ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
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「そうなんだ。悠くんにも伝えとくね。」
「ゆうには一度指名してほしいともいっといてね。私、ゆう好みだし。」
あたしは笑ってしまった。悠くんは見えないところではモテモテなんだもん。
「でも、私不思議なことある。どうして、復興ビザで入管に登録してる私たちが、お酒作るだけで捕まるのかなあ。外国人パブに踏み込んで、女の子十人も摘発するなら、極悪の窃盗団やカード偽造団捕まえる方が、ずっとみんなのためになるよ。」
そういわれれば、あたしだってうなずくしかなかった。
お手軽なところばかり、成果をあげても実際の治安回復から遠いのは、子供にだってわかる理屈よね。
あたしは千円札を受け取り、おつりと一緒にポリ袋の中にキウイを二つ落としてあげた。
「うん。日本人だって、みんなどこかおかしいって思ってるよ。うちの店もぜんぜん売れないし。こんなことは長く続かないよ。エミーカもがんばってね。」
「リッカもね」
チュッと頬に軽くキスをされた。
あたしは笑って手を振った。
形のいいお尻を左右にスイングさせながら、西一番街を去っていく。
あたしがいうのもなんだけど、こういう風景を見れなくなるのは、国際親善以外にもこの街の大きな損害だよね。
「よし、悠くんにエミーカの事をはなしておこうかなー。」
その夜、警察車輛は常盤通りにとまった。
今度はおれも正確な台数を知っている。
灰色のバス四台だ。
リッカからの連絡に、おれは夜中にも関わらず見に行ったのである。
果物屋でリッカと落ち合い。
野次馬が集まっているのは、常盤通りからラブホテル街に一本入った路地だった。
嫌な予感がした。
そこはバブルのころ建てられた古い投資用のワンルームマンションだった。
白かった壁はネズミ色。
そのあたりは有名な外国人専用の物件である。エミーカに注文を頼まれて、おれもリッカの代わりに一度まだ青いバナナをワンカートン届けたことがあった。
何人か女の泣き声が聞こえた。
機動隊員が外国人の女達をバスにひきたてていく。
おれたちは女たちの中にエミーカの顔を探した。
その時マンションのうえのほうから、女の叫び声が聞こえてきた。
「なにするのー、離してよ。私はフィリピンに帰らないね。」
コンクリートの壁はよく声を反射した。
すぐ耳元で叫んでるように聞こえる。
「やめなさい」
男の怒号に続いて、人がもみ合う音。
それからまた女の悲鳴。
その声は、尾を引いて落ちてくる。
おれたちの所からは見えなかったが、ビルとビルのすきまで、ゴツンと何かが地面にぶつかる嫌な音がした。
野次馬が叫んだ。
「女が飛び降りたぞ。」
急にあたりが騒がしくなった。
機動隊が救急車を呼んでいる。
赤色灯を回転させて緊急車両が到着したのは五分後。
おれは野次馬の背中越しにストレッチャーに乗せられ、運ばれていく女を見た。
タカログ語で何か泣き叫びながら、女は救急車に飲み込まれた。
エミーカではなかった。
「ゆうには一度指名してほしいともいっといてね。私、ゆう好みだし。」
あたしは笑ってしまった。悠くんは見えないところではモテモテなんだもん。
「でも、私不思議なことある。どうして、復興ビザで入管に登録してる私たちが、お酒作るだけで捕まるのかなあ。外国人パブに踏み込んで、女の子十人も摘発するなら、極悪の窃盗団やカード偽造団捕まえる方が、ずっとみんなのためになるよ。」
そういわれれば、あたしだってうなずくしかなかった。
お手軽なところばかり、成果をあげても実際の治安回復から遠いのは、子供にだってわかる理屈よね。
あたしは千円札を受け取り、おつりと一緒にポリ袋の中にキウイを二つ落としてあげた。
「うん。日本人だって、みんなどこかおかしいって思ってるよ。うちの店もぜんぜん売れないし。こんなことは長く続かないよ。エミーカもがんばってね。」
「リッカもね」
チュッと頬に軽くキスをされた。
あたしは笑って手を振った。
形のいいお尻を左右にスイングさせながら、西一番街を去っていく。
あたしがいうのもなんだけど、こういう風景を見れなくなるのは、国際親善以外にもこの街の大きな損害だよね。
「よし、悠くんにエミーカの事をはなしておこうかなー。」
その夜、警察車輛は常盤通りにとまった。
今度はおれも正確な台数を知っている。
灰色のバス四台だ。
リッカからの連絡に、おれは夜中にも関わらず見に行ったのである。
果物屋でリッカと落ち合い。
野次馬が集まっているのは、常盤通りからラブホテル街に一本入った路地だった。
嫌な予感がした。
そこはバブルのころ建てられた古い投資用のワンルームマンションだった。
白かった壁はネズミ色。
そのあたりは有名な外国人専用の物件である。エミーカに注文を頼まれて、おれもリッカの代わりに一度まだ青いバナナをワンカートン届けたことがあった。
何人か女の泣き声が聞こえた。
機動隊員が外国人の女達をバスにひきたてていく。
おれたちは女たちの中にエミーカの顔を探した。
その時マンションのうえのほうから、女の叫び声が聞こえてきた。
「なにするのー、離してよ。私はフィリピンに帰らないね。」
コンクリートの壁はよく声を反射した。
すぐ耳元で叫んでるように聞こえる。
「やめなさい」
男の怒号に続いて、人がもみ合う音。
それからまた女の悲鳴。
その声は、尾を引いて落ちてくる。
おれたちの所からは見えなかったが、ビルとビルのすきまで、ゴツンと何かが地面にぶつかる嫌な音がした。
野次馬が叫んだ。
「女が飛び降りたぞ。」
急にあたりが騒がしくなった。
機動隊が救急車を呼んでいる。
赤色灯を回転させて緊急車両が到着したのは五分後。
おれは野次馬の背中越しにストレッチャーに乗せられ、運ばれていく女を見た。
タカログ語で何か泣き叫びながら、女は救急車に飲み込まれた。
エミーカではなかった。