ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
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その夜、おれは噴水のとまった西口公園で、ひとり待った。
公園をとりかこむネオンサインは秋風に濡れたように冴えている。
東京芸術劇場の大屋根は、切り立ったガラスの滑走路となり、星のない東京の夜空に続いていた。
「よう、久しぶりだな。」
RVのサイドウインドウが音もなくおりて、タカシの冷たい声がした。
同じ氷点下でも、マイナス三十度と、二十五度は違うよな。
池袋の王様はほんのすこしだけ温度感をにじませていった。
「のれよ。この秋最初の仕事だな。」
おれははしごにでも登るように、メルセデスの巨体に乗り込んだ。
本郷の運転するRVは、JR池袋駅を周回するようにゆっくりと街をクルーズしていく。
西口公園から警察署の角を曲がり、ビックリガードへ。
「タカシのところには、火の鳥の影響はないのか」
明治通りの交差点には、まだ長いラーメンラインが出来ていた。
無敵家と光麺、それに和龍軒の行列だ。
タカシは街に目をやったままいう。
「おれたちにはあまり関係ないな。風俗をやってりわけでも、外国人を雇ってるわけでもない。Sウルフは白でも黒でもなく灰色だ。警察もヤクザもよく見えないんじゃないか。街の陰にまぎれてな。」
ボーイズ&ガールズのことを考えた。
やつらのいかれたカジュアルファッションは都市型迷彩服のようなのかもしれない。
コンクリートとガラスに溶け込む街のゲリラのユニフォームだ。
「氷室さんは疲れてたみたいだけどな。」
「彼奴は苦労人だからな。おれと違い。街とガキじゃなく街と人を見る。」
「どゆことだ?」
「例えば、和辰の店だ。風俗も外国人も店には関係ないが、あの店は深夜までやってる、その時間帯にくる客には関係する。この意味わかるだろ。リッカの店もそうだろう。」
なるほど、氷室さんの場合は東口のガキのもめ事だけでなく東口全体を見てるわけだ。
そりゃ気苦労もするさな。
「世間話しにきた訳じゃないだろ。用件はなんだ」
まだ十月なのに気の早いクリスマスの飾り付けがあちこちに見えた。
年中発情した若いカップルが、やけに沢山あるいている。
「女を貸してほしい。」
驚いた目で、池袋の街の王はおれを見る。
「なんだ事件じゃないのか。悠もとうとうおれに女の斡旋を頼むようになったか。」
王様はくっくっと笑って、わざわざ運転席の本郷の肩を叩いてる。
おれが女を頼むだけでどれだけご機嫌なんだよ。
「わかった。飛び切りのを紹介してやる。お前の好みは」
「未成年の女。それで……」
タカシはあきれてこちらを見る。
おれはキングをからかってやった。
「できれば、よく似た大人の姉貴がいるなら文句なしだ。」
シッとちいさく息をはく音がして、タカシの左拳がおれの頬骨の手前で止まった。
遅れてきた風がおれの前髪を吹き飛ばす。
左目がタカシの目と合う。
「なんかの事件なんだろ。ふざけるな。」
公園をとりかこむネオンサインは秋風に濡れたように冴えている。
東京芸術劇場の大屋根は、切り立ったガラスの滑走路となり、星のない東京の夜空に続いていた。
「よう、久しぶりだな。」
RVのサイドウインドウが音もなくおりて、タカシの冷たい声がした。
同じ氷点下でも、マイナス三十度と、二十五度は違うよな。
池袋の王様はほんのすこしだけ温度感をにじませていった。
「のれよ。この秋最初の仕事だな。」
おれははしごにでも登るように、メルセデスの巨体に乗り込んだ。
本郷の運転するRVは、JR池袋駅を周回するようにゆっくりと街をクルーズしていく。
西口公園から警察署の角を曲がり、ビックリガードへ。
「タカシのところには、火の鳥の影響はないのか」
明治通りの交差点には、まだ長いラーメンラインが出来ていた。
無敵家と光麺、それに和龍軒の行列だ。
タカシは街に目をやったままいう。
「おれたちにはあまり関係ないな。風俗をやってりわけでも、外国人を雇ってるわけでもない。Sウルフは白でも黒でもなく灰色だ。警察もヤクザもよく見えないんじゃないか。街の陰にまぎれてな。」
ボーイズ&ガールズのことを考えた。
やつらのいかれたカジュアルファッションは都市型迷彩服のようなのかもしれない。
コンクリートとガラスに溶け込む街のゲリラのユニフォームだ。
「氷室さんは疲れてたみたいだけどな。」
「彼奴は苦労人だからな。おれと違い。街とガキじゃなく街と人を見る。」
「どゆことだ?」
「例えば、和辰の店だ。風俗も外国人も店には関係ないが、あの店は深夜までやってる、その時間帯にくる客には関係する。この意味わかるだろ。リッカの店もそうだろう。」
なるほど、氷室さんの場合は東口のガキのもめ事だけでなく東口全体を見てるわけだ。
そりゃ気苦労もするさな。
「世間話しにきた訳じゃないだろ。用件はなんだ」
まだ十月なのに気の早いクリスマスの飾り付けがあちこちに見えた。
年中発情した若いカップルが、やけに沢山あるいている。
「女を貸してほしい。」
驚いた目で、池袋の街の王はおれを見る。
「なんだ事件じゃないのか。悠もとうとうおれに女の斡旋を頼むようになったか。」
王様はくっくっと笑って、わざわざ運転席の本郷の肩を叩いてる。
おれが女を頼むだけでどれだけご機嫌なんだよ。
「わかった。飛び切りのを紹介してやる。お前の好みは」
「未成年の女。それで……」
タカシはあきれてこちらを見る。
おれはキングをからかってやった。
「できれば、よく似た大人の姉貴がいるなら文句なしだ。」
シッとちいさく息をはく音がして、タカシの左拳がおれの頬骨の手前で止まった。
遅れてきた風がおれの前髪を吹き飛ばす。
左目がタカシの目と合う。
「なんかの事件なんだろ。ふざけるな。」