ー特別編ースカウトマン・セレナーデ
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タイチは驚きの目で俺をみあげた。
「でも、向こうはたくさんいるし、ヤクザの尻もちもついてるし」
俺はまたじれったくなってきた。
「タイチ。」
「は、はい!」
「この前の百万またおろしてこいよ。リバティラインの奴等に、世の中もっと恐ろしいものがあるって見せてやろう。」
タイチはおろおろと女のあいだで視線を動かした。
黙って目を閉じていたしのぶが、目を開けた。
昔のアニメだけでなく、ギラギラと炎が燃える目が実際にあるのだ。
「ほんとうにできるの、悠さん。リバティラインを潰せるなら、わたしどうなってもいいよ。」
「やっぱりアンタはいい女だな。」
いい子だといって頭をなでてやりたかった。
タイチは困り顔でいった。
「お金はいいけど、いったいどうやるの」
俺は前髪を全部かきあげて、真っ白な病室で携帯を抜いた。
「見てろ。池袋には学生サークルあがりの遊び人より、ずっとクールなやつがいるんだ。大浦の首から下がった鐘を、今夜ガタガタに揺らしてやろう」
携帯の番号からSウルフの王さまを選んで、通話ボタンを押そうとした。
静かだったカーテンの向こうから、おばちゃんの声がかかる。
「病院内は携帯禁止だよ。」
「あ、すいません。」
俺は携帯をポケットにもどし、病室を出た。
病院の駐車場にでてから崇を呼び出す。
アニメ声の取り次ぎがでた。
『はい、もしもし?』
「その声は六花か、タカシに変わってくれ。」
今は残念ながらリッカの声に酔いしれてはいれない。すぐに王様に変わった。
高貴な声は南極からはなしているようにクールだ。
『なんだ。』
「今日一日、Sウルフの精鋭を貸してくれないか。」
やつの声はさらに冷たくなった。楽しんでいるのだ。
『悠、今度はなにをするんだ?』
「事務所をひとつ空っぽにする。なかにいるやつらは、適当にやってくれてかまわない。」
タカシは低く冷たく笑った。たぶん適当にという副詞が好きなのだろう。
『そいつは楽しそうだな。警察はどうなる?』
「やつらは真っ黒だ。警察には頼れない。」
王様は当たり前の調子でいった。
『こいつは仕事の依頼だな。金はあるのか?』
タイチと梓が遅れて、病院のエントランスをでてきた。おれはスカウトマンの顔を見ながらいった。
「ああ、キャッシュで百万。人数は、そっちに任せる。」
タカシは上機嫌でいった。
『了解。いいにおいの仕事じゃないか。昔から東京地検みたいなガサ入れを、Sウルフでやってみたかったんだ。段ボールいるよな。』
おれはタイチに向かって指を弾いてやった。
やつは不思議そうに見つめ返してくる。
俺はガキの王様にいった。
「そうだな。引っ越しができるくらいのトラックと段ボール箱を五十も用意してもらおうかな。」
なにをいってるかわからないという顔をしたタイチの肩を抱いて、東長崎駅のまえにある都市銀行に向かって歩き出した。
タカシとは打ち合わせの約束をして、通話を切る。
なあ、人の金でドンパチやるのって楽しいよな。
俺は一目みたときから、大浦のキザな黒シャツも、銀の鐘も大嫌いだった。
そいつはあのビデオを見たときには、混ざりけのない憎しみに変わっている。
今夜はやつが狩られる番だ。
眠れぬ夜に思い出すほどのトラウマをプレゼントしてやる。
「でも、向こうはたくさんいるし、ヤクザの尻もちもついてるし」
俺はまたじれったくなってきた。
「タイチ。」
「は、はい!」
「この前の百万またおろしてこいよ。リバティラインの奴等に、世の中もっと恐ろしいものがあるって見せてやろう。」
タイチはおろおろと女のあいだで視線を動かした。
黙って目を閉じていたしのぶが、目を開けた。
昔のアニメだけでなく、ギラギラと炎が燃える目が実際にあるのだ。
「ほんとうにできるの、悠さん。リバティラインを潰せるなら、わたしどうなってもいいよ。」
「やっぱりアンタはいい女だな。」
いい子だといって頭をなでてやりたかった。
タイチは困り顔でいった。
「お金はいいけど、いったいどうやるの」
俺は前髪を全部かきあげて、真っ白な病室で携帯を抜いた。
「見てろ。池袋には学生サークルあがりの遊び人より、ずっとクールなやつがいるんだ。大浦の首から下がった鐘を、今夜ガタガタに揺らしてやろう」
携帯の番号からSウルフの王さまを選んで、通話ボタンを押そうとした。
静かだったカーテンの向こうから、おばちゃんの声がかかる。
「病院内は携帯禁止だよ。」
「あ、すいません。」
俺は携帯をポケットにもどし、病室を出た。
病院の駐車場にでてから崇を呼び出す。
アニメ声の取り次ぎがでた。
『はい、もしもし?』
「その声は六花か、タカシに変わってくれ。」
今は残念ながらリッカの声に酔いしれてはいれない。すぐに王様に変わった。
高貴な声は南極からはなしているようにクールだ。
『なんだ。』
「今日一日、Sウルフの精鋭を貸してくれないか。」
やつの声はさらに冷たくなった。楽しんでいるのだ。
『悠、今度はなにをするんだ?』
「事務所をひとつ空っぽにする。なかにいるやつらは、適当にやってくれてかまわない。」
タカシは低く冷たく笑った。たぶん適当にという副詞が好きなのだろう。
『そいつは楽しそうだな。警察はどうなる?』
「やつらは真っ黒だ。警察には頼れない。」
王様は当たり前の調子でいった。
『こいつは仕事の依頼だな。金はあるのか?』
タイチと梓が遅れて、病院のエントランスをでてきた。おれはスカウトマンの顔を見ながらいった。
「ああ、キャッシュで百万。人数は、そっちに任せる。」
タカシは上機嫌でいった。
『了解。いいにおいの仕事じゃないか。昔から東京地検みたいなガサ入れを、Sウルフでやってみたかったんだ。段ボールいるよな。』
おれはタイチに向かって指を弾いてやった。
やつは不思議そうに見つめ返してくる。
俺はガキの王様にいった。
「そうだな。引っ越しができるくらいのトラックと段ボール箱を五十も用意してもらおうかな。」
なにをいってるかわからないという顔をしたタイチの肩を抱いて、東長崎駅のまえにある都市銀行に向かって歩き出した。
タカシとは打ち合わせの約束をして、通話を切る。
なあ、人の金でドンパチやるのって楽しいよな。
俺は一目みたときから、大浦のキザな黒シャツも、銀の鐘も大嫌いだった。
そいつはあのビデオを見たときには、混ざりけのない憎しみに変わっている。
今夜はやつが狩られる番だ。
眠れぬ夜に思い出すほどのトラウマをプレゼントしてやる。