ー特別編ークリーンタウン
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だが、クリーン運動は名前通りゴミ拾い以外には興味のない、ごく平和的な集団だった。
「それで、アンタは崇と知り合った。この街で若いやつを動かすには、Sウルフと東口の面子とに話をつけなくちゃいけないもんな。」
「そうだね。今ではいくつかSウルフのチームも月曜日の清掃作戦に参加してもらってる」
育ちのよさというのは、なぜひと言話をするとわかってしまうのだろうか。
カズフミは間違いようがなく上品だった。
西口公園のゴミ拾いと外資系ホテルでのパーティ。
どっちにも無理なく溶け込んでしまいそうだ。
「俺に話があるってことは、なにかトラブルを抱えてるのかな」
カズフミは俺のほうをチラリと見た。
裏のない顔をしてニコリと笑う。
「今のところ、そんなことはなさそうだけど、これでもこちらにも色々とあってね。そういうことがあったら、ぜひ悠くんに応援を頼みたい。よろしく」
西口公園で握手を求められた。
いかれた男。
やつはベンチを立って、つぎのゴミを探しにいこうとする。
俺は白シャツの背中にいった。
「なあ、クリーン運動にはいるには、なにか特別な審査とかあるのか」
やつは振り向くと、夜の公園でトングをキラキラと回転させた。
「いいや。ただやってきて、ゴミを拾うだけでいい。それで黄色いバンダナをプレゼントするよ。悠くんも参加するのかな。」
「今夜は遅いから、やめておく。気が向いたら、来週な。」
「わかった、待ってる。」
池袋クリーン運動のリーダーは他のメンバーと合流すると、円形広場の清掃にもどっていった。
おれはまた星のない夜空の天体観測にもどった。
思い付いて、携帯電話を抜く。
タカシの番号は指が覚えているので、見なくても操作できる。
ワンコールで電話にでたとりつぎにいった。
「キングを呼んでくれないか。王様専用のPIERROTだ。」
返事をせずに、とりつぎが代わった。
『なんだ。道化師がキングにいきなり直電か。』
夏の夜、耳に心地いいアイスクールなタカシの声。
「お前に俺を紹介されたっていう坊っちゃんに会った。カツラカズフミ、なにもんなんだ、あの男。」
タカシが笑った。
真夏のちいさな吹雪だ。
『桂リライアンス』
予想外の名前が出てきた。
「えっ……」
『悠だって知ってるだろ。池袋ミッドシティを再開発したデベロッパーだ。社長は桂啓太郎。そのひとり息子があのカズフミだ。』
桂リライアンスは東京の各地で、再開発事業を手掛けていた。
超高層マンションも何棟か。
確か東のほうに建てる新しいデジタルテレビ用の電波塔にも一枚かんでいたはずだ。
社長の啓太郎は個人資産一兆二千億とかで、ビジネス誌の表紙の常連である。
「それで、アンタは崇と知り合った。この街で若いやつを動かすには、Sウルフと東口の面子とに話をつけなくちゃいけないもんな。」
「そうだね。今ではいくつかSウルフのチームも月曜日の清掃作戦に参加してもらってる」
育ちのよさというのは、なぜひと言話をするとわかってしまうのだろうか。
カズフミは間違いようがなく上品だった。
西口公園のゴミ拾いと外資系ホテルでのパーティ。
どっちにも無理なく溶け込んでしまいそうだ。
「俺に話があるってことは、なにかトラブルを抱えてるのかな」
カズフミは俺のほうをチラリと見た。
裏のない顔をしてニコリと笑う。
「今のところ、そんなことはなさそうだけど、これでもこちらにも色々とあってね。そういうことがあったら、ぜひ悠くんに応援を頼みたい。よろしく」
西口公園で握手を求められた。
いかれた男。
やつはベンチを立って、つぎのゴミを探しにいこうとする。
俺は白シャツの背中にいった。
「なあ、クリーン運動にはいるには、なにか特別な審査とかあるのか」
やつは振り向くと、夜の公園でトングをキラキラと回転させた。
「いいや。ただやってきて、ゴミを拾うだけでいい。それで黄色いバンダナをプレゼントするよ。悠くんも参加するのかな。」
「今夜は遅いから、やめておく。気が向いたら、来週な。」
「わかった、待ってる。」
池袋クリーン運動のリーダーは他のメンバーと合流すると、円形広場の清掃にもどっていった。
おれはまた星のない夜空の天体観測にもどった。
思い付いて、携帯電話を抜く。
タカシの番号は指が覚えているので、見なくても操作できる。
ワンコールで電話にでたとりつぎにいった。
「キングを呼んでくれないか。王様専用のPIERROTだ。」
返事をせずに、とりつぎが代わった。
『なんだ。道化師がキングにいきなり直電か。』
夏の夜、耳に心地いいアイスクールなタカシの声。
「お前に俺を紹介されたっていう坊っちゃんに会った。カツラカズフミ、なにもんなんだ、あの男。」
タカシが笑った。
真夏のちいさな吹雪だ。
『桂リライアンス』
予想外の名前が出てきた。
「えっ……」
『悠だって知ってるだろ。池袋ミッドシティを再開発したデベロッパーだ。社長は桂啓太郎。そのひとり息子があのカズフミだ。』
桂リライアンスは東京の各地で、再開発事業を手掛けていた。
超高層マンションも何棟か。
確か東のほうに建てる新しいデジタルテレビ用の電波塔にも一枚かんでいたはずだ。
社長の啓太郎は個人資産一兆二千億とかで、ビジネス誌の表紙の常連である。