ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
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お見合いパブの仕事にいくというコウイチと西三番街で別れた。
ホストクラブ「ブラックスワン」は、エミーカの住んでいた外国人専用のマンションのすぐ近くだった。
店先を掃いているホストの卵に聞いた。
「悪いけど、ダイキさんいるかな」
トウモロコシの穂のような黄色い髪をしたガキが、黙って地下に降りる階段をさした。
「ありがと」
礼をいって、明かりのついていない暗い鏡張りの階段をおりた。
地下室の広さは三十畳ほどあるだろうか。
花と白い大理石と鏡で埋め尽くされて、窒息しそうな店だった。
あまりに金をかけすぎると貧乏に見えるという典型である。
数人のホストたちが、店内の掃除をしていた。
「すみません、ダイキさんに話があるんですけど」
暗い顔をしたガキに、たま黙ってロッカールームをさされる。
ホストってもっと陽気なやつらかと思っていたが、オフではひどく無口のようだ。
ドアをノックして、部屋に入った。
ダイキはビジュアル系のバンドの二番目にカッコイイメンバーという感じ。
目はでかく、鼻もでかく、唇はだらしなく垂れている。
鏡越しにドライヤーを使いながら、おれにいった。
「なんだ、おまえ、ホスト志願か」
おれでも稼げるかと聞きそうになったが、パーカーのポケットからカズミの写真をだした。
「瀬沼和美の家族から、彼女を探すように頼まれてる。おれは小鳥遊悠。アンタが彼女のお気に入りだったんだろう」
一瞬険しい顔になったが、ダイキはふてぶてしくいった。
「ああ、あの困った客か。金もないのに、ドンペリばんばん抜いてな。最近の女子大生にはあきれるよ。頭も股も財布もゆるいんだからな。」
やつは営業用のスマイルをおれにむけた。
薄っぺらな笑顔。
前に助けたスカウトマンのタイチとは天地の差だ。
これでだまされる女もいるんだから、世の中は単純。
「カズミがつくった借金はいくらぐらいだったんだ。」
ダイキは悪びれずにいう。
「忘れた。二本か、三本くらいじゃなかったかな。よくある話だ。」
一本は百万。
おれはコウイチからホストの給料についても話を聞いていた。
ホストの取り分は客の落とした金の半分。
風俗嬢に近いシステムだ。
ツケの半分はホストに回されるから、客から集金できなければ、赤い数字のはいった伝票が月末に回ってくることもある。
やつらのあいだでは、召集令状なみに恐れられる赤伝票だ。
「カズミはそんな金をもってはいなかったはずだ。アンタはどうやって、金を取り立てた」
やつは壁の鏡からおれのほうを振り向いた。
にやにやと笑っていう。
「小鳥遊とかいったな、いいか。こいつはちっとも違法なんかじゃないからな。正当な商行為だ。おれはさんざん努力したけど、カズミから金を払ってもらえなかった。警察に訴えてもいいけど、それだけは勘弁してくれと、あの女はいった。だからしかたなく、努力して稼いだ債権を業者に売ったんだ。あとのことはおれは知らない。もう関係ないんだよ、あの女とは。お前も二度とこの店に顔をだすな。」
ホストクラブ「ブラックスワン」は、エミーカの住んでいた外国人専用のマンションのすぐ近くだった。
店先を掃いているホストの卵に聞いた。
「悪いけど、ダイキさんいるかな」
トウモロコシの穂のような黄色い髪をしたガキが、黙って地下に降りる階段をさした。
「ありがと」
礼をいって、明かりのついていない暗い鏡張りの階段をおりた。
地下室の広さは三十畳ほどあるだろうか。
花と白い大理石と鏡で埋め尽くされて、窒息しそうな店だった。
あまりに金をかけすぎると貧乏に見えるという典型である。
数人のホストたちが、店内の掃除をしていた。
「すみません、ダイキさんに話があるんですけど」
暗い顔をしたガキに、たま黙ってロッカールームをさされる。
ホストってもっと陽気なやつらかと思っていたが、オフではひどく無口のようだ。
ドアをノックして、部屋に入った。
ダイキはビジュアル系のバンドの二番目にカッコイイメンバーという感じ。
目はでかく、鼻もでかく、唇はだらしなく垂れている。
鏡越しにドライヤーを使いながら、おれにいった。
「なんだ、おまえ、ホスト志願か」
おれでも稼げるかと聞きそうになったが、パーカーのポケットからカズミの写真をだした。
「瀬沼和美の家族から、彼女を探すように頼まれてる。おれは小鳥遊悠。アンタが彼女のお気に入りだったんだろう」
一瞬険しい顔になったが、ダイキはふてぶてしくいった。
「ああ、あの困った客か。金もないのに、ドンペリばんばん抜いてな。最近の女子大生にはあきれるよ。頭も股も財布もゆるいんだからな。」
やつは営業用のスマイルをおれにむけた。
薄っぺらな笑顔。
前に助けたスカウトマンのタイチとは天地の差だ。
これでだまされる女もいるんだから、世の中は単純。
「カズミがつくった借金はいくらぐらいだったんだ。」
ダイキは悪びれずにいう。
「忘れた。二本か、三本くらいじゃなかったかな。よくある話だ。」
一本は百万。
おれはコウイチからホストの給料についても話を聞いていた。
ホストの取り分は客の落とした金の半分。
風俗嬢に近いシステムだ。
ツケの半分はホストに回されるから、客から集金できなければ、赤い数字のはいった伝票が月末に回ってくることもある。
やつらのあいだでは、召集令状なみに恐れられる赤伝票だ。
「カズミはそんな金をもってはいなかったはずだ。アンタはどうやって、金を取り立てた」
やつは壁の鏡からおれのほうを振り向いた。
にやにやと笑っていう。
「小鳥遊とかいったな、いいか。こいつはちっとも違法なんかじゃないからな。正当な商行為だ。おれはさんざん努力したけど、カズミから金を払ってもらえなかった。警察に訴えてもいいけど、それだけは勘弁してくれと、あの女はいった。だからしかたなく、努力して稼いだ債権を業者に売ったんだ。あとのことはおれは知らない。もう関係ないんだよ、あの女とは。お前も二度とこの店に顔をだすな。」