ー特別編ースカウトマン・セレナーデ
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その夜八時すぎに俺たちは常磐通りの巣鴨信金まえで柏と待ち合わせした。
刑事は相変わらず純銀製の逆十字のピアスを着けていて、高そうなウインドブレーカーに、高そうなスラックス。ゴツい革靴だった。
身なりが高そうでも俺は柏のほんとうの値打ちは知っている。
「夏休み以来に会っても柏は変わらないな。ヤクザみたいだ。あ、コイツがさっき話したスカウトマンのタイチな。」
タイチは俺の背に隠れるようにして、頭を下げた。
「はっ、悠、テメェこそつまらないトラブルにばっか頭つっこみやがって。兜馬さんが泣いてるぞ。お前には女もいないし、孫の顔どころか将来も見えないってな。」
柏に有効ポイント1。
さすがに俺の弱点を知っている。
俺はなにか嫌味でポイントを奪い返そうかと思ったが止めておいた。
無理な頼みをしたのはこっちだ。
今夜は気分良く帰らしてやろう。
「OK、OK。親父のことはやめてくれ。」
「ふん。バカに素直だな。まぁいい。行くぞ。」
俺たちは酔っぱらいと客引きでにぎわう常磐通りを右に曲がった。
十メートルほど先にピンクのリボルバーから得体の知れない液体を飛ばしている「射ガール」の路上看板が光っていた。
看板の向こうにはハッピを着た若い男と、革のハーフコートを着たしのぶが立っている。
「アレで間違いないな?」
柏がタイチを見ずに聞くと返事をした。
「はい。」
「OK。」
おれたちが歩いていくと、男が深々と頭を下げた。
「店長の丸山です。刑事さん、以後お見知りおきを。」
店の名がはいった名刺をさしだした。
柏は受けとると、裏返してみせる。一万円札が小さくたたまれて、テープで張り付けてあった。
「次は、目撃者の居ないところでしろよ。」
柏は万札をはがすと、店長のシャツの胸ポケットにいれてやった。しのぶを見て言う。
「辛かっただろ。どうする、なんなら正式にこの店を訴えるか?アンタがその気なら、こんな店すぐに叩き潰してやるぞ?」
誰か悪いやつの背が目の前で十センチも縮んでいくのを見るのは、いい気分だった。
「柏はこれでもマジの刑事だぞ。どうする?」
しのぶはいやいやをするように首を横にふった。
「そうか。じゃあ、店長さん、この子は今から自由だな。この子の家族やこの子自信に何かあったら、アンタの店を徹底的に締め上げるからな…よっく胆に命じとけよ?」
店長はギコチナイ笑顔で小さく返事をした。
「…なんだ?不服か?なんなら、今夜ちょいと中を見せてもらおうか。未成年のガキなんか働かせてはねぇよなぁ?」
柏はさすがに役者だった。地下におりる妙に明るい階段をのぞきこんでみせる。
「そ、そんなことありませんよ。」
店長は必死に身体を張って、刑事の姿勢をブロックした。
…その後、柏は池袋署に戻るといって別れて、俺たちは西口公園のベンチに座って休憩した。
刑事は相変わらず純銀製の逆十字のピアスを着けていて、高そうなウインドブレーカーに、高そうなスラックス。ゴツい革靴だった。
身なりが高そうでも俺は柏のほんとうの値打ちは知っている。
「夏休み以来に会っても柏は変わらないな。ヤクザみたいだ。あ、コイツがさっき話したスカウトマンのタイチな。」
タイチは俺の背に隠れるようにして、頭を下げた。
「はっ、悠、テメェこそつまらないトラブルにばっか頭つっこみやがって。兜馬さんが泣いてるぞ。お前には女もいないし、孫の顔どころか将来も見えないってな。」
柏に有効ポイント1。
さすがに俺の弱点を知っている。
俺はなにか嫌味でポイントを奪い返そうかと思ったが止めておいた。
無理な頼みをしたのはこっちだ。
今夜は気分良く帰らしてやろう。
「OK、OK。親父のことはやめてくれ。」
「ふん。バカに素直だな。まぁいい。行くぞ。」
俺たちは酔っぱらいと客引きでにぎわう常磐通りを右に曲がった。
十メートルほど先にピンクのリボルバーから得体の知れない液体を飛ばしている「射ガール」の路上看板が光っていた。
看板の向こうにはハッピを着た若い男と、革のハーフコートを着たしのぶが立っている。
「アレで間違いないな?」
柏がタイチを見ずに聞くと返事をした。
「はい。」
「OK。」
おれたちが歩いていくと、男が深々と頭を下げた。
「店長の丸山です。刑事さん、以後お見知りおきを。」
店の名がはいった名刺をさしだした。
柏は受けとると、裏返してみせる。一万円札が小さくたたまれて、テープで張り付けてあった。
「次は、目撃者の居ないところでしろよ。」
柏は万札をはがすと、店長のシャツの胸ポケットにいれてやった。しのぶを見て言う。
「辛かっただろ。どうする、なんなら正式にこの店を訴えるか?アンタがその気なら、こんな店すぐに叩き潰してやるぞ?」
誰か悪いやつの背が目の前で十センチも縮んでいくのを見るのは、いい気分だった。
「柏はこれでもマジの刑事だぞ。どうする?」
しのぶはいやいやをするように首を横にふった。
「そうか。じゃあ、店長さん、この子は今から自由だな。この子の家族やこの子自信に何かあったら、アンタの店を徹底的に締め上げるからな…よっく胆に命じとけよ?」
店長はギコチナイ笑顔で小さく返事をした。
「…なんだ?不服か?なんなら、今夜ちょいと中を見せてもらおうか。未成年のガキなんか働かせてはねぇよなぁ?」
柏はさすがに役者だった。地下におりる妙に明るい階段をのぞきこんでみせる。
「そ、そんなことありませんよ。」
店長は必死に身体を張って、刑事の姿勢をブロックした。
…その後、柏は池袋署に戻るといって別れて、俺たちは西口公園のベンチに座って休憩した。