ー特別編ー黄色のCurrency
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数日…
数少ない地域通貨の成功例だったNPO代表の醜聞は、マスコミ各社でおおきく扱われた。
地に落ちたヒーロー。
持ち上げるときはあれほど立派なことしか書かなかったのに、手のひらを返して正直に罪を告白したオコノギを叩く。
マスコミは読者がよみたがるものしか書かないといえばそれまでだが、それでも俺は納得いかなかった。
正義のマスコミにも、正義の読者にもね。
ああ、あと…フカオ・エンタープライズだけど。
翌週、池袋署と東京国税局の調べがはいった。
フカオにとって恐ろしいのが国税の査察なのは間違いない。
だが、北原とオコノギの襲撃犯が根性のないやつで、あっさりとフカオの教唆を認めたので、そちらの罪もそう軽くなるとは思えなかった。
え?やたら警察の動きが早いって?さぁ…すでに見張られてたんじゃないかな。
余談だけど俺、最近柏と電話して、ついつい深尾のことを話したかもしれない。ま、アフターサービスってやつかな。
…………
それからさらに数日たち、ニュースも落ち着いた。
Sウルフもやっとお役ごめんだ。
そうだ、将也はちょくちょく顔を出してるみたいだ、なんでも紅とよく話しているとか、それと澪はまだメンバーにはなってないそうだ。
崇曰く「アイツは風みたいな奴だ。気が向けば向こうから来るさ…」と追いもしないが手放しもしないのが王様らしい。
俺はまた、いつもの様に街を彷徨いていた。
太陽の軌跡が空高くかけるようになると地表に熱がたまってくるのがわかる。
都会ではアスファルトの照り返しが激しいのだ。
西口公園で休憩していると、見慣れない格好をしたオコノギが声をかけてきた。
「やあ、ブラザー。」
「どうしたんだ、その格好」
俺は黒ずくめの元NPO代表にいった。やつは白いスーツではなく、ナイロンの黒いトレーニングスーツを着ていた。足元はベージュのスリップオンの代わりに、間合いいナイキのショックス。
それはあの記者会見の日、やつのまわりを守っていたSウルフのボディガードと同じ格好だった。
オコノギは照れたようにいった。
「いや、悠くんに街の皆を信じてみろといわれたろ。このところ、浪人中でね。やることがないから、Sウルフと遊んでいるんだ。」
俺は吹き出しそうになったが、なんとかこらえた。
さっき買った缶コーヒーをひとつ、オコノギの胸元に投げてやる。
「やっぱりあんた育ちがいいな」
オコノギは自分のトレーニングスーツを見下ろした。
「やっぱり若者にはついていけてないか?」
「いや、ちょっと悪がたりないな。パンツは地面にひきずるくらい下げて腰ばきにする」
俺はしゃりしゃりと音を立てて、トレパンをずりさげてやった。パンツのなかにいれていた銀のスエットシャツも外に出す。
「これでいい。あとは暗い通りを歩いてるガキにこういうんだ。」
俺は中指を立てて、舌をおもいっきり垂らした。
「ヘイ、新しいNPOのために金をおいてきな。アンタの名前で寄付したことにしてやるからさ」
オコノギは西一番街の路上で弾けるように笑った。
俺もつられて笑った。
一緒に缶コーヒーで乾杯する。やつのなかに広がる香りが成功の味なのか名声を失った苦さなのか、俺にはわからない。
どちらにしても、それがやつの飲む最後のコーヒーじゃないと思うだけだ。
なにせ、ヤツには俺をはじめ味方がいっぱいいる。
後で聞いた話しだけど、禅が、かなりオコノギのデジタルデヴァイドの解消に興味をもったらしい。
タイタンの名が新しく芽吹き、この街に気持ちのいい影をつくるまで、そう時間がかかるはずがないよな?
end
数少ない地域通貨の成功例だったNPO代表の醜聞は、マスコミ各社でおおきく扱われた。
地に落ちたヒーロー。
持ち上げるときはあれほど立派なことしか書かなかったのに、手のひらを返して正直に罪を告白したオコノギを叩く。
マスコミは読者がよみたがるものしか書かないといえばそれまでだが、それでも俺は納得いかなかった。
正義のマスコミにも、正義の読者にもね。
ああ、あと…フカオ・エンタープライズだけど。
翌週、池袋署と東京国税局の調べがはいった。
フカオにとって恐ろしいのが国税の査察なのは間違いない。
だが、北原とオコノギの襲撃犯が根性のないやつで、あっさりとフカオの教唆を認めたので、そちらの罪もそう軽くなるとは思えなかった。
え?やたら警察の動きが早いって?さぁ…すでに見張られてたんじゃないかな。
余談だけど俺、最近柏と電話して、ついつい深尾のことを話したかもしれない。ま、アフターサービスってやつかな。
…………
それからさらに数日たち、ニュースも落ち着いた。
Sウルフもやっとお役ごめんだ。
そうだ、将也はちょくちょく顔を出してるみたいだ、なんでも紅とよく話しているとか、それと澪はまだメンバーにはなってないそうだ。
崇曰く「アイツは風みたいな奴だ。気が向けば向こうから来るさ…」と追いもしないが手放しもしないのが王様らしい。
俺はまた、いつもの様に街を彷徨いていた。
太陽の軌跡が空高くかけるようになると地表に熱がたまってくるのがわかる。
都会ではアスファルトの照り返しが激しいのだ。
西口公園で休憩していると、見慣れない格好をしたオコノギが声をかけてきた。
「やあ、ブラザー。」
「どうしたんだ、その格好」
俺は黒ずくめの元NPO代表にいった。やつは白いスーツではなく、ナイロンの黒いトレーニングスーツを着ていた。足元はベージュのスリップオンの代わりに、間合いいナイキのショックス。
それはあの記者会見の日、やつのまわりを守っていたSウルフのボディガードと同じ格好だった。
オコノギは照れたようにいった。
「いや、悠くんに街の皆を信じてみろといわれたろ。このところ、浪人中でね。やることがないから、Sウルフと遊んでいるんだ。」
俺は吹き出しそうになったが、なんとかこらえた。
さっき買った缶コーヒーをひとつ、オコノギの胸元に投げてやる。
「やっぱりあんた育ちがいいな」
オコノギは自分のトレーニングスーツを見下ろした。
「やっぱり若者にはついていけてないか?」
「いや、ちょっと悪がたりないな。パンツは地面にひきずるくらい下げて腰ばきにする」
俺はしゃりしゃりと音を立てて、トレパンをずりさげてやった。パンツのなかにいれていた銀のスエットシャツも外に出す。
「これでいい。あとは暗い通りを歩いてるガキにこういうんだ。」
俺は中指を立てて、舌をおもいっきり垂らした。
「ヘイ、新しいNPOのために金をおいてきな。アンタの名前で寄付したことにしてやるからさ」
オコノギは西一番街の路上で弾けるように笑った。
俺もつられて笑った。
一緒に缶コーヒーで乾杯する。やつのなかに広がる香りが成功の味なのか名声を失った苦さなのか、俺にはわからない。
どちらにしても、それがやつの飲む最後のコーヒーじゃないと思うだけだ。
なにせ、ヤツには俺をはじめ味方がいっぱいいる。
後で聞いた話しだけど、禅が、かなりオコノギのデジタルデヴァイドの解消に興味をもったらしい。
タイタンの名が新しく芽吹き、この街に気持ちのいい影をつくるまで、そう時間がかかるはずがないよな?
end