「スカウトマンも楽じゃないんだな。」

タイチは引き込まれるような笑顔で、明るくうなずいた。

「でも、仕事だから。ぼくは好きで得意なことを仕事にしてるから、きついけど楽しいよ。」

自分の仕事に文句ばっかりいってるフリーターのやつらに、爪のあかでも煎じてのませたかった。

日本中で働いているやつが、みんなこのスカウトマンのようなら、不景気なんて三ヶ月で片がつく。

「な、暇な時でいいから、また話聞かせてくれるか？」

「もちろんいいよ。」

「ありがとう。じゃまたな。」

平和主義笑顔に見送られて俺はガードレールをたった。

いい話を聞いた日時は決まって気分がいい。
きっと今日は寝つきがいいはずだ。


…………


次の日…

ｰ学校ｰ

休み時間、俺は手帳を開いて昨日メモったことを見ていた。

ちょうど良かったので、後ろに振り向いて、親友の中山ともきにいった。

「なぁ、ともき」

「なんだ？」

「お前ってさ、つかさと2人の時はどんな感じなんだ？」

ともきは少し首をかしげて俺の方に振り向いた。
珍しいものでも見る顔でいった。

「また、藪から棒だな…急にどうした」

「ちょっとした興味本位っか……出会いの勉強かな。」

俺がそう言うと、ともきは大笑いした。

「え、え？悠が出会いの勉強？あははは。」

「…もぅいい。」

俺は席を立とうとしたら、ともきが服の裾を掴んで、座らせた。

「怒るなよ。少し驚いただけだろ。」

「顔がまだ笑ってるが？」

「悪い、悪い。で、なんだっけ、つかさと2人の時だよな。」

「あぁ。」

「そうだな……。これといって何もないな。普通に話したりしてる。なんか自分でいうとアレだな。はは」

ともきは少し照れた様に鼻のあたまをかいて答えた。

しかし、なんて事だ。
タイチが言ったことと同じ事をともきは言ったのだ。

「あ、あのさ…ともき。」

俺はともきの右肩を掴んで引き寄せて耳打ちする。

「な、なんだよ。ちょ、悠近い…っか肩痛い…」

「怒らずに聞いてくれ…ぶっちゃけ、下心なしで話してるのか？あわよくばやれるとか無しで…」

ともきは何を聞いてくる。
この男は的な目で俺を見ながらいった。

「そんな事考えるわけないだろ。」

「え…マジで？一切エロス無し？」

俺は声をしぼらずに聞いていた。

「無い。っか声がデカイ。」

「ガーン…」

気がついてしまった。
きっと俺は考えが汚れてるんだ。
だから、モテない。←結論
「マジかぁ…」

俺は真っ白に燃え尽きたジョーよろしくのごとく、椅子の上で盛大なため息を吐いた。

「お、おい。悠、大丈夫か？」

「ヤベェ…今のはショックだ。ちょっと顔洗ってくる。」

俺はヨロヨロと立ち上がって教室をでて、トイレに向かった。