いきなりだが問題だ。

情報も物も溢れてる時代に、一番足りないものは何だか解るか？

ヒント1・それに関しては、女も男も同じ答えを言う。

ヒント2・誰もがクリスマスを間近に控え、独りぼっちと嘆いている。

ヒント3・そいつはブランドショップにも庶民の味方の100円ショップにも秋葉原にも売ってない。

ラストヒント・日常生活のなかではほとんどお目にかからず、何処にいけば見つかるか誰も知らない。


さぁ、わかったか？
こたえは「出会い」だ。

もちろん、みんな出会いを求めて、けっこう必死に頑張ってる。

おしゃれや流行、イベントやレストラン。

ついでに女受けする格安ラブホまで…

ネットや情報誌でこまむにチェックしてるのに、ぜんぜん肝心なネタをつかう状況にならないのだ。

今や俺達の国では、三十代半ばまでの男の七割近く、女の五割近くは独身だ。

…偉そうに言ってる俺も勿論独り身だが…。

コホン！まぁ、それは置いといて……

このまま進めば社会学者の予測する少子化社会など、おお甘の未来予想になることだろう。

なにせ、 人口の半分近くが生涯独身で、子供をもたずに死んでいくんだからな。

人と人が出会うことが、こんなに困難な時代になったのは何でだろうな。

豊かになれば幸せになれると、信じて日本人は一丸になって頑張ってきた。

その豊かさの先に、独りぼっちで生きて死ぬ方がましだと考えるガキが大量発生する。

正直、俺もそう思う時がある…

おかしな事に、世界はいつも逆立ちしてる。

おっと、前置きが長くなった。

そろそろ本題に入る。

今回俺が受けた仕事は、その出会いのネタだ。

もっとも池袋みたいに汚れた街では……

綺麗な韓流ラブストーリーみたいには決まらない。

なにせ、金になるなら出会いでも純愛でも、フェイクでいくらでも用意する悪質業者がたくさんいるからな。

だが、その出会いの形が一時間四千円で設定されていたとはいえ、そこで起きたことは曇りのないピュアな純愛だった。

ただ、勘違いしないでくれよ？

出会い系にハマったのは俺じゃなくて、おれのクライアント。

サンタクロースみたいな体型をした彼女いない歴二十八年のサラリーマンだ。

今回はそいつが最低の業者から、何故かプリンセスを紹介されるハッピーエンド物語。

……俺もやつを見習って、出会い系を試してみるのもいいかもしれない。

だってさ、出会いなんて、だいたいは最低の場所に転がってるに決まってるからな。

だからよ、最後に言っとくぜ？

出会いを求めてるみんな、立派な場所ばかり探しすぎてないか？




ｰ出会い系クリスマスラプソディーｰ