ー特別編ースカウトマン・セレナーデ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「二十一…二十一かぁ…」
愕然とした。
俺がストリートギャングの間で、色気の欠片もないもめ事に巻き込まれているあいだに、タイチは女たちに愛される技術をちゃんと磨いていたのだろう。
久々に人生を誤った気分になった。
「小鳥遊さん?」
「あ、いや大丈夫だ。そうだ、スカウトマンってさ、どうやって稼いでるんだ?」
タイチはなぜかカフェのなかでも、つぎつぎと女たちを視線でチェックしていた。ぼんやりとした顔でつまらなそうにいう。
「ぼくは風俗のスカウトが専門だけど、お店に注文どおりの娘をつれていけば、紹介料がもらえるし、女の子の月々の売上からキックバックもはいる。」
「どのくらい戻ってくるんだ。」
あっさりとタイチはいった。
「月の売上の10パーセント」
このガキと知り合ってから驚かされることばかりだった。
「最初に店に紹介するだけで、ずっと女の子の売上の一割がはいるのか。」
涼しい顔でカフェオレをすすって、タイチはいう。
「そう。」
「で、タイチは何人くらい女の子を抱えてるんだ?」
スカウトマンは悪びれずにいった。
「うーん、十八人くらいかな」
俺は他人の収入を聞くのはあまり好きじゃないが、その時だけは別だった。
下品な質問をしてしまう。
「じゃぁ、収入なんかは月にいくらくらいになるんだ?」
「波があるけど、百五十から二百くらい。でもさ、額は問題じゃないんだよ。大切なのは、こうやって毎日通りに立ち続けることなんだ。それで何回女の子に断られても、次の子に声をかけるのを怖がらないことが大事。お金は確かにほしいけど、あんまり問題じゃない。だってスカウトマンの世界では昔から言われているもの」
そっちの世界のことは不案内だった。どうやら俺は完全に人生の選択を間違えている。
「気のきいた格言でもあるのか」
タイチはまた例の無条件降伏的笑顔を見せる。
「そんなんじゃないよ。でも、この世界にはいったとき、先輩にいわれたんだ。」
「なんて?」
「晴れても降っても、いくら女に無視されても、きちんと毎日通りに立ち続けるなら、お前の年がいくつだって、スカウトマンはちゃんとベンツにのれる仕事だ。あきらめないで街に出てろってさ。」
俺にはタイチのいうことがいくらかは理解できた。
暇潰しのネタを探して、毎日汚れた街の通りを彷徨くのが、俺の仕事の半分なのだ。
もう残り半分は学校生活…かな?
俺は手早くメモを取りながらいった。
「ふーん、でタイチはメルセデスにのってるんだ。」
やつは細い首を横に振った。
「乗らないよ。ベンツなんて、似合わないしカッコ悪いもん」
だいたい金を持ってるやつに限ってそんなことをいう。
問題は収入の額じゃないとかな。
だけど、セロファン紙みたいに薄いTシャツを着たタイチがいうと、妙に説得力があるから、困ってしまう。
愕然とした。
俺がストリートギャングの間で、色気の欠片もないもめ事に巻き込まれているあいだに、タイチは女たちに愛される技術をちゃんと磨いていたのだろう。
久々に人生を誤った気分になった。
「小鳥遊さん?」
「あ、いや大丈夫だ。そうだ、スカウトマンってさ、どうやって稼いでるんだ?」
タイチはなぜかカフェのなかでも、つぎつぎと女たちを視線でチェックしていた。ぼんやりとした顔でつまらなそうにいう。
「ぼくは風俗のスカウトが専門だけど、お店に注文どおりの娘をつれていけば、紹介料がもらえるし、女の子の月々の売上からキックバックもはいる。」
「どのくらい戻ってくるんだ。」
あっさりとタイチはいった。
「月の売上の10パーセント」
このガキと知り合ってから驚かされることばかりだった。
「最初に店に紹介するだけで、ずっと女の子の売上の一割がはいるのか。」
涼しい顔でカフェオレをすすって、タイチはいう。
「そう。」
「で、タイチは何人くらい女の子を抱えてるんだ?」
スカウトマンは悪びれずにいった。
「うーん、十八人くらいかな」
俺は他人の収入を聞くのはあまり好きじゃないが、その時だけは別だった。
下品な質問をしてしまう。
「じゃぁ、収入なんかは月にいくらくらいになるんだ?」
「波があるけど、百五十から二百くらい。でもさ、額は問題じゃないんだよ。大切なのは、こうやって毎日通りに立ち続けることなんだ。それで何回女の子に断られても、次の子に声をかけるのを怖がらないことが大事。お金は確かにほしいけど、あんまり問題じゃない。だってスカウトマンの世界では昔から言われているもの」
そっちの世界のことは不案内だった。どうやら俺は完全に人生の選択を間違えている。
「気のきいた格言でもあるのか」
タイチはまた例の無条件降伏的笑顔を見せる。
「そんなんじゃないよ。でも、この世界にはいったとき、先輩にいわれたんだ。」
「なんて?」
「晴れても降っても、いくら女に無視されても、きちんと毎日通りに立ち続けるなら、お前の年がいくつだって、スカウトマンはちゃんとベンツにのれる仕事だ。あきらめないで街に出てろってさ。」
俺にはタイチのいうことがいくらかは理解できた。
暇潰しのネタを探して、毎日汚れた街の通りを彷徨くのが、俺の仕事の半分なのだ。
もう残り半分は学校生活…かな?
俺は手早くメモを取りながらいった。
「ふーん、でタイチはメルセデスにのってるんだ。」
やつは細い首を横に振った。
「乗らないよ。ベンツなんて、似合わないしカッコ悪いもん」
だいたい金を持ってるやつに限ってそんなことをいう。
問題は収入の額じゃないとかな。
だけど、セロファン紙みたいに薄いTシャツを着たタイチがいうと、妙に説得力があるから、困ってしまう。