ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
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間接照明に淡く照らされた部屋だった。
新宿の街の賑わいがひどく遠い。
背の高いスーツと男が窓辺に立っていた。
決して開くことのない超高層の窓だ。
朧沢は振り向くと、驚きの目でおれをみた。
「こんなことはいつまでも続かないとは思っていたか。だが、最後の知らせを持ってきたのが君のような少年だったとはな」
おれは別に少年という年でもない。
柏がいった。
「朧沢先輩、こいつはただのバカで学生だが、信用のできる人間だ。二十一世紀リゾートの特金というのはなんだったんですか」
説明はもう面倒だった。
おれは後援会への政治献金リストを朧沢にさしだした。
やつは受けとるとチラリと中身に視線を走らせた。
首を横にふり、柏に渡す。
しばらく紙面に目をおとして柏の顔色が変わった。
「池上組のフロント企業から、裏献金を受けていたんですか。こんな事がバレたら、あなたの政治生命は終わりです。」
朧沢はまた窓のほうに向いてしまった。静かな声でいう。
「あの少しだけ見えるビルがわかるかな。あそこはわたしの妻がかよっている大学病院なんだ。自損事故の後遺症で、身体の半分が動かなくてね。リハビリというのも大変だ。元あった機能を回復する。その苦労は人でも街でも同じじゃないだろうか。私は池袋を昔のような安全な街にしたかった。ほんとうにそう考えていた」
一息入れて、副知事は続けた。
「どの国の人間でも最初に街に足がかりをつけるのは女たちなのだ。女たちの経済力をあてにして、あとから男たちがやってくる。観光ビザの女性を強制送還するにも、理由が無いわけではないんだよ。まあ、これで治安回復など夢に終わってしまったが」
朧沢は穏やかに笑っていた。
おれはじれったくてたまらなかった。
「あんたが本気で仕事をやろいとしたのはわかる。でも、どうして、池上組や一ツ木企画なんかと手を組んだんだ。やつらが最悪の選択だって、頭のいいアンタならわかっただろう。」
おれに振り向いて、表情ない顔をでやつはいった。
「そんな口を聞かれたのは、大学生以来だな。すべての薬は毒だ。逆にすべての毒は使い方によって、薬になる。街を根本から変えるには、新しい勢力が必要だと思ったのだ。風俗だって、すべて潰せばいいというものではない。当局がコントロールできるものなら、存続させてもかまわない。なあ、小鳥遊警部、指導とはそういうものではないかな」
柏は姿勢をただしていう。
「目的のためにすべての手段が正当化されるもんではありません、副知事…。おれも時に最悪な手段を使うが…テメェで蹴りがつけれるからだ。朧沢先輩」
おれはその夜ただひとつ聞きたかった質問をした。
答えによっては、禅に劇薬の情報を流させるつもりだった。
新宿の街の賑わいがひどく遠い。
背の高いスーツと男が窓辺に立っていた。
決して開くことのない超高層の窓だ。
朧沢は振り向くと、驚きの目でおれをみた。
「こんなことはいつまでも続かないとは思っていたか。だが、最後の知らせを持ってきたのが君のような少年だったとはな」
おれは別に少年という年でもない。
柏がいった。
「朧沢先輩、こいつはただのバカで学生だが、信用のできる人間だ。二十一世紀リゾートの特金というのはなんだったんですか」
説明はもう面倒だった。
おれは後援会への政治献金リストを朧沢にさしだした。
やつは受けとるとチラリと中身に視線を走らせた。
首を横にふり、柏に渡す。
しばらく紙面に目をおとして柏の顔色が変わった。
「池上組のフロント企業から、裏献金を受けていたんですか。こんな事がバレたら、あなたの政治生命は終わりです。」
朧沢はまた窓のほうに向いてしまった。静かな声でいう。
「あの少しだけ見えるビルがわかるかな。あそこはわたしの妻がかよっている大学病院なんだ。自損事故の後遺症で、身体の半分が動かなくてね。リハビリというのも大変だ。元あった機能を回復する。その苦労は人でも街でも同じじゃないだろうか。私は池袋を昔のような安全な街にしたかった。ほんとうにそう考えていた」
一息入れて、副知事は続けた。
「どの国の人間でも最初に街に足がかりをつけるのは女たちなのだ。女たちの経済力をあてにして、あとから男たちがやってくる。観光ビザの女性を強制送還するにも、理由が無いわけではないんだよ。まあ、これで治安回復など夢に終わってしまったが」
朧沢は穏やかに笑っていた。
おれはじれったくてたまらなかった。
「あんたが本気で仕事をやろいとしたのはわかる。でも、どうして、池上組や一ツ木企画なんかと手を組んだんだ。やつらが最悪の選択だって、頭のいいアンタならわかっただろう。」
おれに振り向いて、表情ない顔をでやつはいった。
「そんな口を聞かれたのは、大学生以来だな。すべての薬は毒だ。逆にすべての毒は使い方によって、薬になる。街を根本から変えるには、新しい勢力が必要だと思ったのだ。風俗だって、すべて潰せばいいというものではない。当局がコントロールできるものなら、存続させてもかまわない。なあ、小鳥遊警部、指導とはそういうものではないかな」
柏は姿勢をただしていう。
「目的のためにすべての手段が正当化されるもんではありません、副知事…。おれも時に最悪な手段を使うが…テメェで蹴りがつけれるからだ。朧沢先輩」
おれはその夜ただひとつ聞きたかった質問をした。
答えによっては、禅に劇薬の情報を流させるつもりだった。