ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
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「それで、なんでこんなところまで、おれを呼び出した。」
おれはにやりと笑っていった。
「まあ、みていてくれ。すぐに始まるから。」
それは閉会間際のことだった。
淡々といつものようにすすんだ池袋市民の会合は、突然始まった提案に揺れたのだ。
リッカ母をはじめとする西口商店会の有志が立ち上がって、マイクを求めたのである。
リッカ母がまわされたマイクをもって叫んでいた。
「ロマンス通りの突き当たりにある『ラブネスト』っていう風俗店で、本番があるって噂をききました。今、池袋では一番の人気店で、組織犯罪対策部の人からは、問題のない合法な店だといわれたけど、地元の私たちは納得がいきません。きちんと調べてください」
リッカ母のつぎに男がマイクをにぎった。
ロマンス通りにあるカレー屋のおやじだった。
おれは目を丸くしている柏に囁いた。
「どうだ、組対部は動くかな」
壇上のテーブルでは、都の役人と組対部の制服組が驚きの表情を浮かべている。
なにもないはずの定例会は、おしまいの三分で嵐に見舞われたのだ。
「いや、どうだろうな。すぐには動きがとれんと思う。」
「だろう。でも、地元の商店会の有志が告発して、同時に女たちが駆け込み、ホストからもちゃんと裏がとれたら、池袋署はどうする」
やつは大笑いして、さっきより強くおれの肩をたたいた。
「お前は本当にバカ野郎だな。あークソ笑いが止まらねぇ。いい子だ、悠。おれはすぐに行く。またな。」
「ああ。」
柏は立ち上がるといった。
「明日にでも、いいニュースを教えてやる。これであのデリヘルと一ツ木に手を入れて、腹のなかをぐちゃぐちゃにかき混ぜてやれる。組対部のエリート連中もいい面の皮だ。」
柏はコートの裾をひるがえし、意気揚々と公会堂を出ていった。
刑事より悪の売人みたいだ。
ふと、いつの間にか隣にリッカがいておれの肩に顔を埋めている。
「どした?」
「……前」
リッカ母はまだマイクを持ったまま、叫んでいる。
「なにが、火の鳥だい。生きてる街の人間ごと燃やしたんじゃ。治安回復も安全もないもんだら、私たちを殺す気かい!」
恐ろしい剣幕。
「すげぇな。リッカマミー」
「だから…だから…最終兵器だっていったじゃん…。あれは核だよ…」
リッカ母を敵に回さなくてホントによかった。
その夜、おれは豊島公会堂からすぐに西口に戻った。
ロマンス通りの角で、カズミを待つ。
約束の八時半ちょっと過ぎ、カズミと見たことない若い女が手ぶらでやって来た。
十月も終わりで、東京はかなり冷え込んでいた。
女たちはカーディガンや薄手のジャージを羽織った軽装だ。
唇を青く震わせて、カズミはいった。
「タバコ買いに行くっていって、でてきちゃった。荷物は携帯と財布だけだよ。」
顔色は悪いが、これから起こることへの期待で、高揚しているようだった。
じゃらじゃらとアクセサリーをぶら下げた携帯電話を振ってみせる。
「さ、いこう。池袋署で知り合いの刑事が待ってる。あと、タバコは止めろって綺麗な声が台無しになるぞ。ハーブ煙草をやるから。」
署までは歩いて五分とかからないが、万が一のことを考えて、おれたちは劇場通りにでてタクシーをとめた。
おれはにやりと笑っていった。
「まあ、みていてくれ。すぐに始まるから。」
それは閉会間際のことだった。
淡々といつものようにすすんだ池袋市民の会合は、突然始まった提案に揺れたのだ。
リッカ母をはじめとする西口商店会の有志が立ち上がって、マイクを求めたのである。
リッカ母がまわされたマイクをもって叫んでいた。
「ロマンス通りの突き当たりにある『ラブネスト』っていう風俗店で、本番があるって噂をききました。今、池袋では一番の人気店で、組織犯罪対策部の人からは、問題のない合法な店だといわれたけど、地元の私たちは納得がいきません。きちんと調べてください」
リッカ母のつぎに男がマイクをにぎった。
ロマンス通りにあるカレー屋のおやじだった。
おれは目を丸くしている柏に囁いた。
「どうだ、組対部は動くかな」
壇上のテーブルでは、都の役人と組対部の制服組が驚きの表情を浮かべている。
なにもないはずの定例会は、おしまいの三分で嵐に見舞われたのだ。
「いや、どうだろうな。すぐには動きがとれんと思う。」
「だろう。でも、地元の商店会の有志が告発して、同時に女たちが駆け込み、ホストからもちゃんと裏がとれたら、池袋署はどうする」
やつは大笑いして、さっきより強くおれの肩をたたいた。
「お前は本当にバカ野郎だな。あークソ笑いが止まらねぇ。いい子だ、悠。おれはすぐに行く。またな。」
「ああ。」
柏は立ち上がるといった。
「明日にでも、いいニュースを教えてやる。これであのデリヘルと一ツ木に手を入れて、腹のなかをぐちゃぐちゃにかき混ぜてやれる。組対部のエリート連中もいい面の皮だ。」
柏はコートの裾をひるがえし、意気揚々と公会堂を出ていった。
刑事より悪の売人みたいだ。
ふと、いつの間にか隣にリッカがいておれの肩に顔を埋めている。
「どした?」
「……前」
リッカ母はまだマイクを持ったまま、叫んでいる。
「なにが、火の鳥だい。生きてる街の人間ごと燃やしたんじゃ。治安回復も安全もないもんだら、私たちを殺す気かい!」
恐ろしい剣幕。
「すげぇな。リッカマミー」
「だから…だから…最終兵器だっていったじゃん…。あれは核だよ…」
リッカ母を敵に回さなくてホントによかった。
その夜、おれは豊島公会堂からすぐに西口に戻った。
ロマンス通りの角で、カズミを待つ。
約束の八時半ちょっと過ぎ、カズミと見たことない若い女が手ぶらでやって来た。
十月も終わりで、東京はかなり冷え込んでいた。
女たちはカーディガンや薄手のジャージを羽織った軽装だ。
唇を青く震わせて、カズミはいった。
「タバコ買いに行くっていって、でてきちゃった。荷物は携帯と財布だけだよ。」
顔色は悪いが、これから起こることへの期待で、高揚しているようだった。
じゃらじゃらとアクセサリーをぶら下げた携帯電話を振ってみせる。
「さ、いこう。池袋署で知り合いの刑事が待ってる。あと、タバコは止めろって綺麗な声が台無しになるぞ。ハーブ煙草をやるから。」
署までは歩いて五分とかからないが、万が一のことを考えて、おれたちは劇場通りにでてタクシーをとめた。