ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一ツ木企画は立派なオフィスビルの六階だった。
場所は池袋駅の反対側。
東口のグリーン大通りに面している。
「ここか。」
「はい。では、私はここで失礼しますね。」
「あぁ。さんきゅ。」
おれはなんのアポイントメントもとらずに、いきなり訪問してみた。
無駄足でもかまわない。
場所をたしかめるだけでも、別によかったのだ。
受付は若い女だった。
おれが用件をつげると、パーティションで仕切られた応接コーナーに案内してくれる。
冷たい麦茶も出してくれた。案外まともだ。
でてきた男は、いまどき頭を七三にわけた三十代。
おれはカズミの話をした。
男は何度も丁寧にうなずいていう。
「ちょっとお待ちください」
数分でファイルをもって、戻ってくる。
おれを見て、にこりと笑った。
「確かにそういう名前のお客さまがいらしゃいます。うちからの貸金は、その男性がおっしゃっているよりかなり高額になっているようです。最近は個人情報の保護が厳しいので、金額についてはもうしあげられません。ご当人さま、あるいはご家族の正式な委任状をおもちになるか、法律関係のかたにご相談されてはいかがでしょうか。」
こんなところにも個人情報保護法の壁がある。
ますますトラブルシューター稼業もやりにくくなってきた。
「じゃあ、最後にひとつだけ。ちゃんとカズミさんは借金を返済していますか」
男はファイルに目を落とした。
「ええ、きちんとご返済いただいています。」
「毎月何十万も」
「金額はもうしあげれませんが、かなりの額であることは確かです。」
おれは笑ってやつを見た。
「デリヘルに紹介して、身体で借金を返済させる。この立派なオフィスの家賃が、そうやって払われているなんてね。世の中はわからないもんですねぇ。じゃあ、また。」
おれは顔色を変えた男を残して、一ツ木企画をでた。
エレベーターホールの窓には、色づき始めたイチョウ並木が遥か池袋駅まで続いていた。
人間たちが愚かに金を増やしているあいだに、秋は静かに深まっていく。
おれも街の裏側ばかりかぎまわっていないで、たまには詩人にでもなりたかった。
フロント企画、ホストクラブ、新型デリヘル、一斉摘発なんて趣きのない単語はもうたくさんだった。
ー学校ー
「せやから、ここは…」
翌日おれは授業を聞きながら、必死に考えた。
デリヘルのほうはなんとか打つ手が見つかったけれど、あのホストクラブが問題だった。
いっそのこと覆面をしたSウルフにでも襲撃させようかと思ったが、池上とSウルフではさすがにタカシのほうの分が悪い。
さらにいえば虎狗琥組と池上の頂上対決にでもなれば洒落にならない。
あれからおれが動いたのは二回だけだった。
まぁそのうちひとつは電話だったけどね。
場所は池袋駅の反対側。
東口のグリーン大通りに面している。
「ここか。」
「はい。では、私はここで失礼しますね。」
「あぁ。さんきゅ。」
おれはなんのアポイントメントもとらずに、いきなり訪問してみた。
無駄足でもかまわない。
場所をたしかめるだけでも、別によかったのだ。
受付は若い女だった。
おれが用件をつげると、パーティションで仕切られた応接コーナーに案内してくれる。
冷たい麦茶も出してくれた。案外まともだ。
でてきた男は、いまどき頭を七三にわけた三十代。
おれはカズミの話をした。
男は何度も丁寧にうなずいていう。
「ちょっとお待ちください」
数分でファイルをもって、戻ってくる。
おれを見て、にこりと笑った。
「確かにそういう名前のお客さまがいらしゃいます。うちからの貸金は、その男性がおっしゃっているよりかなり高額になっているようです。最近は個人情報の保護が厳しいので、金額についてはもうしあげられません。ご当人さま、あるいはご家族の正式な委任状をおもちになるか、法律関係のかたにご相談されてはいかがでしょうか。」
こんなところにも個人情報保護法の壁がある。
ますますトラブルシューター稼業もやりにくくなってきた。
「じゃあ、最後にひとつだけ。ちゃんとカズミさんは借金を返済していますか」
男はファイルに目を落とした。
「ええ、きちんとご返済いただいています。」
「毎月何十万も」
「金額はもうしあげれませんが、かなりの額であることは確かです。」
おれは笑ってやつを見た。
「デリヘルに紹介して、身体で借金を返済させる。この立派なオフィスの家賃が、そうやって払われているなんてね。世の中はわからないもんですねぇ。じゃあ、また。」
おれは顔色を変えた男を残して、一ツ木企画をでた。
エレベーターホールの窓には、色づき始めたイチョウ並木が遥か池袋駅まで続いていた。
人間たちが愚かに金を増やしているあいだに、秋は静かに深まっていく。
おれも街の裏側ばかりかぎまわっていないで、たまには詩人にでもなりたかった。
フロント企画、ホストクラブ、新型デリヘル、一斉摘発なんて趣きのない単語はもうたくさんだった。
ー学校ー
「せやから、ここは…」
翌日おれは授業を聞きながら、必死に考えた。
デリヘルのほうはなんとか打つ手が見つかったけれど、あのホストクラブが問題だった。
いっそのこと覆面をしたSウルフにでも襲撃させようかと思ったが、池上とSウルフではさすがにタカシのほうの分が悪い。
さらにいえば虎狗琥組と池上の頂上対決にでもなれば洒落にならない。
あれからおれが動いたのは二回だけだった。
まぁそのうちひとつは電話だったけどね。