ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
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最初は政治資金規正法を守った、ほんの数万円の献金だった。
表を横に見ていくと、領収書の受領欄がある。
そこにはどれも○が打たれていた。
それが今年の春から、様子がかわっていた。
新たに特殊献金という項目が増えたのだ。
金額は一度に一千万単位だった。
最大のものは池袋不死鳥プロジェクトが始まる直前の八月。
四千万円の特金である。
特殊献金のほうは領収書を受け取っていないようだった。
すべて空欄になっている。
おれは欄外を見た。
※印のあとには、こんな注がついていた。
特殊献金の場合、後援会会長かT本人に直接手渡しのこと。
改めてノートパソコンの横に挿さったピンク色のUSBメモリーを見た。
こゎなちいさなパーツのなかに一人の政治家の命を絶つ情報がはいっている。
「これはまたまた…カズミコイツはおれが預かるぞ。」
「うん、いいよ。てゆーか、悠さん。髪サラサラだね。」
「ホント…綺麗ですね。」
姉妹に髪を撫でられるよりも、このアラジンの魔法のランプを使ってなにをするか。
おれはみっつの願いについて、真剣に考え始めた。
ポケットにUSBメモリーをいれて、学校にはいけず池袋街に向かった。
こんなにでかい秘密をもって歩くなんて、生まれて初めてのこと。
なんだか妙に足元が軽かった。
雲のうえでも歩いている気がする。
うろうろしながら午後のあいだすっと考えていた。
おれがなにをするべきか。この街のためになにが必要か。
この情報がおれの手元に流れついたのには、やはりなにか隠された理由があるはずなのだ。
池袋の不死鳥よりもさらに高く、空の遥かな玉座に座っている誰かは、おれになにをさせたいんだろう。
おれが柏に電話したのは、秋の日が暮れかかった午後五時。
柏は上機嫌でおれの電話にでた。
『よう、悠。組対部のやつらの鼻を明かしたの、まだ、胸がすっとしてるぜ。』
「そうか、それはよかったな。」
おれは夕日を浴びた西口公園を眺めていた。
人生には何度もこんな重苦しい夕日があるのだろう。
『なんだ、元気ねぇな。どうした、こんや飲みにいくか?』
おれは少しだけ笑った。
話すしかないだろう。
「じゃあ、ゲストをひとり呼んでくれ。」
『いいぞ、誰だ。』
ため息をついて、おれはいう。
「柏のセンパイ。朧沢武彦東京副知事」
『そいつは無理だ。むこうは超人的に忙しい人なんだぞ』
「いいや、絶対にくる。二十一世紀リゾートの特金のすべてを知ってるガキがいるといってくれ」
池袋署の刑事の声が焦っていた。
おれは重ねていう。
「いいか、柏。こいつは冗談でも、なんでもない。副知事の政治生命がかかった問題なんだ。直接、朧沢さんと話してくれ。いいな、領収書のない特金のすべてというんだ」
『わかった。お前がそれだけいうなら、電話をしてみる。だが、向こうがいいというかはわからないぞ』
「ありがとよ、柏…」
おれはそれだけいって、電話を切った。
「あれ、悠くん。いらっしゃい。」
気がついたら、リッカの店に来ていて同時に本当に不思議だった。
なぜ、おれたちはワンパック五百円のイチゴを売るだけで満足出来ないのだろうか。
新型デリヘルにしても、特殊献金にしてもそうだ。
なぜ、おれたちは満ち足りることを知らないのか。
永遠に生きるという火の鳥は、愚かな人間たちのことをどんなに思いで見下ろしているのだろう。
表を横に見ていくと、領収書の受領欄がある。
そこにはどれも○が打たれていた。
それが今年の春から、様子がかわっていた。
新たに特殊献金という項目が増えたのだ。
金額は一度に一千万単位だった。
最大のものは池袋不死鳥プロジェクトが始まる直前の八月。
四千万円の特金である。
特殊献金のほうは領収書を受け取っていないようだった。
すべて空欄になっている。
おれは欄外を見た。
※印のあとには、こんな注がついていた。
特殊献金の場合、後援会会長かT本人に直接手渡しのこと。
改めてノートパソコンの横に挿さったピンク色のUSBメモリーを見た。
こゎなちいさなパーツのなかに一人の政治家の命を絶つ情報がはいっている。
「これはまたまた…カズミコイツはおれが預かるぞ。」
「うん、いいよ。てゆーか、悠さん。髪サラサラだね。」
「ホント…綺麗ですね。」
姉妹に髪を撫でられるよりも、このアラジンの魔法のランプを使ってなにをするか。
おれはみっつの願いについて、真剣に考え始めた。
ポケットにUSBメモリーをいれて、学校にはいけず池袋街に向かった。
こんなにでかい秘密をもって歩くなんて、生まれて初めてのこと。
なんだか妙に足元が軽かった。
雲のうえでも歩いている気がする。
うろうろしながら午後のあいだすっと考えていた。
おれがなにをするべきか。この街のためになにが必要か。
この情報がおれの手元に流れついたのには、やはりなにか隠された理由があるはずなのだ。
池袋の不死鳥よりもさらに高く、空の遥かな玉座に座っている誰かは、おれになにをさせたいんだろう。
おれが柏に電話したのは、秋の日が暮れかかった午後五時。
柏は上機嫌でおれの電話にでた。
『よう、悠。組対部のやつらの鼻を明かしたの、まだ、胸がすっとしてるぜ。』
「そうか、それはよかったな。」
おれは夕日を浴びた西口公園を眺めていた。
人生には何度もこんな重苦しい夕日があるのだろう。
『なんだ、元気ねぇな。どうした、こんや飲みにいくか?』
おれは少しだけ笑った。
話すしかないだろう。
「じゃあ、ゲストをひとり呼んでくれ。」
『いいぞ、誰だ。』
ため息をついて、おれはいう。
「柏のセンパイ。朧沢武彦東京副知事」
『そいつは無理だ。むこうは超人的に忙しい人なんだぞ』
「いいや、絶対にくる。二十一世紀リゾートの特金のすべてを知ってるガキがいるといってくれ」
池袋署の刑事の声が焦っていた。
おれは重ねていう。
「いいか、柏。こいつは冗談でも、なんでもない。副知事の政治生命がかかった問題なんだ。直接、朧沢さんと話してくれ。いいな、領収書のない特金のすべてというんだ」
『わかった。お前がそれだけいうなら、電話をしてみる。だが、向こうがいいというかはわからないぞ』
「ありがとよ、柏…」
おれはそれだけいって、電話を切った。
「あれ、悠くん。いらっしゃい。」
気がついたら、リッカの店に来ていて同時に本当に不思議だった。
なぜ、おれたちはワンパック五百円のイチゴを売るだけで満足出来ないのだろうか。
新型デリヘルにしても、特殊献金にしてもそうだ。
なぜ、おれたちは満ち足りることを知らないのか。
永遠に生きるという火の鳥は、愚かな人間たちのことをどんなに思いで見下ろしているのだろう。