ー特別編ースカウトマン・セレナーデ
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「なんか、普通に働いてらんないよな。二十一で年収二千万か…。ま、俺はまだ学生だけど。」
やつはきゃしゃな肩をすくめてみせた。
「小鳥遊さんだって、明日から通りに立てばそのくらいすぐに稼げるよ。」
俺が絶対無理といおうとしたら、店のそとから声がとんだ。
「あー!いたいた。ねータイチくん、きいてよー」
開いたサッシのむこうに極楽鳥みたいな女が立っていた。ピンクのラメいりトレーニングスーツに、縦ロールの茶髪、一週間の旅行くらい十分な大きさのヴィトンのバッグ。
女はちょっと待ってというと入り口の方にまわった。
極楽鳥はカフェに入ってくると、まっすぐに俺たちのテーブルに向かってきた。
途中においてある椅子を蹴り飛ばす勢いだ。
俺のほうをちらりと見て、挨拶もなしで同じテーブルに座る。
タイチは困った顔で笑っている。
「小鳥遊さん、すぐにすむから、話はまたあとでいい?」
「商売の邪魔はできないだろ。」
女は無言のまま正面をにらんでいる。
おれが席を立とうとすると、さっきのウエイトレスがやってきて、荒っぽくグラスを置いた。
どこかの風俗嬢がいった。
「すぐいくから、なにもいらない」
ウエイトレスはキツイ目で女を睨んでグラスを下げた。強烈な嫉妬の視線。
ストリートギャングの王様やヤクザに睨まれても平気な俺だが、さすがにその時は背筋に冷たいものが走った。女の目ってこわいよな。
現代の東京には見えないだけでパルスィがいるのかも知れない。
席を立ってから、先を歩くウエイトレスの背中にいってみる。
「タイチって、いつもここにくるのか?」
フリルの裾を翻して、しのぶは振り返った。
「うん。毎日二、三度はきてくれる。うちを事務所代わりにつかってるみたい」
タイチといっしょに座ってるだけで、すぐに友達みたいな口を聞いてくれる。
「スカウトマンの神通力は偉大だな…」
俺は前髪の片方だけをあげて極楽鳥と話してるタイチをちらりと見た。
「あ、そうだ。カフェオレ代精算してくれる?」
振り返ってしのぶを見るとなぜかボーっとしている。
「どうかした?」
俺は髪をおろして、しのぶの前で手を振った。
「え?あ、は、はい。ちょっと待ってください。」
カフェオレ代を支払って俺は五差路の角にもどり、ガードレールに腰かけた。
ケヤキの葉のあいだから、日差しが砂粒のようにこぼれていた。
俺はポケットからiPodを取り出してイヤホンを耳につける。
今日のBGMは稲田姫様にしかられるから…
ゆったりとしたBGMに身をゆだねながら缶コーヒーを開けた。
秋は外で座るにはいい季節だ。
やつはきゃしゃな肩をすくめてみせた。
「小鳥遊さんだって、明日から通りに立てばそのくらいすぐに稼げるよ。」
俺が絶対無理といおうとしたら、店のそとから声がとんだ。
「あー!いたいた。ねータイチくん、きいてよー」
開いたサッシのむこうに極楽鳥みたいな女が立っていた。ピンクのラメいりトレーニングスーツに、縦ロールの茶髪、一週間の旅行くらい十分な大きさのヴィトンのバッグ。
女はちょっと待ってというと入り口の方にまわった。
極楽鳥はカフェに入ってくると、まっすぐに俺たちのテーブルに向かってきた。
途中においてある椅子を蹴り飛ばす勢いだ。
俺のほうをちらりと見て、挨拶もなしで同じテーブルに座る。
タイチは困った顔で笑っている。
「小鳥遊さん、すぐにすむから、話はまたあとでいい?」
「商売の邪魔はできないだろ。」
女は無言のまま正面をにらんでいる。
おれが席を立とうとすると、さっきのウエイトレスがやってきて、荒っぽくグラスを置いた。
どこかの風俗嬢がいった。
「すぐいくから、なにもいらない」
ウエイトレスはキツイ目で女を睨んでグラスを下げた。強烈な嫉妬の視線。
ストリートギャングの王様やヤクザに睨まれても平気な俺だが、さすがにその時は背筋に冷たいものが走った。女の目ってこわいよな。
現代の東京には見えないだけでパルスィがいるのかも知れない。
席を立ってから、先を歩くウエイトレスの背中にいってみる。
「タイチって、いつもここにくるのか?」
フリルの裾を翻して、しのぶは振り返った。
「うん。毎日二、三度はきてくれる。うちを事務所代わりにつかってるみたい」
タイチといっしょに座ってるだけで、すぐに友達みたいな口を聞いてくれる。
「スカウトマンの神通力は偉大だな…」
俺は前髪の片方だけをあげて極楽鳥と話してるタイチをちらりと見た。
「あ、そうだ。カフェオレ代精算してくれる?」
振り返ってしのぶを見るとなぜかボーっとしている。
「どうかした?」
俺は髪をおろして、しのぶの前で手を振った。
「え?あ、は、はい。ちょっと待ってください。」
カフェオレ代を支払って俺は五差路の角にもどり、ガードレールに腰かけた。
ケヤキの葉のあいだから、日差しが砂粒のようにこぼれていた。
俺はポケットからiPodを取り出してイヤホンを耳につける。
今日のBGMは稲田姫様にしかられるから…
ゆったりとしたBGMに身をゆだねながら缶コーヒーを開けた。
秋は外で座るにはいい季節だ。