ー特別編ースカウトマン・セレナーデ
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「考える時間を与えないのが、やつらには大事なんだ。ぼくが店を紹介するときは、相手が納得しなければ絶対にいっしょにはいかない。しのぶは閉店時間まで休みなく、男をつけられて、リバティラインの車で自宅のまえまで送っていかれた。車からおりるときにいわれたんだ。」
落としていた目をあげて、タイチはまっすぐ俺を見つめた。
「お前は今夜、八人の客をくわえこんだ。写真もあるし、実家の住所も電話番もわかってる。明日から店にこないなら、店の制服を着た写真を池袋中にばらまいて、この家に火をつけてやる」
俺は声を殺していった。
「そいつがその事務所のいつものやりかたなのか?」
タイチはうなずいた。
もぞもぞと身体をひねって、尻のポケットから何かを出した。
投げ出すようにテーブルにおいた。
一万円札の束が二枚組のCDケースくらいの高さに積みあがっている。
「今夜もしのぶは、店に出ているんだ。小鳥遊さんは名前の売れたトラブルシューターなんでしょう。これでなんとかあの子を助けてあげてほしい。足りなければ、またおろしてくるから。」
金を見てから、タイチの目を見た。どうやら本気らしい。
俺は言った。
「その風俗店の名前は?」
「池袋一丁目の『射ガール』」
「しのぶは未成年じゃないよな?」
「今、二十歳」
俺はテーブルのうえの金を突き返した。
「そういう事情なら、今のところ金はかからないと思う。ちょっと待ってくれ。」
俺は携帯を抜いて、か行の登録番号を選択した。
久しぶりだが、アイツにかけた。
『……なんだ、コラ?』
これ以上無いくらい不機嫌な声がかえってくる。
「ああ、柏?俺、悠。」
『っち、テメェか切るぞ。今夜は忙しい』
まだ、昼過ぎだろ。
この悪徳刑事め…
「不倫デートとか。女子中学生に援交とか。悪いことやってんじゃねぇのか、刑事さん?」
柏は小さく笑った。
『お前はいつかブチ込んでやる。夏休みあけで落ち着いてた街のガキがもどりだしてる。今夜からパトロールが強化されんだよ。テメェも気をつけろ。』
そこで俺は声の調子を変えて、しのぶの用件を話した。
さすがに伊達で刑事をやってる訳じゃなかった。柏は飲み込みがいい。
『…その女は、被害届出す気はねぇんだよな?』
俺はタイチを見てうなずいた。
「ああ、家族には知られたくないらしい。」
『ちっ…届けさえだしゃあ、女を解放して、店の男も引っ張れんのにな…。まぁいい。電話してやるから、テメェめ顔貸せ。』
柏と簡単な打ち合わせをして、電話を切った。
心配そうなスカウトマンにいう。
「終わったぜ。あとでしのぶを拾いにいこう。」
「電話一本で?!」
そうだといった。
日本の警察だって、融通がきくことがあるのだ。
風俗店はしのぶをすぐに自由にするだろう。
生活安全科ににらまれたら、池袋で店を経営するのは絶望的に困難になる。
役人はみんな裏でつながってるから、警察だけでなく消防や衛生や税務からラストスペルのような波状攻撃をくらうことになる。
売上ナンバーワンの姫でも、風俗店はさっさと差し出すだろう。
ま、簡単に言えばだ。下々の者は、おかみには逆らえ無いってことだ。
落としていた目をあげて、タイチはまっすぐ俺を見つめた。
「お前は今夜、八人の客をくわえこんだ。写真もあるし、実家の住所も電話番もわかってる。明日から店にこないなら、店の制服を着た写真を池袋中にばらまいて、この家に火をつけてやる」
俺は声を殺していった。
「そいつがその事務所のいつものやりかたなのか?」
タイチはうなずいた。
もぞもぞと身体をひねって、尻のポケットから何かを出した。
投げ出すようにテーブルにおいた。
一万円札の束が二枚組のCDケースくらいの高さに積みあがっている。
「今夜もしのぶは、店に出ているんだ。小鳥遊さんは名前の売れたトラブルシューターなんでしょう。これでなんとかあの子を助けてあげてほしい。足りなければ、またおろしてくるから。」
金を見てから、タイチの目を見た。どうやら本気らしい。
俺は言った。
「その風俗店の名前は?」
「池袋一丁目の『射ガール』」
「しのぶは未成年じゃないよな?」
「今、二十歳」
俺はテーブルのうえの金を突き返した。
「そういう事情なら、今のところ金はかからないと思う。ちょっと待ってくれ。」
俺は携帯を抜いて、か行の登録番号を選択した。
久しぶりだが、アイツにかけた。
『……なんだ、コラ?』
これ以上無いくらい不機嫌な声がかえってくる。
「ああ、柏?俺、悠。」
『っち、テメェか切るぞ。今夜は忙しい』
まだ、昼過ぎだろ。
この悪徳刑事め…
「不倫デートとか。女子中学生に援交とか。悪いことやってんじゃねぇのか、刑事さん?」
柏は小さく笑った。
『お前はいつかブチ込んでやる。夏休みあけで落ち着いてた街のガキがもどりだしてる。今夜からパトロールが強化されんだよ。テメェも気をつけろ。』
そこで俺は声の調子を変えて、しのぶの用件を話した。
さすがに伊達で刑事をやってる訳じゃなかった。柏は飲み込みがいい。
『…その女は、被害届出す気はねぇんだよな?』
俺はタイチを見てうなずいた。
「ああ、家族には知られたくないらしい。」
『ちっ…届けさえだしゃあ、女を解放して、店の男も引っ張れんのにな…。まぁいい。電話してやるから、テメェめ顔貸せ。』
柏と簡単な打ち合わせをして、電話を切った。
心配そうなスカウトマンにいう。
「終わったぜ。あとでしのぶを拾いにいこう。」
「電話一本で?!」
そうだといった。
日本の警察だって、融通がきくことがあるのだ。
風俗店はしのぶをすぐに自由にするだろう。
生活安全科ににらまれたら、池袋で店を経営するのは絶望的に困難になる。
役人はみんな裏でつながってるから、警察だけでなく消防や衛生や税務からラストスペルのような波状攻撃をくらうことになる。
売上ナンバーワンの姫でも、風俗店はさっさと差し出すだろう。
ま、簡単に言えばだ。下々の者は、おかみには逆らえ無いってことだ。