ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
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「そうだったのか。」
『だから、あの人は風俗街の掃討作戦にあれほど熱をいれてるのかもしれないな。不幸な女をひとりでも減らしたい。おれはな、今度の火の鳥の理由は、案外単純なんじゃないかと思ってる。』
広い空を見上げた。
ベタ塗りの淡い青には雲のかけらも浮かんでいなかった。
空はただ青いだけなのに、なぜときに悲しく見えることがあるのだろう。詩人ゆう。
「柏はたまに副知事に会ったりしてるのか。」
『定例の会議で顔をあわせるな。だけど、個人的に話したのは、あの人が警視庁をやめてからねぇな。』
刑事はしみじみしてるようだ。
悪魔の目にも涙。
おれはいった。
「でも、個人的な連絡先は知ってるんだろ」
柏はまた、人を小馬鹿にしたように鼻をならしていった。
「まあな、でも絶対テメェにだけは教えねぇ。」
おれは大笑して電話を切ろうとした。
そこで思い付いて聞いてみる。
「ホストクラブのトラブルで、池袋署に問い合わせが多いのってなんだ。」
柏は飽きずに人を小馬鹿にしたように鼻で笑った。
『テメェなぁ、おれは犯罪社会学者じゃねぇぞ。』
「そう言うな。いくつか手柄をあげさせてやってるだろ。たまにはおれにも情報をくれ。」
『っち…人をいいようにつかいやがって。だが、いいだろう。教えてやる。一番多いのは未成年者の客に関するトラブルだ。』
ビンゴ!
未成年者の一言で、おれの頭のなかにピカピカのプランが浮かんだ。
あのダイキとかいうマヌケなホストをぼろぼろに沈めるアイディアである。
おれはステップでも踏みたい気分だった。
数時間も考えあぐねていた問題に一瞬でけりがついたのだ。
おれは携帯に叫んだ。
「柏!ありがとう。おかげで、どんぴしゃの作戦が浮かんだよ。今度飲むときは、おれのおごりだから。いくら高いクラブでもいいぞ。」
『なにいってんだ、悠。気持ちわりぃ…おまえ、おかしくなったんじゃないか?』
おれがおかしくなったのは当然だった。
なぜなら、ホストクラブ「ブラックスワン」を沈める作戦が、その後火の鳥を撃ち落とす大手柄につながっていたのだから。
そんなことは、その時点では誰にも想像出来なかっただろう。
このおれだって、そこまで先の事など考えてはいなかった。
なにせ、柏との通話を切って考えていたのは、清純派の妹・イクミのことである。
あの子と一緒に秋の街を歩いて東京芸術劇場にききにいくなら、どんなピアニストがいいかな。
どうせなら、飛び切りうまい演奏家で、モーツァルトの奇跡みたいに単純なピアノソナタでも聞きたいな。
食事は何が好きかそれとなく聞き出しときたいな。
秋の空のした、ロマンチックな夢想にふけっていたおれが、一週間後には池袋の街全体を炎の翼で包み込むあの不死鳥を地上に叩き落とせたんだかな。
なぁ、人生ってわからないだろう。
『だから、あの人は風俗街の掃討作戦にあれほど熱をいれてるのかもしれないな。不幸な女をひとりでも減らしたい。おれはな、今度の火の鳥の理由は、案外単純なんじゃないかと思ってる。』
広い空を見上げた。
ベタ塗りの淡い青には雲のかけらも浮かんでいなかった。
空はただ青いだけなのに、なぜときに悲しく見えることがあるのだろう。詩人ゆう。
「柏はたまに副知事に会ったりしてるのか。」
『定例の会議で顔をあわせるな。だけど、個人的に話したのは、あの人が警視庁をやめてからねぇな。』
刑事はしみじみしてるようだ。
悪魔の目にも涙。
おれはいった。
「でも、個人的な連絡先は知ってるんだろ」
柏はまた、人を小馬鹿にしたように鼻をならしていった。
「まあな、でも絶対テメェにだけは教えねぇ。」
おれは大笑して電話を切ろうとした。
そこで思い付いて聞いてみる。
「ホストクラブのトラブルで、池袋署に問い合わせが多いのってなんだ。」
柏は飽きずに人を小馬鹿にしたように鼻で笑った。
『テメェなぁ、おれは犯罪社会学者じゃねぇぞ。』
「そう言うな。いくつか手柄をあげさせてやってるだろ。たまにはおれにも情報をくれ。」
『っち…人をいいようにつかいやがって。だが、いいだろう。教えてやる。一番多いのは未成年者の客に関するトラブルだ。』
ビンゴ!
未成年者の一言で、おれの頭のなかにピカピカのプランが浮かんだ。
あのダイキとかいうマヌケなホストをぼろぼろに沈めるアイディアである。
おれはステップでも踏みたい気分だった。
数時間も考えあぐねていた問題に一瞬でけりがついたのだ。
おれは携帯に叫んだ。
「柏!ありがとう。おかげで、どんぴしゃの作戦が浮かんだよ。今度飲むときは、おれのおごりだから。いくら高いクラブでもいいぞ。」
『なにいってんだ、悠。気持ちわりぃ…おまえ、おかしくなったんじゃないか?』
おれがおかしくなったのは当然だった。
なぜなら、ホストクラブ「ブラックスワン」を沈める作戦が、その後火の鳥を撃ち落とす大手柄につながっていたのだから。
そんなことは、その時点では誰にも想像出来なかっただろう。
このおれだって、そこまで先の事など考えてはいなかった。
なにせ、柏との通話を切って考えていたのは、清純派の妹・イクミのことである。
あの子と一緒に秋の街を歩いて東京芸術劇場にききにいくなら、どんなピアニストがいいかな。
どうせなら、飛び切りうまい演奏家で、モーツァルトの奇跡みたいに単純なピアノソナタでも聞きたいな。
食事は何が好きかそれとなく聞き出しときたいな。
秋の空のした、ロマンチックな夢想にふけっていたおれが、一週間後には池袋の街全体を炎の翼で包み込むあの不死鳥を地上に叩き落とせたんだかな。
なぁ、人生ってわからないだろう。