺は西口公園にいった。
時刻は夏の夜が生まれたばかりの午後七時。
祭りのような人出で、広場の半分が埋まっていた。
顔を知ってるSウルフに東口の連中がたくさんいて、挨拶するだけでぐったりするくらい。
カズフミが公園の隅にあるステージにあがった。
小型のメガホンを口にあてていう。
「こんばんは、今夜もみんなよく参加してくれました。池袋クリーン運動には規則も上下もありません。これから二時間気持ちよくこの街を清掃して、そのあとは各自勝手に盛り上がってください」
静かな返事が数百人のメンバーから漏れた。
何組かすでに出来上がっている酔っぱらいが奇声をあげていたが、誰も気にする様子はない。
さすがにこれだけの人数だから、池袋署から警官が何人かパトロールに来ているが、手をうしろで組んで見ているだけだった。
自由意思で集まった黄色いバンダナの集団は、また自由意思で散っていった。
誰もが白いポリ袋を取り出すので、いっせいにハトが飛び立つような音がする。
俺がいつも世話になってる円形広場のゴミを拾おうとしたら、声をかけられた。
振り向くと、ミッドシティの王子とギャングの王様が立っていた。
どちらの手にも、王族にはまったく似合わないポリ袋がある。
うーん、ゴミ拾いなんて、俺みたいな下賤な生まれに任せてもらいたいものだ。
「タカシでもゴミなんて、拾うんだな。」
やつはニコリともせずに新品のトングをつかった。
秒速で拾われる缶ジュースのプルトップ。
金属の光沢のある半袖のシャツは今年の流行なのだろう。
俺は庶民の出だから値段が気になって仕方なかった。あんなペラペラでも五万くらいはするのだろうか。