ー特別編ースカウトマン・セレナーデ
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「どこにいるんだ?」
『池袋のクラブ。といってもタカシみたいなガキのいくクラブじゃなくて、美人がたぁっくさんいる方のクラブだけどな。うへへぇ~』
美人という言葉に反応して、誰かがいやーん、わたしのこと話していると叫んでいた。
やってらんねぇ…
とっとと用件だけすませて、早く切ろう。
「なぁ、拳二、お前、紀流会って知ってるか?」
拳二は陽気な笑い声をあげた。
『お前って、本当にタイミングいいよな。紀流会の担当ならここでいっしょに飲んでるさ』
「一ノ瀬組とは、どういう関係なんだ?」
拳二は鼻で笑っていった。
『うちは関東賛和会の二次団体で、紀流会は三次団体だ。うちとは直系だから、親会社と子会社みたいなものかな。だから、こうして接待されてる。』
おれ以外のやつはみんな大人になっていくようだった。
おれはその手の高級クラブに、はいったこともない。
「わかった。じゃぁ、紀流会の宇佐美って、どんなやつかわかるか?」
『ちょっと待て。』
送話口を押さえて、拳二が電話の向こうでなにか話していた。しばらくすると、やつは戻ってきた。
『お前、いつから組関係にそんなに詳しくなったんだ。もう、高校なんかやめてうちに就職しろ。悠なら、絶対いい線いくぞ。』
拳二の下で便所掃除から始めるつもりなど毛先もなかった。
「やめとく。それより宇佐美は?」
『ああ、四十すぎの万年若衆だそうだ。あまり頭はきれないし、腕もたたない。紀流会の窓際だといってる。どうした悠、またなにか揉め事か?』
さすがに拳二は勘がよかった。俺の知る馬鹿の中の出世頭なのだ。
「そうだな、風俗の口入事務所とトラブって、そこの尻もちが紀流会の宇佐美だそうだ。ついさっき、俺をどこかに埋めてやるって脅されたよ。」
拳二は腹から楽しそうに笑った。
『悠を埋めるのか。でも、お前一度埋められた方がいいかもしれないな。』
「どうして?」
『ちょっとは減らず口が少なくなるかも知れない。』
俺はやつに負けないように笑っていった。
「拳二もな。」
『なぜだ?』
「タバコ臭いのが少しは消臭されるかもしれない。」
拳二はひとしきり笑い声をあげてから、冷たい声でいった。
『もし、宇佐美と揉めるようなら、俺の名をだせ。それでやつの動きはとめられる。……全部片付いたら、そうだな…俺を接待でもしてくれ。お前なら安い居酒屋かどこかでいい。また昔の話でもしような』
礼をいう前に通話はいきなり切れた。
「……(サンキュ、ブラザー。)」
貢いでくれる女が十八人もいなくても、こういうダチがひとり居てくれるだけで、俺は結構満足だった。
おれの場合、幸福の基準が低いのだ。
「さて…」
拳二からきいた宇佐美の話をして、タイチを送りに出た。やつらが張ってるかもしれないと気になったからだ。
「邪魔したな。梓、またな。」
「ありがとうございました。」
「いいさ。悠のダチは俺のダチだしな。気をつけてな。」
ほらな?
ダチが居るだけで満足出来るんだよ。
『池袋のクラブ。といってもタカシみたいなガキのいくクラブじゃなくて、美人がたぁっくさんいる方のクラブだけどな。うへへぇ~』
美人という言葉に反応して、誰かがいやーん、わたしのこと話していると叫んでいた。
やってらんねぇ…
とっとと用件だけすませて、早く切ろう。
「なぁ、拳二、お前、紀流会って知ってるか?」
拳二は陽気な笑い声をあげた。
『お前って、本当にタイミングいいよな。紀流会の担当ならここでいっしょに飲んでるさ』
「一ノ瀬組とは、どういう関係なんだ?」
拳二は鼻で笑っていった。
『うちは関東賛和会の二次団体で、紀流会は三次団体だ。うちとは直系だから、親会社と子会社みたいなものかな。だから、こうして接待されてる。』
おれ以外のやつはみんな大人になっていくようだった。
おれはその手の高級クラブに、はいったこともない。
「わかった。じゃぁ、紀流会の宇佐美って、どんなやつかわかるか?」
『ちょっと待て。』
送話口を押さえて、拳二が電話の向こうでなにか話していた。しばらくすると、やつは戻ってきた。
『お前、いつから組関係にそんなに詳しくなったんだ。もう、高校なんかやめてうちに就職しろ。悠なら、絶対いい線いくぞ。』
拳二の下で便所掃除から始めるつもりなど毛先もなかった。
「やめとく。それより宇佐美は?」
『ああ、四十すぎの万年若衆だそうだ。あまり頭はきれないし、腕もたたない。紀流会の窓際だといってる。どうした悠、またなにか揉め事か?』
さすがに拳二は勘がよかった。俺の知る馬鹿の中の出世頭なのだ。
「そうだな、風俗の口入事務所とトラブって、そこの尻もちが紀流会の宇佐美だそうだ。ついさっき、俺をどこかに埋めてやるって脅されたよ。」
拳二は腹から楽しそうに笑った。
『悠を埋めるのか。でも、お前一度埋められた方がいいかもしれないな。』
「どうして?」
『ちょっとは減らず口が少なくなるかも知れない。』
俺はやつに負けないように笑っていった。
「拳二もな。」
『なぜだ?』
「タバコ臭いのが少しは消臭されるかもしれない。」
拳二はひとしきり笑い声をあげてから、冷たい声でいった。
『もし、宇佐美と揉めるようなら、俺の名をだせ。それでやつの動きはとめられる。……全部片付いたら、そうだな…俺を接待でもしてくれ。お前なら安い居酒屋かどこかでいい。また昔の話でもしような』
礼をいう前に通話はいきなり切れた。
「……(サンキュ、ブラザー。)」
貢いでくれる女が十八人もいなくても、こういうダチがひとり居てくれるだけで、俺は結構満足だった。
おれの場合、幸福の基準が低いのだ。
「さて…」
拳二からきいた宇佐美の話をして、タイチを送りに出た。やつらが張ってるかもしれないと気になったからだ。
「邪魔したな。梓、またな。」
「ありがとうございました。」
「いいさ。悠のダチは俺のダチだしな。気をつけてな。」
ほらな?
ダチが居るだけで満足出来るんだよ。