ー特別編ーVS不死鳥プロジェクト
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ことの起こりは、8・12の一週間前にさかのぼる。
ミッドナイトサマーレイヴの後だな。
池袋の商店会のあいだで緊急招集がかかった。
まったく関係ないおれがそんな者に参加してたのはリッカの付き添い。
果物屋は、ひと足早い夏休みだった。
なんでも、リッカのおふくろさんが女学校時代の幼馴染み(スズネのおふくろさんらしい)と軽井沢旅行に行って、たまたま店に顔を出したら俺も付き合わされた。
まぁ、おれは別に女との約束もなく、のこのこと豊島公会堂にでかけていった。
まだ、日の高い午後六時、誰もいない演壇のうえにはでかでかと看板がさがっていた。
池袋不死鳥プロジェクト。手塚治虫作品みたい。
スラッと伸びたリッカのナマ足を見つめつつ。
その夜誰と遊ぼうかと、おれが携帯をいじろうとしていると、一人の男がステージの上手から現れた。
颯爽とした紺のスーツ。
仕立てもいいし、サイズもジャストだ。
クールビズスタイルでノーネクタイで紺のストライプのシャツを着ている。
襟の高いドゥエ・ボットーニ。
襟にボタンが二個ついたこじゃれたやつな。
演壇の電光掲示板には、東京都副知事・朧沢武彦の名前。
政治家には珍しいハンサムで、拍手は商店会の男たちよりも女たちのほうが多かった。
まあ、池袋も商店会のつねで女のほうが元気なんだけどな。
やつは神経質そうにマイクをさわり正面をにらんだ。
「池袋のみなさん、暴力団とたたかう準備はできていますか」
場内がどよめいた。
心底びっくりした。
リッカも同じだったらしくおれと顔を見合わせた。
池袋の街と暴力団というのは、切っても切れないものだ。
この街にある百以上の組事務所のことを考える。
あいつらは歯周病菌と同じだ。
どんな人間の歯にも住んでいて、ときに悪さをすることもある。
だが、完全に駆除することはできないし、人は完璧な無菌状態では息苦しくて窒息してしまう。
イケメンの副知事は続けた。
「治安の悪化がいわれていますが、東京都も警視庁も今回は本気で取り組むつもりです。新宿・池袋・六本木、三ヶ所の重点地区で、この夏から本格的な掃討作戦にはいります。それには地域の住民のみなさんのご協力が欠かせません。子どもたちが安心して遊べる街、観光客が夜も安全に外出できる街をつくるために、みなさんのお力を貸してください」
確かにいってることはまともだった。
それどころか、やつが言葉を切るたびに、古い公会堂の観客席から拍手がまき起こったりする。
リッカがヒソヒソと小声でいった。
「あの人、口では簡単にいってるけど、それがどれだけ大変なことかわかってるのかしら。」
「さぁ…いっちゃ悪いが無知なボンボン知事の得点稼ぎ宣言じゃないか?」
おれは肩をすくめ、あきれて壇上の男を眺めていた。
ミッドナイトサマーレイヴの後だな。
池袋の商店会のあいだで緊急招集がかかった。
まったく関係ないおれがそんな者に参加してたのはリッカの付き添い。
果物屋は、ひと足早い夏休みだった。
なんでも、リッカのおふくろさんが女学校時代の幼馴染み(スズネのおふくろさんらしい)と軽井沢旅行に行って、たまたま店に顔を出したら俺も付き合わされた。
まぁ、おれは別に女との約束もなく、のこのこと豊島公会堂にでかけていった。
まだ、日の高い午後六時、誰もいない演壇のうえにはでかでかと看板がさがっていた。
池袋不死鳥プロジェクト。手塚治虫作品みたい。
スラッと伸びたリッカのナマ足を見つめつつ。
その夜誰と遊ぼうかと、おれが携帯をいじろうとしていると、一人の男がステージの上手から現れた。
颯爽とした紺のスーツ。
仕立てもいいし、サイズもジャストだ。
クールビズスタイルでノーネクタイで紺のストライプのシャツを着ている。
襟の高いドゥエ・ボットーニ。
襟にボタンが二個ついたこじゃれたやつな。
演壇の電光掲示板には、東京都副知事・朧沢武彦の名前。
政治家には珍しいハンサムで、拍手は商店会の男たちよりも女たちのほうが多かった。
まあ、池袋も商店会のつねで女のほうが元気なんだけどな。
やつは神経質そうにマイクをさわり正面をにらんだ。
「池袋のみなさん、暴力団とたたかう準備はできていますか」
場内がどよめいた。
心底びっくりした。
リッカも同じだったらしくおれと顔を見合わせた。
池袋の街と暴力団というのは、切っても切れないものだ。
この街にある百以上の組事務所のことを考える。
あいつらは歯周病菌と同じだ。
どんな人間の歯にも住んでいて、ときに悪さをすることもある。
だが、完全に駆除することはできないし、人は完璧な無菌状態では息苦しくて窒息してしまう。
イケメンの副知事は続けた。
「治安の悪化がいわれていますが、東京都も警視庁も今回は本気で取り組むつもりです。新宿・池袋・六本木、三ヶ所の重点地区で、この夏から本格的な掃討作戦にはいります。それには地域の住民のみなさんのご協力が欠かせません。子どもたちが安心して遊べる街、観光客が夜も安全に外出できる街をつくるために、みなさんのお力を貸してください」
確かにいってることはまともだった。
それどころか、やつが言葉を切るたびに、古い公会堂の観客席から拍手がまき起こったりする。
リッカがヒソヒソと小声でいった。
「あの人、口では簡単にいってるけど、それがどれだけ大変なことかわかってるのかしら。」
「さぁ…いっちゃ悪いが無知なボンボン知事の得点稼ぎ宣言じゃないか?」
おれは肩をすくめ、あきれて壇上の男を眺めていた。