ー特別編ースカウトマン・セレナーデ
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モーツァルトには珍しく悲壮感いっぱいの序曲をききながら、俺は考えた。
タイチは女と一緒にいて幸せを感じる事があるのだろうか。
仕事も趣味もすべてが女がらみなのだ。
十八人の風俗嬢のあがりで食ってるくせに、まだ寝てもいない女が窮地に立つと、ポンと百万も投げ出したりする。
俺の知り合いの誰にも似ていないキャラクターだった。
俺は石像の呪いを思った。ドンジョヴァンニを冷たく包む地獄の炎。
タイチがいつか地獄に堕ちるとしたら、きっと理由は女なのだろう。
だが、やつを地獄に叩き込みたいと願う女は、最後にはきっと自分もいっしょに堕ちるのを選ぶだろう。
タイチみたいな男にとっては、地獄だって勲章みたいなものだ。
おれが地獄に堕ちる理由を考えた。
ギャングかヤクザのもめ事だろうか。ケンカの末の無惨な結末だろうか。
崇や拳二、あるいは柏の疲れた顔が浮かんでくる。
あんな男たちと地獄で丸焼きにされるのかと思うと、気分がひどくダウンする。
グラスの中身を一気に飲み干すと帰る事にした。
崇が指を弾くとそれだけで本郷が車を用意しに出ていった。
家に帰ると、俺は月を見ながらふて寝した。
俺たちの心がどれほどでこぼこでも、月は笑いながら真円を描き、夜空をかけていく。
……どうやら今日の俺は飲みすぎだな。
…………
翌日…
「悠…悠…」
朝から身体を揺らされる。
「んんっ…なんだ…まお…今日は休みだろ…もう少し寝かせてくれ。」
「また、お友達が来てるぞ…なの。」
「なにっ?!」
俺は飛び起きて服も着替えずに一階にかけ降りた。
………
ー広間ー
「お、悠。おはよう。」
「って…梓かよ。」
タイチが来たのかと思っていたら、梓がソファーにかけて珈琲を飲んでいた。
「「かよ」ってのは酷いな。友達がわざわざ遊びに来たのに。」
「あー、悪い悪い。遊ぶのは、いいけど出掛けるぞ。」
「何処に?」
「池袋。」
俺はタイチの事が気になっていて。結局、梓を連れて東口の五差路に顔を出した。
だが、いくらガードレールで粘っても、天才スカウトマンの顔は見当たらない。
しかたないので、ビックカメラでブラブラして帰った。
角の喫茶店で話を聞くと、しのぶも休んでるという。どこかにふたりでしけこんでいるのだろうか。
俺は諦めて、梓とゲーセン巡りをして、久々にゆったりした休日らしい休日になった。
学生となんでも屋と喧嘩屋。実は一番自分らしいのは、学生をしてるときだと思ってる。
退屈で退屈で、何かが起きるのを全身のバネにためて待っている。
俺は飢えたオオカミみたいな学生なんだ。
……ただ、トラブルはその夜、帰っていると、むこうからやって来た。
タイチは女と一緒にいて幸せを感じる事があるのだろうか。
仕事も趣味もすべてが女がらみなのだ。
十八人の風俗嬢のあがりで食ってるくせに、まだ寝てもいない女が窮地に立つと、ポンと百万も投げ出したりする。
俺の知り合いの誰にも似ていないキャラクターだった。
俺は石像の呪いを思った。ドンジョヴァンニを冷たく包む地獄の炎。
タイチがいつか地獄に堕ちるとしたら、きっと理由は女なのだろう。
だが、やつを地獄に叩き込みたいと願う女は、最後にはきっと自分もいっしょに堕ちるのを選ぶだろう。
タイチみたいな男にとっては、地獄だって勲章みたいなものだ。
おれが地獄に堕ちる理由を考えた。
ギャングかヤクザのもめ事だろうか。ケンカの末の無惨な結末だろうか。
崇や拳二、あるいは柏の疲れた顔が浮かんでくる。
あんな男たちと地獄で丸焼きにされるのかと思うと、気分がひどくダウンする。
グラスの中身を一気に飲み干すと帰る事にした。
崇が指を弾くとそれだけで本郷が車を用意しに出ていった。
家に帰ると、俺は月を見ながらふて寝した。
俺たちの心がどれほどでこぼこでも、月は笑いながら真円を描き、夜空をかけていく。
……どうやら今日の俺は飲みすぎだな。
…………
翌日…
「悠…悠…」
朝から身体を揺らされる。
「んんっ…なんだ…まお…今日は休みだろ…もう少し寝かせてくれ。」
「また、お友達が来てるぞ…なの。」
「なにっ?!」
俺は飛び起きて服も着替えずに一階にかけ降りた。
………
ー広間ー
「お、悠。おはよう。」
「って…梓かよ。」
タイチが来たのかと思っていたら、梓がソファーにかけて珈琲を飲んでいた。
「「かよ」ってのは酷いな。友達がわざわざ遊びに来たのに。」
「あー、悪い悪い。遊ぶのは、いいけど出掛けるぞ。」
「何処に?」
「池袋。」
俺はタイチの事が気になっていて。結局、梓を連れて東口の五差路に顔を出した。
だが、いくらガードレールで粘っても、天才スカウトマンの顔は見当たらない。
しかたないので、ビックカメラでブラブラして帰った。
角の喫茶店で話を聞くと、しのぶも休んでるという。どこかにふたりでしけこんでいるのだろうか。
俺は諦めて、梓とゲーセン巡りをして、久々にゆったりした休日らしい休日になった。
学生となんでも屋と喧嘩屋。実は一番自分らしいのは、学生をしてるときだと思ってる。
退屈で退屈で、何かが起きるのを全身のバネにためて待っている。
俺は飢えたオオカミみたいな学生なんだ。
……ただ、トラブルはその夜、帰っていると、むこうからやって来た。