二十一世紀も最先端の東京で、一番かっこいい事がなにか知ってるか？

それはぺらぺらの液晶テレビに映ってる無駄にハンサムなタレントでも、ミラノ製の一枚二十万のジャケットでも、二千万を超える高級外車でもない。

俺たちが毎日歩いてる通りで、アンタがちょっと注意していれば気がつくことだ。

そいつは、なんとゴミ拾い。

やつらは学生だったり、会社員だったり、非正規雇用のワンコールワーカーだったりする。

毎週月曜日の夜になると、身体のどこかに黄色いバンダナをつけて、夜の西口公園に集まってくるのだ。

腰につけたウエストポーチのなかには、コンビニのポリ袋が何枚か。
別に誰か指導者がいるわけじゃない。

池袋クリーンチームズは夜七時になると、何人かのグループに分かれ、夜の街に落ちているゴミを拾っていくのだ。

もちろん一円の金になるわけでもない。

都の清掃組合に頼まれてもいない。

いつのころか誰かが始めて、気がつけばその輪が広がっていたというだけの話し。

純粋なボランティアなのかも知れないが、俺はそういうのは疑ってかかる方だ。

だって、どんなおこないにも必ず、なにか反応があるだろ。

その仕事で自分が住む町がきれいになる。

それが単純に気持ちいいんだから、それだけで立派な理由というものじゃないだろうか。

俺たちはあまりに長く長く資本主義の建前に慣れすぎていたのだ。

金にならない労働は胡散臭い。

だけどそんなのはすべての情報と検索が無料になった世界では、とうにアウト･オブ･デートな考えだと俺は思うけどな。

さぁて、今回は、街にちいさなクリーン運動の輪を広げた、どえらい秀才と、池袋東口に君臨する天空の王のお話し。

まあ、ぶっちゃけやつらは親子なんだが、そこにアホなギャングがからんで、話しは少々複雑になった。

秀才のほうからは、めずらしく俺の仕事を絶賛されたので、やつは今でもいいダチだ。

さすがに王子で今では空のほうにもどっていったけどね。

なんだか『ラピュタ』みたいで、話が全然見えないって。

いいんだ、そのうちすべてがわかってくるだろうから。

そうしたら、きっとアンタだって明日から街にでて、せっせとゴミを拾いたくなることだろう。

そいつはとても楽しい仕事だ。
そのあとの飲み会も盛り上がるしな。

街は俺たちが毎日住んでる家なんだから、掃除くらいは当たり前の事だけどな。





ｰクリーンタウンｰ