ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いいや、来週給料日の下見に来たんだ。でもこの店、気にいったよ。特にこのシェリーって女の子。彼女はいつも店にいるのかな。」
男の笑顔は急にテンションが下がっていった。
「ええ、シェリーちゃんなら、毎日出てますよ。ピアノと歌がうまいんで、評判いいらしいです。なんたって指が繊細に動くから。」
若い女の指先の天国のトリルを想像した。今度は本気でうなずいて、男に礼を言う。
「ピアニストっていいよな。おれもアルゲリッチとか大好きだ。ありがとう。」
受付の男はファイルの中に今世紀代表する女流ピアニストの名前を探していた。
おれとコウイチが案内所を出ようとすると、わざわざ名刺をわたしてくれる。
「なにかありましたら、お電話ください。おまちしています」
またビニールのカーテンを開いて、夜の街に出た。
池袋も、風俗も変わったものだ。
コウイチとはその場でわかれておれは携帯でイクミに電話をした。
応答はなし。今度カズミの写真をもってくるように留守電サービスに残して電話を切る。
長かった一日も時刻はもう九時過ぎ一応リッカにも報告と思って西一番街にもどった。
とはいっても、歩いて数分の近所である。
池袋西口の繁華街は、新宿歌舞伎町なんかとは違って、ひどくコンパクトな作りになっている。
あたしはお母さんと交代で夕食を食べて、店番を続けた。
夜の売り上げは火の鳥前よりも四割がたは落ちてるんじゃないかな。
うちのような零細ストアにとっては死活問題だった。
母は不死鳥会で客足が落ちたと何度も訴えたようだけど、商店街の幹部は役人の言葉を繰り返すだけだったみたい。
昔のように街が安全になれば、また客は戻ってくる。
うちの店の体力がなくなるのが先か、健全な客が戻ってくるのが先か、終わりの見えないチキンレースになっていた。
副知事は風俗狩り、外国人狩りと勇ましいことをいっているが、一緒に狩られているのは、古くからある地元の商店も一緒だった。
「ふぅ…もう十時かー。」
火の鳥襲来以降、人出はこの時間で昔の深夜と同じだった。
「あー、この店はまだやってるねー」
店先から独特のイントネーションの声がする。目をあげると、かつての常連客が立っていた。
エミーカはフィリピンパブのホステスさん。
ふたサイズはちいさなジーンズは薄いゴムのように形のいい足に張り付いている。
うえはスパンコールだらけのショートジャケットだった。
あたしから見たら小柄だけど、スタイルは超絶的。
「エミーカ久しぶり。よく火の鳥につかまんなかったねー」
「だいじょうぶよ、すぐ錦糸町に逃げたから。このスターフルーツとマンゴーもらうね。リッカ、池袋の調子はどう」
あたしはポリ袋にフルーツをつめながらいった。
「変わってないよー。週に二回は、一斉摘発があるし。今度はコリアンエステだ、ルーマニアパブだって、噂ばかり乱れ飛んで、みんなびびっちゃってる。それより…池袋何かに顔だしてだいじょうぶなの?」
甘い匂いのするポリ袋をわたすと、エミーカは強気で笑った。
「アパートにおいてきた荷物を取りに来ただけ。もう池袋はダメだから、錦糸町のお店に移ることにしたよ。こっちにいいお客ついてたから、もったいないけど。しかたないねー。」
男の笑顔は急にテンションが下がっていった。
「ええ、シェリーちゃんなら、毎日出てますよ。ピアノと歌がうまいんで、評判いいらしいです。なんたって指が繊細に動くから。」
若い女の指先の天国のトリルを想像した。今度は本気でうなずいて、男に礼を言う。
「ピアニストっていいよな。おれもアルゲリッチとか大好きだ。ありがとう。」
受付の男はファイルの中に今世紀代表する女流ピアニストの名前を探していた。
おれとコウイチが案内所を出ようとすると、わざわざ名刺をわたしてくれる。
「なにかありましたら、お電話ください。おまちしています」
またビニールのカーテンを開いて、夜の街に出た。
池袋も、風俗も変わったものだ。
コウイチとはその場でわかれておれは携帯でイクミに電話をした。
応答はなし。今度カズミの写真をもってくるように留守電サービスに残して電話を切る。
長かった一日も時刻はもう九時過ぎ一応リッカにも報告と思って西一番街にもどった。
とはいっても、歩いて数分の近所である。
池袋西口の繁華街は、新宿歌舞伎町なんかとは違って、ひどくコンパクトな作りになっている。
あたしはお母さんと交代で夕食を食べて、店番を続けた。
夜の売り上げは火の鳥前よりも四割がたは落ちてるんじゃないかな。
うちのような零細ストアにとっては死活問題だった。
母は不死鳥会で客足が落ちたと何度も訴えたようだけど、商店街の幹部は役人の言葉を繰り返すだけだったみたい。
昔のように街が安全になれば、また客は戻ってくる。
うちの店の体力がなくなるのが先か、健全な客が戻ってくるのが先か、終わりの見えないチキンレースになっていた。
副知事は風俗狩り、外国人狩りと勇ましいことをいっているが、一緒に狩られているのは、古くからある地元の商店も一緒だった。
「ふぅ…もう十時かー。」
火の鳥襲来以降、人出はこの時間で昔の深夜と同じだった。
「あー、この店はまだやってるねー」
店先から独特のイントネーションの声がする。目をあげると、かつての常連客が立っていた。
エミーカはフィリピンパブのホステスさん。
ふたサイズはちいさなジーンズは薄いゴムのように形のいい足に張り付いている。
うえはスパンコールだらけのショートジャケットだった。
あたしから見たら小柄だけど、スタイルは超絶的。
「エミーカ久しぶり。よく火の鳥につかまんなかったねー」
「だいじょうぶよ、すぐ錦糸町に逃げたから。このスターフルーツとマンゴーもらうね。リッカ、池袋の調子はどう」
あたしはポリ袋にフルーツをつめながらいった。
「変わってないよー。週に二回は、一斉摘発があるし。今度はコリアンエステだ、ルーマニアパブだって、噂ばかり乱れ飛んで、みんなびびっちゃってる。それより…池袋何かに顔だしてだいじょうぶなの?」
甘い匂いのするポリ袋をわたすと、エミーカは強気で笑った。
「アパートにおいてきた荷物を取りに来ただけ。もう池袋はダメだから、錦糸町のお店に移ることにしたよ。こっちにいいお客ついてたから、もったいないけど。しかたないねー。」