ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
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おれは少し離れたところから、やつらを観察した。
濃い灰色から紺のスーツ。なでつけた髪。
黒革のカバン。
暴力関係ではなかった。
銀行マン風の一団である。
そのうちのひとりがこちらを振り向いた。
どこかで見た顔。
「……あ。(ラブネストのエレベーターで出会った梅中だ。)」
おれはあわてて財布のなかにいれっ放しになっていた名刺を抜いた。
㈱二十一世紀リゾート総務部長。
なぜ、そんなお偉いさんが、わざわざカズミのマンションまで押し掛けているのだろう。
おれは目白通りまででてから、携帯電話をつかった。かけたのは姉のカズミのほう。
「悠だ。今、すぐ近くまできてる。男たちはデリヘルの親会社のやつらだ。」
カズミは悪びれずいった。
『うん、わかってる。あの梅中って男、わたしの常連だったから。』
あきれた。
やつは自分の会社でやっているデリヘルに入り浸っていたのか。
公私混同もいいところ。
あきれていると、カズミがいった。
『あの変態、黒のストッキングが大好きで、いつも自分の好きなブランドのやつを持ち込みしてた。さっきから、何度もピンポンピンポン、うるさいんだよね。』
目白通りのイチョウもすっかり色づいていた。
秋の陽射しを浴びて、燃え立つような黄金色だ。
この通りは池袋とは大違いで、ちょっとしたリゾート地のメインストリートのような雰囲気。
おれもオープンカフェでフレンチトーストでも食いたくなる。
「やつらはなんていってるんだ」
『わたしとちょっと話がしたいだけだって。もう借金のことはいいから、聞きたいことがひとつあるみたい。』
まるで意味がわからなかった。
大の男が四人がかりで足を運ぶほど、そいつは重大なことなのだろうか。
配下のデリヘルと街金に手入れがあれば、本社の二十一世紀リゾートだって、大混乱のはずだった。
「それとなく、用件を聞き出せないか。この電話を繋いだまま、ドアホンで話してみろよ。」
『わかった。』
携帯電話のむこうでゴソゴソと移動する音がした。
おれはガードレールに座り耳をすませる。
ピンポンと電子チャイムの音。
カズミの声がした。
『あんまりしつこいと警察呼ぶよ。それより、いったいさっきからなんの用なの。』
『だからシェリーちゃん、ちょっと話がしたいだけだって。』
総務部長の猫なで声が聞こえた。
黒ストッキングフェチの梅中だ。
『もう帰ってください。ほかの住民にも迷惑になるし、用件を先にいわないなら、警察をよびます。』
カズミは機転がきく女だった。
これならピアノをやめてもいくらでも食っていく道はあるだろう。
『わかった、わかった。実は私は大切な物をなくしてしまってね。どこに落としたか忘れたと思うんだけど、困っているんだ。それで、足を運んだ先で落とし物を捜して歩いているんだ。』
濃い灰色から紺のスーツ。なでつけた髪。
黒革のカバン。
暴力関係ではなかった。
銀行マン風の一団である。
そのうちのひとりがこちらを振り向いた。
どこかで見た顔。
「……あ。(ラブネストのエレベーターで出会った梅中だ。)」
おれはあわてて財布のなかにいれっ放しになっていた名刺を抜いた。
㈱二十一世紀リゾート総務部長。
なぜ、そんなお偉いさんが、わざわざカズミのマンションまで押し掛けているのだろう。
おれは目白通りまででてから、携帯電話をつかった。かけたのは姉のカズミのほう。
「悠だ。今、すぐ近くまできてる。男たちはデリヘルの親会社のやつらだ。」
カズミは悪びれずいった。
『うん、わかってる。あの梅中って男、わたしの常連だったから。』
あきれた。
やつは自分の会社でやっているデリヘルに入り浸っていたのか。
公私混同もいいところ。
あきれていると、カズミがいった。
『あの変態、黒のストッキングが大好きで、いつも自分の好きなブランドのやつを持ち込みしてた。さっきから、何度もピンポンピンポン、うるさいんだよね。』
目白通りのイチョウもすっかり色づいていた。
秋の陽射しを浴びて、燃え立つような黄金色だ。
この通りは池袋とは大違いで、ちょっとしたリゾート地のメインストリートのような雰囲気。
おれもオープンカフェでフレンチトーストでも食いたくなる。
「やつらはなんていってるんだ」
『わたしとちょっと話がしたいだけだって。もう借金のことはいいから、聞きたいことがひとつあるみたい。』
まるで意味がわからなかった。
大の男が四人がかりで足を運ぶほど、そいつは重大なことなのだろうか。
配下のデリヘルと街金に手入れがあれば、本社の二十一世紀リゾートだって、大混乱のはずだった。
「それとなく、用件を聞き出せないか。この電話を繋いだまま、ドアホンで話してみろよ。」
『わかった。』
携帯電話のむこうでゴソゴソと移動する音がした。
おれはガードレールに座り耳をすませる。
ピンポンと電子チャイムの音。
カズミの声がした。
『あんまりしつこいと警察呼ぶよ。それより、いったいさっきからなんの用なの。』
『だからシェリーちゃん、ちょっと話がしたいだけだって。』
総務部長の猫なで声が聞こえた。
黒ストッキングフェチの梅中だ。
『もう帰ってください。ほかの住民にも迷惑になるし、用件を先にいわないなら、警察をよびます。』
カズミは機転がきく女だった。
これならピアノをやめてもいくらでも食っていく道はあるだろう。
『わかった、わかった。実は私は大切な物をなくしてしまってね。どこに落としたか忘れたと思うんだけど、困っているんだ。それで、足を運んだ先で落とし物を捜して歩いているんだ。』