ー特別編ー黄色のCurrency
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その夜はじりじりしながら、オコノギからの連絡を待った。
携帯が鳴ったのは夜の十一時すぎだ。NPO代表の声は吹っ切れたように弾んでいた。
『あぁ、悠くんか。今、マスコミ各社にファックスを流し終わったよ。』
意味がわからない。
俺はなんとなく家から外の歩道にでた。タクシーを拾って乗り込む。
「いま、どこにいるんだ?」
『うちのNPOセンターだ。ファックスには重要な発表があって、明日の午後一で記者会見を開くと書いてある。きっとたくさんの記者が集まるだろう。悠くん、決心するのがこんなに簡単だとは思わなかったよ』
俺は焦っていた。
オコノギはフカオ・エンタープライズが都の役人かとなりのNPOかなにかと勘違いしている。
自分の身の危険にまるで気づいていないのだ。
「フカオはなんていった」
『さぁ、なにも。これでおたくとの関係は解消する。これまでの事実関係はすべて明らかにして、ぼくは代表の座をおりるとだけいってきた。』
「明日の記者会見のことはしっているのか?」
オコノギはちょっと考えたようだった。
『そうだな、うちの職員のなかにも深尾氏の息がかかった者が何人かいる。ぼくはこれから緊急の会議を開くから、遅かれ早かれ明日のことは知られてしまうだろう。』
俺はフカオを直接しらないが、フカオのようなやつならたくさん知っている。
圧力をかければすぐに素人はブチ折れる。
そう思い込んで、平気で人を襲わせるタイプ。
暴力と金、それですべての人間を支配できると考える裏の世界の常識人だ。
俺は携帯のむこうにいった。
「オコノギさん、よく聞いてくれ。」
『なんだい?』
「今夜は俺たちがいくまで、その事務所を出ないでくれ。明日の記者会見まではSウルフの手を借りて、俺が…アンタを守る。」
オコノギは不思議そうな声をだした。
『もうぼくはNPO代表ではなくなる。君たちには価値のない人間になるんだ。どうして、そこまで一生懸命になれる』
おれの声は自分でもわからないうちにきつくなっていた。
「あんたみたいなボンボンを、池袋のジャングルに放り出してはおけないだろ!それに俺はどこかの組織の代表だから、アンタの手助けしたわけじゃないだよ!」
『悠くん…』
「アンタは…この街に必要なことをひとりで始めて、今危険な目に遭ってる。いいか、アンタはくだらないこともやったが、いいことだってたくさんやったんだ!この街のガキだってみんなみてるのさ。アンタの身代わりにちょっとくらいなら刺されてもいいというやつは、いくらでもいるんだ。非営利団体の代表なんだろ、もっと街のみんなを信じてみろよ!この真面目馬鹿野郎ぉ!!」
くそ、なんで俺がこんなに焦るんだ。
ゆっくりと息を吸い、途切れとぎれに吐くとオコノギはいった。
それは必死に涙をこらえる声だった。
『ありがとう。きみたちに…きみたちにまかせるよ。考えてみると、ぼくが成功したのも街のみんなを動かせたからなんだね。待っているよ。』
携帯は切れた。
携帯が鳴ったのは夜の十一時すぎだ。NPO代表の声は吹っ切れたように弾んでいた。
『あぁ、悠くんか。今、マスコミ各社にファックスを流し終わったよ。』
意味がわからない。
俺はなんとなく家から外の歩道にでた。タクシーを拾って乗り込む。
「いま、どこにいるんだ?」
『うちのNPOセンターだ。ファックスには重要な発表があって、明日の午後一で記者会見を開くと書いてある。きっとたくさんの記者が集まるだろう。悠くん、決心するのがこんなに簡単だとは思わなかったよ』
俺は焦っていた。
オコノギはフカオ・エンタープライズが都の役人かとなりのNPOかなにかと勘違いしている。
自分の身の危険にまるで気づいていないのだ。
「フカオはなんていった」
『さぁ、なにも。これでおたくとの関係は解消する。これまでの事実関係はすべて明らかにして、ぼくは代表の座をおりるとだけいってきた。』
「明日の記者会見のことはしっているのか?」
オコノギはちょっと考えたようだった。
『そうだな、うちの職員のなかにも深尾氏の息がかかった者が何人かいる。ぼくはこれから緊急の会議を開くから、遅かれ早かれ明日のことは知られてしまうだろう。』
俺はフカオを直接しらないが、フカオのようなやつならたくさん知っている。
圧力をかければすぐに素人はブチ折れる。
そう思い込んで、平気で人を襲わせるタイプ。
暴力と金、それですべての人間を支配できると考える裏の世界の常識人だ。
俺は携帯のむこうにいった。
「オコノギさん、よく聞いてくれ。」
『なんだい?』
「今夜は俺たちがいくまで、その事務所を出ないでくれ。明日の記者会見まではSウルフの手を借りて、俺が…アンタを守る。」
オコノギは不思議そうな声をだした。
『もうぼくはNPO代表ではなくなる。君たちには価値のない人間になるんだ。どうして、そこまで一生懸命になれる』
おれの声は自分でもわからないうちにきつくなっていた。
「あんたみたいなボンボンを、池袋のジャングルに放り出してはおけないだろ!それに俺はどこかの組織の代表だから、アンタの手助けしたわけじゃないだよ!」
『悠くん…』
「アンタは…この街に必要なことをひとりで始めて、今危険な目に遭ってる。いいか、アンタはくだらないこともやったが、いいことだってたくさんやったんだ!この街のガキだってみんなみてるのさ。アンタの身代わりにちょっとくらいなら刺されてもいいというやつは、いくらでもいるんだ。非営利団体の代表なんだろ、もっと街のみんなを信じてみろよ!この真面目馬鹿野郎ぉ!!」
くそ、なんで俺がこんなに焦るんだ。
ゆっくりと息を吸い、途切れとぎれに吐くとオコノギはいった。
それは必死に涙をこらえる声だった。
『ありがとう。きみたちに…きみたちにまかせるよ。考えてみると、ぼくが成功したのも街のみんなを動かせたからなんだね。待っているよ。』
携帯は切れた。