ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それほど重要な落とし物ってなんだろうか。
カズミも同じように考えたらしい。
『なにを落としたんですか。』
梅中は慎重になったようだった。
『それはちょっと私の口からはいえない。でも、ほんのちいさなものだ。中にはわが社にとって、とても大切なものがはいっている』
『ぜんぜんわかりませんけど。なにか気がついたら、梅中さんに連絡します。今日のところは帰ってください。』
おれは秋の陽射しを浴びながら考えていた。
カズミは着の身着のままで「ラブネスト」を逃げてきたはずだ。
あのとき携帯と財布しかもっていないといっていた。梅中の勘違いかもしれない。
携帯のむこうでカズミの声がした。
『悠さん、あいつら帰ったから、部屋にきて。わたし、大変なものをパクっちゃたかもしれない。』
おれはすぐマンションにもどった。
さすがに音大生専用の建物で、壁もドアも厚く、サッシは二重になっていた。
リビングルームの中央には奥行きが二メートル以上もあるグランドピアノが堂々とおかれている。
おれが部屋にあがると、カズミは携帯電話を振ってみせた。
アクセサリーがジャラジャラと鳴る。
ニッと笑って、おれにいった。
「さっきの梅中の台詞でわかった。私、あいつのアタッシェのなかから、こいつをパクってたんだよね。」
カズミはアクセサリーのなかからピンクのプラスチックケースを選りだした。
「かわいいから、もらっておこうと思って。あんなやつには似合わないじゃん。」
筋が悪いのはピアノだけでなく、手癖も同じようだった。
カズミは力をいれて、楕円形のちいさなキャップをはずした。
なかから現れたのは金属のソケット。
おおきさにしたらほんの数センチしかないUSBメモリーだ。
「きっとあの男が捜してるのはこいつだよ。いっしょになかを見てみよう。」
おれたち三人は、カズミの寝室に向かった。
窓のまえにおかれた学習机の上にはノートパソコンが開いてある。
起動して、USBメモリーを挿した。
おれが操作を始めると姉妹が肩越しに一人づつ顔を覗かせる。
左右からいいにおい…じゃなく、マイコンピュータの画面から、メモリーを選ぶ。
十五インチの液晶画面がたくさんのアイコンで埋まった。
タイトルを読んでいく。
「05年度上半期事業計画、同資金計画、ラブネスト第三・四半期営業成績……」
その手の資本主義的題名が続いている。
「二十一世紀リゾートの裏帳簿でもはいってるのかな」
おれはカーソルを動かしながらタイトルを調べていった。
おしまいから二行目の一番端に、そのファイルが見つかった。
朧沢副知事後援会
政治献金リスト。
「なんだ、これ。」
再びダブルクリック。
開いた書式の頭には、同じタイトルがゴシック体ではいっている。
おれは表の中身を読んでいった。
二十一世紀リゾートから、朧沢武彦の後援会への政治献金が始まったのは、去年の夏のようだった。
カズミも同じように考えたらしい。
『なにを落としたんですか。』
梅中は慎重になったようだった。
『それはちょっと私の口からはいえない。でも、ほんのちいさなものだ。中にはわが社にとって、とても大切なものがはいっている』
『ぜんぜんわかりませんけど。なにか気がついたら、梅中さんに連絡します。今日のところは帰ってください。』
おれは秋の陽射しを浴びながら考えていた。
カズミは着の身着のままで「ラブネスト」を逃げてきたはずだ。
あのとき携帯と財布しかもっていないといっていた。梅中の勘違いかもしれない。
携帯のむこうでカズミの声がした。
『悠さん、あいつら帰ったから、部屋にきて。わたし、大変なものをパクっちゃたかもしれない。』
おれはすぐマンションにもどった。
さすがに音大生専用の建物で、壁もドアも厚く、サッシは二重になっていた。
リビングルームの中央には奥行きが二メートル以上もあるグランドピアノが堂々とおかれている。
おれが部屋にあがると、カズミは携帯電話を振ってみせた。
アクセサリーがジャラジャラと鳴る。
ニッと笑って、おれにいった。
「さっきの梅中の台詞でわかった。私、あいつのアタッシェのなかから、こいつをパクってたんだよね。」
カズミはアクセサリーのなかからピンクのプラスチックケースを選りだした。
「かわいいから、もらっておこうと思って。あんなやつには似合わないじゃん。」
筋が悪いのはピアノだけでなく、手癖も同じようだった。
カズミは力をいれて、楕円形のちいさなキャップをはずした。
なかから現れたのは金属のソケット。
おおきさにしたらほんの数センチしかないUSBメモリーだ。
「きっとあの男が捜してるのはこいつだよ。いっしょになかを見てみよう。」
おれたち三人は、カズミの寝室に向かった。
窓のまえにおかれた学習机の上にはノートパソコンが開いてある。
起動して、USBメモリーを挿した。
おれが操作を始めると姉妹が肩越しに一人づつ顔を覗かせる。
左右からいいにおい…じゃなく、マイコンピュータの画面から、メモリーを選ぶ。
十五インチの液晶画面がたくさんのアイコンで埋まった。
タイトルを読んでいく。
「05年度上半期事業計画、同資金計画、ラブネスト第三・四半期営業成績……」
その手の資本主義的題名が続いている。
「二十一世紀リゾートの裏帳簿でもはいってるのかな」
おれはカーソルを動かしながらタイトルを調べていった。
おしまいから二行目の一番端に、そのファイルが見つかった。
朧沢副知事後援会
政治献金リスト。
「なんだ、これ。」
再びダブルクリック。
開いた書式の頭には、同じタイトルがゴシック体ではいっている。
おれは表の中身を読んでいった。
二十一世紀リゾートから、朧沢武彦の後援会への政治献金が始まったのは、去年の夏のようだった。